現代的に進化したハーレーを代表するモデル
ハーレーダビッドソンジャパン公式のイベントとして第一回が1998年に静岡県の富士スピードウェイで開催され、今年は装いを新たに2024年6月1日から2日にかけて神奈川県横浜市の山下公園特設会場で開催される“ブルースカイヘブン”。
【画像】全面刷新したハーレーを代表するモデル「ストリートグライド」を画像で見る(23枚)
これまでサーキットで行われたキャンプイベントだった催しが、同日の横浜開港祭でにぎわう場所に移しての都市型イベントとなることに、ハーレーファンのみならず注目を集めていますが、その会場では2024年のニューモデル体験試乗会も行われています。
先日、新たなカタチとなる“ブルースカイヘブン”に先立ち、メディア向けの試乗会が同じく横浜で開催されたのですが、こちらのモデルもまさに『ハーレーの新時代』を象徴するものでした。
今回は、その数あるニューモデルの中でもハーレーを象徴するといっても過言ではないツアラーモデルである『ストリートグライド』に試乗してみたのですが、まずは細かいディテールを眺めてみても明らかに今までのハーレーとは違う雰囲気。
伝統的なバットウィングフェアリングのフォルムを踏襲しつつ、ピンストラインのようなLEDライトが埋め込まれたフロントマスクや312mmのタッチスクリーン化された液晶メーター、そして117キュービックインチ(1923cc)に排気量が拡大された水冷ヘッドを持つミルウォーキーエイト(ハーレーのエンジン形式)モーターなど随所に新しさを感じさせるものとなっています。
同日には2023年モデルのストリートグライドにも比較試乗できたのですが、こちらは灯火類やメーターなど、ある意味、伝統的なハーレーらしさを感じさせるものとなっており、マニアならどことなく落ち着く佇まい。全体のクラシカルなムードはハーレーの歴史を感じさせるものとなっています。114ミュービックインチ(1868cc)のエンジンも93馬力、トルク158Nmのスペックも十分なものです。
とはいえ、同じタイミングで2024年モデルに乗ると驚くほどの進化を感じさせられます。排気量が原付程度のキャパシティーである55cc程度拡大されたエンジンは、スペック以上のパワーとトルクの差を体感できるものとなっており、アクセルをラフに捻ると首が後ろにもっていかれるような強烈な加速が身体全体を包み込みます。ちなみにこちらはスペック上、最高出力が107馬力、トルクは175Nmとなっています。
しかしながら、その加速感はどちらかというとハーレー伝統の『ドドド』という鼓動感を感じるものではなく、パワーとトルクが「グォー」と連続的に沸き起こるような感覚で、至ってスムースです。こうした部分は繰り返しを承知でいえば進化を感じさせるものです。
またハーレーのツアラーモデルといえばフロントのネックよりフォークが後ろに配置される逆オフセットのトリプルツリーが採用され、それが直進安定性とハンドリングの軽さを両立する要因となっているのですが、2014年以前のホイール16インチ・モデルでは妙なフラつきとコーナーでの「立ちの強さ」が気になっていたのが正直なところ。
かなり「クセ強め」なハンドリングだったのですが、フロントホイールが19インチ、リアが18インチに変更されてからは、その「クセの強さ」もかなり緩和されています。ヘビーな見た目ですが(実際、車重は368kgもありますが)、街中での取り扱いは思ったより軽快です。
視認性に優れたタッチパネルディスプレイ
さらにいえば新規採用された液晶ディスプレイのメーターは、視認性も高く、個人的には好感を持ったポイント。ハンドル回りに集中するインフォテイメントの切り替えスイッチの操作こそ慣れが必要になるでしょうが、スマホのように使いこなせれば便利この上ない機能です。
こうした『デジタル』なパーツを嫌うハーレーマニアも多いのでしょうが、高級外車では一般的な液晶ディスプレイは乗り手にステイタスを感じさせるものとなっています。走りといい、装備といい、すべてにおいて最新のストリートグライドは快適です。
1979年、ラバーマウントモデルの元祖である『FLT』が登場した際、事前にハーレーダビッドソン社がユーザーに向けてアンケート調査を行ったそうですが、そこでよく聞かれた声が「ハーレーの振動が不快」というもの。
それ以来、長きに渡って進化を繰り返してきたハーレーというバイクですが、2024年モデルのストリートグライドはメーカー側が目指した解答に、かなり近づいたモデルになっています。
昔気質に「鼓動感」を求めるハーレーユーザーにオススメ、とは正直言いませんが、快適性を求めるライダーに向けてなら、決して悪くありません。バイクとしての完成度はかなり高いです。
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