ターボSの価格は13万8826ポンド(1874万円)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)ポルシェ・タイカンというハンサムな4ドアEVは、現状で世界最高のEVでもあると思う。トップグレードとなるターボSの英国価格は、オプションを付けない状態で13万8826ポンド(1874万円)もするから、必然でもある。
EVなのに、ターボという名前が付いている。テスラのスーパーチャージャーが急速充電器だったり、オートパイロットが完全な自動ではないことと同じ。ポルシェにとっての「ターボ」は、パワーアップされたモデルが得るサブブランド名のようなものだとポルシェは話しているが、読者のイメージはいかがだろう。
タイカン・ターボSはとてもパワフル。短時間だけパワーアップするオーバーブースト機能を効かせた数字ながら、最高出力は761psで0-100km/h加速は2.6秒。Sの取れたタイカン・ターボでも、679psを発生する。こちらの価格は11万5828ポンド(1563万円)。オーバーブーストを使わないと、両車ともに625psに設定されているのが興味深い。
今後さらに安価でパワーも抑えられた、ターボではないタイカンが登場する予定。お金持ちのアーリーアダプター(新しい物好き)なら、ターボということだろうか。
ポルシェとして初めての純EVとなるが、既にハイブリッドはレースカーや量産モデルで提供してきた。ル・マン24時間レースで優勝した919は電圧800Vによるハイブリッドだったし、パナメーラ・ターボS Eハイブリッドは、テスラ・モデルSの「ルディクラス(あきれる)・モード」の撮影についていけるほど速い。
800Vのシステムに93.4kWhのバッテリー
タイカン・ターボSの加速性能はパナメーラを上回る。エンジンがないのに。5ドア・ハッチバックのボディはパナメーラよりわずかに小さく、プラットフォームはEVのための新設計。巨大なリチウムイオン・バッテリーがフロアに敷かれている。
ターボとターボSのバッテリーの容量は93.4kWhで、ターボの航続距離は国際基準のWLTP値で450kmとなっている。ターボSの方は426kmだという。空気抵抗(Cd)値は、ターボが0.22でターボSが0.25と、わずかにターボの方が悪い。
モーターはフロントに1基、リアに1基が搭載され、4輪駆動となる。リアのモーターには2段のトランスミッションが付くが、基本的には2速で走行するという。1速目は低速度でのアグレッシブなドライブモードで機能する。
ターボSの方には、アクティブ・リアステアリングにカーボンセラミック・ブレーキ、大径ホイールと高出力なオーバーブーストを許容する大容量インバーターが標準装備される。ターボとの装備上の違いはそれほど多くはないといえる。
タイカンに搭載されるEVシステムは、通常のEVの倍近い電圧となる800Vで動作する。ポルシェによれば、電圧を倍にすることでケーブルに流れる電流を半分に減らせるため、ケーブルの太さも細くでき、取り回しも良くなるという。軽量化にも繋がり、400Vのシステムと比較して40kg以上も軽いそうだ。
本物のポルシェらしい運転感覚
バッテリーは、最大270kWの800V充電器なら、20分ちょっとの時間で5%の残量から80%まで蓄電できるという。フォルクスワーゲン・グループやBMW、フォードなどによる合弁企業、イオニティ社の急速充電器は350kWの出力を持つという話もあったが、現状でクルマが許容するのは250kW+のようだ。ただし、ポルシェの情報によれば追って350kWに対応する可能性は充分にある。
反面、一般的な電圧400Vの充電器での受電容量は50kWに留まり、150kWの容量に対応させるには、294ポンド(4万円)のオプションを追加する必要がある。高出力の充電器に対応させるためにオプションの選択が必要としているメーカーはポルシェだけではないものの、賢明な設定ではないと思う。EVの本当の可能性に誤解を与えてしまうのではないだろうか。
今回の試乗ではタイカンをルートの中ほどで充電させた。航続距離はテスラ・モデルSをより短いが、時々ペースを速めた運転をしても、スペック通りの距離は走れそうだ。
