いまだレアな存在 特殊な通行ルールはどう教える
信号のない円形の交差点「ラウンドアバウト」は、2014年9月の道路交通法改正でその定義と交通方法が定められて以来、導入が増えています。警察庁の資料によると、その数は2018年3月末時点で27都府県75か所。交通量の少ない交差点が中心ですが、なかには駅前の交通広場や高速道路のICに直結する形で設置されるケースもあります。
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交差点の中心に「中央島」と呼ばれるスペースがあり、その外周を取り囲むドーナツ型の通行路「環道」から放射状に道路が伸びる――これがラウンドアバウトの基本的な構造です。信号がないことから維持管理の面でも経済的で、災害時にも対応できるほか、いくつもの道路が交わる交差点も制御しやすいといったメリットがありますが、それらは次のような通行ルールによって成り立っています。
・環道へは左折で進入、環道からは左折で流出
・環道内は時計回り(右回り)で進む
・環道内を走行している車が優先
・環道へは徐行で進入(原則、一時停止不要)
たとえばラウンドアバウトが置かれた十字路の場合、左折方向に進む際は環道に入って4分の1周、直進方向に進む際は半周、右折方向に進む際は4分の3周するような形で通行します。導入に際しては、こうした特殊な通行ルールに自治体などが注意を促すケースもあるようです。
そもそも教習所では、ラウンドアバウトをどのように教えているのでしょうか。
指定自動車教習所の団体である全日本指定自動車教習所協会連合会(全指連、東京都千代田区)によると、道路交通法が改正されてすぐに周知伝達しており、学科では確実に教えているとのこと。しかし技能教習となると、まだ数が少ないこともあり、ラウンドアバウトの走行を積極的に取り入れるようには指導していないといいます。
「現状ではまだレアなもので、指導員自身も通行したことがないケースが多いのではないでしょうか」(全指連)
たとえば、東日本では路面電車がほとんどないため、「軌道敷内通行可」の標識や(路面電車専用の)黄色い矢印信号などを見たことがない教員もいるかもしれません。それらと同様の存在ではないかと全指連の担当者は話します。
教習所内コースに即席ラウンドアバウト 通行方法周知へ
愛知県安城市の安城自動車学校では、これまでに4回、所内コースの交差点に即席のラウンドアバウトをつくり、指導員による通行のデモンストレーションを行っています。指導員が運転するクルマの後部座席に教習生が乗り込んで、通行を体験するというものです。
「教習生、そして自治体の方に、信号のない交差点を安全に通行する方法を体験し、理解を深めていただくために実施しています。当校の路上教習範囲にラウンドアバウトはなく、愛知県内でもまだ設置は少ないですが、今後の普及を見据えてのことです」(安城自動車学校)
この「仮設ラウンドアバウト」の資材を提供しているのが、道路標示などの施工業者である名阪興業(愛知県知立市)です。樹脂製のピースをつないで形成した直径6mの中央島を交差点に設置し、10分もあればラウンドアバウトをつくれるといいます。教習所における実演のほか、警察による公道の交差点での検証実験などにも使われており、「仮設」だけでなく永続的な設置にも対応できるものだそうです。
「もともと愛知県警西枇杷島署の発案で、まだなじみの薄いラウンドアバウトを広く知らしめるためのツールとして開発しました。教習所からも、所内に専用コースをつくってカリキュラムに組み込むことは難しいので、何時間かだけでも通行を体験させることができないかといった声があります。これを持ち込めば、教習の15分間休憩のあいだにデモンストレーションを行うことも可能です」(名阪興業)
名阪興業によると、各地の教習所では、やはりまだラウンドアバウトの通行を経験していない指導員も多いといいます。「環道内は徐行と頭ではルールをわかっていても、いざ体験みると、あわてて走ってしまう指導員さんがよく見られますね」と話します。
路上教習でのラウンドアバウト通行は特別扱い 本格導入には弊害も
数は少ないですが、ラウンドアバウトを路上教習に取り入れている教習所もあります。そのひとつ、新潟県田上町の田上自動車学校は、近くに県内初となるラウンドアバウトが設置されたことから導入したのこと。ただ、路上教習で常にそこを通るわけではないそうです。
「仮免許取得後の4、5時限目にあたる『交差点の通行』でラウンドアバウトの通行を取り入れています。あくまで特殊なものなので、ある程度基本ができてからです。もちろん、『みきわめ』や検定などでは通行しません」(田上自動車学校)
生徒からはどのような反応があるかという問いには、「田上のラウンドアバウトは小さめであることもあり、あまりピンときていないのが正直なところではないでしょうか」とのことですが、普通と異なる通行ルールを体験してもらう意味ではいいのではないかと話します。
このように、ラウンドアバウトはやはり特殊なものとして扱われているようです。前出の全指連は、次のように話します。
「路上教習は基本を教え、原則を覚えてもらうことが最も重要です。通行方法が特殊な交差点は、ともすれば教習の妨げにもなり得ますので、あえて取り入れないケースもあるかもしれません」(全指連)
全指連によると、現状では公安委員会によっても、ラウンドアバウトの導入に積極的なところと、そうでないところがあるとのこと。技能教習への本格導入には経過観察を要するといいます。
【写真】日本唯一、中央島がふたつの「ツインラウンドアバウト」
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