10月24日、フェラーリは同社が手掛けるワンオフモデルの最新作『フェラーリSP-8』を発表した。台湾出身のクライアントによるオーダーを受け製作されたSP-8は、フェラーリのスペシャル・プロジェクト・プログラムのひとつとして、フラビオ・マンゾーニ率いるフェラーリスタイリングセンターがデザインを担当。レイアウトやシャシー、エンジンはベース車両の『F8スパイダー』から受け継いだものとなっている。
SP-8という車名は、同車に搭載される3.9リットルV型8気筒ツインターボエンジンを讃えて名付けられたもの。このパワーユニットはイギリスの出版社が主催するインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー(IEOTY)を4年連続で受賞するなど、世界的に高い評価を得ている内燃機関だ。
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なお、車名の“8”にはもうひとつ重要な意味がある。それは中華圏における験を担いだものであり、“8”は発展、幸運、目標成就と結びついた縁起が良い数字とされている。
そんなふたつの由来を持つ名が与えられたフェラーリ・ワンオフ最新モデル最大の特徴は、その外観を一目見て分かるように、ルーフがないロードスターであることだ。SP-8の製作にあたっては流体解析(CFD)シミュレーションや風洞実験、サーキットでの走行テストを重ねるなどエアロダイナミクスの開発が徹底的に行われ、ベースモデルに匹敵する音響快適性を保証しつつ、風の感触を楽しむことができる仕上がりになったという。
スタイリングはボディの各部分が交差し、融け合うさまがテーマの中心に。リヤまで回り込むようデザインされた未塗装のカーボンファイバー製フロントエンドは、ツートンカラーに見える効果を生み出しつつ、素材と色による強烈なコントラストを描く。さらにリトラクタブル・ハードトップを排除し、デザイナーがリヤセクション全体のスタイルを抜本的に見直すことで、引き締まったベルトラインを持つひとつのフォルムが実現された。
ワンオフモデルの製作に費やされた工数は計り知れず、フロントグリルひとつとっても設計には非常に多くの時間が掛けられている。フロントグリル内に配されたストレーキは左右のフロントラジエターへ気流をスムーズに導くよう設計されているが、この角度はフェラーリスタイリングセンターとエアロダイナミクスチームによって検討が重ねられ、CFDを駆使して数カ月にわたって磨き上げたという。
ほかにもヘッドライトやテールライト、296 GTBと同じ処理が施されたテールパイプや専用カラーかつ特別にデザインされたホイールなど、随所にこの1台のためだけの専用デザインパーツが盛り込まれている。特徴的な形状をした5本スポークのホイールは、これまでのフェラーリのスポーツ・プロトタイプや伝説的なF40に採用されていたクラシックなデザインを現代風にアレンジしたものだ。
当然のようにSP-8はインテリアにも手が加えられており、SF90ストラダーレ以降のフェラーリのラインアップに採用されている“F1ギヤボックス・コマンド”をセンターコンソールに装備。あわせてSP-8のインテリアにマッチするようシフトゲートをモディファイしている。シートはレーザーエッチングを施したネイビーブルー・アルカンターラとグラデーション効果のあるクロスを組み合わせて仕上げられ、カーペットには玉虫色に見える特殊なツイル織りが採用された。
マットなボディカラーの“アルジェント・ミカリッザート”もSP-8のために作られた特別色だ。このカラーは同じく特別な色と仕上げ、具体的には光沢のある玉虫色のブルー・サンドストーンのカーボンファイバー・セクションと見事な調和を生み出している。さらに、ふたつのボディワークをつなぐカラー“ブルー・スクーロ・ステッラート”もこのクルマのために特別に開発されたものとなっている。
フェラーリSP-8は10月24日の朝から『2023フェラーリ・フィナーリ・モンディアーリ』の終了までの間、ムジェロ・サーキットで展示された後、11月16日から2024年3月までマラネッロのフェラーリ・ミュージアムで展示される予定だ。
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