タイカンのドライビングフィールは、本物のポルシェらしい。ドライビングポジションも、いつものポルシェで違和感がない。着座位置は低く左右のオフセットもなく、ステアリングホイールは小ぶり。定員は標準が4名で、オプションで5名にもできる。
リアシートでも足周りや頭周りは広く、ボディのフロントとリアにはラゲッジスペースが用意されている。組み立て品質も素晴らしく、素材も非常に上質。インフォテインメント・システムやインストゥルメント・パネルはクリアで、ドライブ・オプションも明瞭。すべてがドライバーに焦点が合わされている。
パナメーラやカイエンより運転が楽しい
ペダルやステアリングの操作時の重さも適切。カイエンや911 GT2に至るまでのポルシェと同様に、操作したぶんだけ、適切に反応する。ステアリングを切れば、シャープで正確に反応する。スロットルやブレーキペダルを踏めば、思い描いたとおりに走り、止まる。
ドライバーズカーとしても最高の仕上がりの1台だといっていい。エンジンを積んだクルマでは他にも候補はあるが、EVでは希有だ。
サスペンションは、現状ではエアサスが標準。追って追加されるベーシックグレードには、コイルスプリングが装備され、後輪駆動版も出るとのこと。ポルシェ自慢のシャシー・コントロールやスタビリティ・コントロール・システムも搭載されている。
タイカンの乗り心地は、21インチのホイールを履いていても良好。街なかの段差や路面の欠けを通過しても、現状では最も乗り心地の良いEVだと感じた。車重は2305kgもあるが、処理しきれないような素振りも見せない。
SUVとは異なり、バッテリーの搭載位置もあって極めて低重心。パナメーラでも同様だが、ポルシェは大きなタイヤを履いた大きなクルマでも、望外にエキサイティングな走りができるように仕上げる力を持っている。
ボディコントロールは引き締まっており、ステアリングのレスポンスも良好。グリップの限界値は、公道では届かないところ。そしてすべてが高次元でバランスされている。モデルSやジャガーIペイス、アウディEトロンだけでなく、パナメーラやカイエンなどよりも、運転が楽しい。
直接的なライバルはAMG GT 4ドアクーペ
ルノー・トゥイージーやテスラ・ロードスター、日産リーフなども運転が楽しいとも感じたが、タイカンとはまったく異なるもの。タイカンはより静かな巡航に、熱くなる走りを備えた、日常的に使えるシリアスなEVだ。恐らく4ドアのポルシェの中で最も運転が楽しいと思う。自分でも意外な感想だ。
エンジンがなくてもスロットルレスポンスは美しいほどに最適でスムーズ。ブレーキパッドと270kWの回生ブレーキとの制動力の切り替わりもほとんど感知できない。クルマとして製品の質感も高い。パナメーラのデュアルクラッチATやハイブリッド、オート・アイドリングストップなどが古く感じてしまうほど。
しかし、V8エンジンのすべてを退けるわけではない。メルセデスAMGが用意する真のV8エンジンは無視できない。パナメーラよりもAMG GT 4ドアクーペが優れていると感じる理由でもある。タイカン・ターボSの最も直接的なライバルといえるかもしれない。
タイカン・ターボSは現状で世界最高のEVであることは間違いなさそうだ。あくまでもEVという括りでの評価ではあるけれど。なお、英国での販売は2020年の1月からとなる。
ポルシェ・タイカン・ターボSのスペック
価格:13万8826ポンド(1874万円)
全長:4963mm
全幅:1966mm
全高:1378mm
最高速度:259km/h(リミッター)
0-100km/h加速:2.6秒
航続距離:426km(WLTP)
CO2排出量:0g/km
乾燥重量:2305kg
パワートレイン:電気モーター2基
バッテリー:93.4kWh リチウムイオン
最高出力:625ps(オーバーブースト時:761ps)
最大トルク:109.4kg-m(オーバーブースト時)
ギアボックス:シングルスピード(フロント)/2速(リア)
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