新車で乗れるヒストリックカー? ラーダ「ニーヴァ」とは
2020年現在、日本で見られる輸入車の多くはドイツなどEU圏やアメリカのメーカーのものですが、正規の代理店経由ではなく並行輸入という形で、いわゆる第三国のクルマも入ってきています。そうしたなかでコンスタントに輸入され続けている車種のひとつに、ロシアの自動車メーカー アフトヴァースが「LADA(ラーダ)」のブランドで生産するSUV「NIVA(二ーヴァ)」が挙げられるでしょう。
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「二―ヴァ」は、日本でいう5ナンバーサイズのコンパクトなSUVで、本国ロシアでは現在「4×4」という名で売られています。ラーダのウェブサイトでラインアップされている現代的なセダンなどと比べると、ちょっとレトロなルックスですが、それもそのはず、1977(昭和52)年から40年以上ものあいだ、大きなモデルチェンジを受けることなく生産され続けているという車種です。
このクルマを2010(平成22)年から計150台以上、輸入しているというルパルナス(東京都渋谷区)によると、エンジンがキャブレターからインジェクション式になったり、ABS(アンチロックブレーキシステム)が装備されたりとアップデートはされているものの、基本的なパワーや構造は40年間変わっていないといいます。「ヒストリックカーに近いものを新車で乗れる」ことが、ひとつの魅力だそう。
「アフトヴァーズはもともと、フィアットのノックダウン生産(他国や他企業の製品を現地で生産・販売する方式)から始まったメーカーなので、『二ーヴァ』も昔のフィアットっぽさがあり、初代『パンダ』などが好きな人が食いついてきますね。コンスタントに売れ続けています」(ルパルナス)
もちろん左ハンドルのMT車のみで、ATがいい人はあきらめる一方、外車に全く乗ったこともない人が一目惚れして買っていくこともあるとのこと。これを愛車にしていた著名人の顧客もいるなど、爆発的にではないものの、コンスタントに売れ続けているそうです。
ロシアでは荒野を駆ける生活の足
1970年代から基本構造は変わっていない「二ーヴァ」ですが、フレームとボディーが一体のモノコック構造や、サスペンションのコイルスプリング、悪路でのタイヤの空転を防ぐデフロック機構を採用するなど、その走りは本格的で、40年前としては先進的なクルマだったとルパルナスは話します。
そもそも「NIVA」はロシア語で「畑」や「原野」といった意味です。現在、本国ロシアでは新車で70万円台から販売されています。
「日本だと『二ーヴァ』は趣味のクルマでしかありませんが、ロシアでは、マイナス20度以下の荒野で使われる生活の足です。ほかの車種は現代的にアップデートしても、庶民が手の届くクルマとして、これだけは変わらず売り続けているのです」(ルパルナス)
ただし、故障はつきもののようです。アフトヴァースには現在、日産・ルノーの資本が入っており、品質も上がってはいるそうですが、それでも「何で新車なのにこんな故障が?」というケースも少なくないとか。
ルパルナスでも乗り出し前やアフターの整備に力を入れてはいるものの、そのような故障があることはあらかじめ顧客に伝えているといい、「構造が単純なぶん整備もしやすいですが、カッコだけでは乗れないクルマです」と話します。
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