ハースのチーム代表であるギュンター・シュタイナーは、新しいコンコルド協定の条項について、チームオーナーのジーン・ハースが今後もチームとしてF1で活動を続けていける内容だと判断したから署名に至ったと語った。
2016年からF1に参戦しているハースは、その後の成績低迷、あるいは新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる財政悪化などを理由に、撤退について真剣に検討していた。
新コンコルド協定でもフェラーリF1優遇措置は変わらず。規則変更への拒否権を維持
さらにチームオーナーとしては、F1の収益分配構造も不満の種だった。活動を続けたい小さなチームにとっては、その財政的な困難がますます悪化するばかりだからだ。
しかし、今回の協定で後者については大幅に改定され、受け入れ可能と判断したハースは署名した。これによって、今後さらに5年間、チームはF1で活動を続けることになる。
「おそらくジーン(・ハース)は新協定の内容を検討した結果、自らの『ハース・オートメーション』ブランドを世界中に宣伝するうえで、F1が引き続きとても良いツールになり得ると判断したのだと思う」とシュタイナーは語った。
「そう思えなければ、署名はしなかったはずだ。それに、彼はF1というスポーツを愛している」
「財政的には大きな負担を必要とするが、新協定が発効すれば各チーム間の条件がより平等に近づき、商業的な面でも小規模チームに利益をもたらす。そういったことを勘案したうえで、彼はF1での活動継続を決断したのだろう」
「私にとってこのチームは、今の時点では十分な競争力が持てていないまでも、F1で戦えるチームだと思う。それは私個人というよりもチームとして、ということだ」
「もちろん私もチームの一員だ。我々はみんなで一体となって働いているし、つまるところ、ジーンもそんなチームを信頼している。間違いなく、チーム全員が新しい協定のもとで前進できることを喜んでいる」
2021年から始まる財政的な変更事項のなかには、きわめて重要なバジェットキャップの導入も含まれている。これは、各チームの競争条件をできるだけ公平にする目的で設定されたものだ。
ただし、シュタイナーは新しい財政制度の恩恵をすぐには実感できないと考えている。
「バジェットキャップは競争条件の平準化に寄与するだろう。ハンディが小さくなるはずだ。それは1年目には実感できないと思う。だが中期的には間違いなくその方向へ行くだろう」
「支出のレベルを平等にしていくことで、小規模チームは多少なりとも収益を改善できる」
「小規模チームにとって十分とはいえない。それでも競争環境の平準化はスポーツの目的だ。いつの日か、誰でも勝つチャンスが持てるようになる」
「それまでには多少の時間がかかるだろう。しかし今回の改定はF1にとって正しい方向への大きな一歩となる。時代は変わり続ける。リバティ・メディア(F1オーナー)は必要に応じてその時代に合わせる、という素晴らしい仕事を成し遂げたと私は思っている」
「本来は数年前がその必要なときだったが、何もしないくらいなら多少遅れてでも実行した方が良い」
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