■どんなクルマ?
時を遡ること2012年、パリ・モータショーにてポルシェは「パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ・コンセプト」と題したクルマを披露した。
「ディーゼル衰勢」は正しい? 0-160km/h=10秒切りをパナメーラで試す
ふつうのパナメーラよりも洗練された、プラグイン・ハイブリッドであることが条件として提示されていたが、このたび、ポルシェの会長であるマティアス・ミュラーの一声で5年越しに青写真が現実のものとなった。
ジュネーブ・モーターショーでヴェールを脱いだパナメーラ・スポーツ・ツーリスモがショールームに並ぶのも、そう時間は掛からない。
製品版のパナメーラ・スポーツ・ツーリスモに触れるのは初めての機会。335psの3ℓターボチャージドV6を心臓に持つパナメーラ4、542psを発生させるツインターボのパナメーラ・ターボ、そして422ps/86.7kg-mのディーゼルである4Sが並べられた。
これまでわれわれが愛したどのポルシェとも違う立ち姿をしているが、さて、どうなのだろう?
■どんな感じ?
まずは「スポーツ・ツーリスモ」の実用性からチェック
ベースはスタンダードなパナメーラ。なのでホイールベースは2950mmのままだ。長く見えるのはルーフラインが伸びたのと、Dピラーが立ったからであろう。
全長は5049mm、全幅は変わらず1937mmで、全高は5mmだけ高くなって1428mmとなっている。もちろん後席から荷室にかけての室内空間は広がっていて、これこそが特徴であるともいえる。
後席に乗り込んでみる。新たに設計されたルーフラインのおかげで、頭上のスペースが広まり、2人乗っていても快適である。
ただしこの空間に「+1」つまり5人目の乗客を迎え入れようとすると、その客人は狭さに苦しめられることだろう。センタートンネルが大きく、足元が狭くなりがちなのが原因だ。
リアシートは左右と真ん中でそれぞれ折りたたむことができる。荷室は一見広そうに感じるが、実のところ一泊分の荷物を詰め込んだ旅行カバンを一つ収納するのがやっと、という感じ。
積載量は520ℓで、シートを倒せば1390ℓになるが、ハイブリッドだとバッテリー分の容量を失うため、425/1295ℓとなる。ちなみにカイエンの積載量は618/1728ℓ。
ただし、実用性は必ずしも必要とされているワケではないのかもしれない。もしポルシェが批判を受け荷室の改善に乗り出し、ラゲッジネットやパワーソケットを備え、電動ゲートを全車標準装備にし、荷物の積み込みのしやすさを上げたところで、そんな実用的なクルマよりももっと別の選択肢になびいてしまうハズ。
シューティングブレークという要素を考えたときに思いつくのは、単純にパナメーラのカタチをした魅力的なクルマなのか、はたまたポルシェに生活感を足したクルマなのか、ということだ。
ソトからみる「スポーツ・ツーリスモ」
オプション設定のスポーティなデザインや色合いをしたパーツを付けない状態のほうが、リアから見た豊満さや、サイドの引き締まったラインを感じ取ることができるだろう。
ただ、20インチのホイール、もしくは21インチくらいの大きさのホイールが欲しくなるに違いない。
スポーツ・ツーリスモは、このボディ・デザインを採用したため、わずかばかり重量が増えているだろうと予想していた。このクルマの空車重量は2190kg、パナメーラ4Sよりも275kgも重たい。
「スポーツ・ツーリスモ」、走りの印象は?
動力機関については、かつて試乗したことがあったが、今回もやはり純粋に衝撃を受けた。Eパワー・モードで発進すると、134psのモーターが静粛かつ滑らかにクルマを押し出す。市街地でのドライブにはうってつけだ。
トップスピードは279km/hで、約50kmは電気の力だけで走ることができるらしいが、完璧なコンディションでも整っていない限りその数値を実現するのは不可能だと思う。Eハイブリッド・モードに選択しなおすと、V6 2.9ℓのガソリン・エンジンが目を覚ます。
街乗りではEホールド使いゼロ・エミッションを達成し、エンジンはバッテリーをチャージするためだけに使うことだってできる。そして街乗りと同じような数値の燃料消費でアウトバーンをかっ飛ぶことだって可能とのこと。
ハイブリッド・ドライブはナビゲーションのサブメニューから探し出す必要があるが、しかしこのタッチスクリーン、触った場所とは違う場所を示す傾向がある。厄介だ。これには注意が必要。
ドライブトレインの感触は?
明白なのは、このポルシェがきちんとハイブリッドカーであるということ。かつての、4 E-ハイブリッドのバッテリーと燃焼機関のケンカしているような仕上がりではなくなった。
8速PDKは相変わらずクルマがしゃっくりしているような乗り味。低速だと小突かれるような感じがして、及第点とは言えない。
いっぽうアクセルペダルはかつて感じられた不自然な押し戻しは無くなり、ブレーキも同様に良くなっている。残された仕事は、ふつうのパナメーラの感じを取り戻す作業といったところか。
ステアリングはハイブリッド・システムがもたらす重量により情報のディテールが伝わってくる感じがしないが、PASMエアサスペンションの仕事ぶりのお陰でコントロール性は良好だ。
しかし限界まで攻め込むとなると、重量の分が影響してくるのは言うまでもない。
コーナーに飛び込むと、パワーとは裏腹に正確さと俊敏さを欠いているのを明白に感じるが、それに加え、もっと大きな問題があると思った。
「スポーツ・ツーリスモ」ならではの問題
問題はリア周りに関すること。なにもルーフラインについてケチをつけようというワケではなくて、後方視界についてだ。運転しているときにバックミラーに写るのは、後続車ではなく後席の中央にに座っているひとの顔。窓の上下幅、後席の高さ、ミラーの位置に起因する問題といえる。
スポーツ・プラスを選択すると、モーターと燃焼機関が揃ってドライバーを蹴飛ばす。456psで71.3kg-mのトルクは伊達じゃない。0-100km加速は、ローンチコントロールを使って4.6秒をマークする。
ポルシェは「充電が切れてもベストなパフォーマンスで充電するようになっていますし、もしそんなときにはもうひとつの動力源であるV6エンジンが懸命に働きますよ」と言っていた。
最高速については、サルーンにわずか3km/h届かない、約272km/h。高速域での安定感を増すために、ポルシェ・アクティブ・エアロダイナミクス・ルーフトップ・スポイラーが装備されていて、モードや速度によって26°までの間の角度でリトラクトする。パノラミック・ルーフは風切り音を弱める工夫がなされている。
■「買い」か?
構想から5年も待った甲斐があるのか? と聞かれれば、われわれは「ある」と答えるだろう。
ただ、かつてテストした、初期のV6ガソリン-エレクトリック・パナメーラと比較すると、ドライバーズカーとして(わずかだが)確実に進歩している。
そうそう、スポーツ・ツーリスモを選ぶ際には、後ろの視界を確保するため、後席真ん中に座る座高の低い同乗者を用意することはお忘れなきよう。
ポルシェ・パナメーラ4 E-ハイブリッド・スポーツ・ツーリスモ
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