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スズキ スーパーキャリイ 特別仕様は“For Your Work Buddy”…デザイナーの思いとは?

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スズキ スーパーキャリイ 特別仕様は“For Your Work Buddy”…デザイナーの思いとは?

スズキは、軽トラック『スーパーキャリイ』に特別仕様車“X リミテッド”を設定。スーパーキャリイ X LEDヘッドランプ装着車をベースに、専用のデカールを追加したほか、フロントガーニッシュやフォグランプベゼルなどのメッキ部分をブラックに変更するなど手が加えられた。

そのデザインは入社4年と5年目の2人の女性に委ねられた。そこでそのこだわりについて話を聞いた。

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◆普段使いにもマッチする新色
元々キャリイのエクステリアのCMFはスズキ商品企画本部四輪デザイン部の佐藤玲衣奈さんと藤島佳那子さんが担当。まずはキャリイという商用車をデザインするうえで最も気を使ったことから話を始めよう。

佐藤さんは、「『ラパン』や『ハスラー』、『スイフト』という日常使いの車種を担当することが多いのですが、商用としても使っていただくクルマをどうCMFで変えていくかは結構悩みました」と明かす。藤島さんも、「普段、私たちがプライベートでも使うようなクルマではないので、とにかく二人でお客様のところへたくさん出かけましたし、そこには時間をかけました」という。

そこでの気づきは、「私たちがプライベートであまり使わない商用車だと思って身構えて市場調査をしていたのですが、蓋を開けてみたらキャリイのユーザーもスーパーに行ったり、通勤通学で使っていたりと、意外と自分たちと変わらないということを体感して、もっと日常の足としても使いやすくなるようなデザインをお届けしてもいいんだと気づきました」と佐藤さん。藤島さんは、「これまでボディーカラーは白黒シルバーしかない中で選ばれていたのですが、お客様はもっと明るい色を欲してるということに気づけました」という。

そうして4月の改良では車体色のラインナップを充実させた。白黒シルバーがメインで、グリーン系のクールカーキなどがあったがそこにデニムブルーが追加された。「お仕事だけでなく、日常生活でも使いやすい色を意識しています」と佐藤さん。そして、「今回の改良には間に合いませんでしたが、今後はより明るい色も挑戦していきたいですね」とコメントしていた。

またデニムブルーはハスラーにも採用されているカラーだ。藤島さんは、「メタリックがほとんど入っていないので、道具感を引き立ててくれるカラーです。このトーンと、キャリイの道具感や相棒にしたくなる、所有欲を満たしてくれるような印象にマッチしている色だと思います」とそこに込めた思いを語ってくれた。佐藤さんも、「お客様の普段使われる道具や持っているもの、そして気分にもマッチするのではないでしょうか」とコメントした。

◆ワークバディ、仕事も遊びも
さて、特別仕様車のスーパーキャリイXリミテッドはなぜデビューしたのだろう。佐藤さんは、「商用車というイメージがもともと強いので、もう少し、遊びや仕事以外の趣味や日常生活としても使いやすいクルマだというメッセージをお届けしたいというのが発端です」と述べる。そこでCMFのコンセプトは、「ワークバディ。仕事だけじゃなく、遊びでも一緒に使ってもらえるような、タフさや精悍さというところをコンセプトとしています」と説明。

変化点は、ボディーサイドとルーフ、そしてタイヤ周りのデカールがメインで、そのほかにヘッドライト周りがブラック塗装されるほか、フロントガーニッシュやフォグランプベゼル、ホイール、ドアハンドルとドアミラーがブラックになる。

佐藤さんによると、「スーパーキャリイはシート後ろにスペースがあるので、リクライニング機能があり快適に使いやすくなっています。一方でそのスペースを確保するために、キャビンの後ろ側が長くなったために、外観の重心が前に向かってすごく重く見えてしまうという意見もありました。そこでボディーサイドのデカールを使ってバランスを上手く取れるように、前に向かって細くしていくような工夫しています」と述べる。

また下回りのアーチモールも、「しっかり黒で締めることで足回りをガッチリ見せ、キャビンが重く見えてしまわないように、バランスをとったデザインになっています」と藤島さん。そのほかのブラックもそれらの印象に合わせて引き締める効果を狙っているのだ。

黒く塗られたホイールもこだわりだ。佐藤さんは、「“鉄チン”の黒ってトラックとかにもあると思いますが、このカラーにはメタリックが入っています。私たちの中で鉄チンがシルバーじゃなくてブラックになることで格好良いという意見が一致したんです」。藤島さんも、「あえてキャップつけたり、アルミ切削にしたりするのではなく、この鉄チンの素の格好良さが絶対あって、キャリイのトラックにすごくマッチしているというのは2人でよく話をしました」と教えてくれた。

グリルもメッキからブラック化された。同時にヘッドライト内部もブラック化。そうすることで、「ワンライン通ったことでSエンブレムとのバランスも取れました」と佐藤さん。因みにSマークがメッキなのは、「ぜひお客様自身でカスタマイズしていただきたい」から。アクセサリー用品としても用意されているそうだ。

◆ユーザー調査の知見から文字や柄にもこだわった
そして最もこだわったのはデカールだ。「こう仕立てたいというイメージがかなり強くあったので、柄(ベースとなる黒い部分)はかなり検討しましたが、リベット止めをしたような柄やステンシル風の文字を入れるアイディアはすぐに決まりました」と佐藤さん。

その発想の根源は冒頭のユーザー調査だった。「開発当初から“道具感”は結構大事にしたポイントです。ユーザーの中には作業着にすごくこだわって、オシャレにされている方がすごくいらっしゃる。そういった日常の服装や道具から着想を得て落とし込んだ経緯があり、それが結構ストレートに表現出来ています」と佐藤さんはいう。

藤島さんも、「道具感とかをわかりやすく表現するとやっぱりリベット止めとかステンシルは“ド定番”なんですが、そういうのすらいままでやってこなかったので、まずはこういうことからキャリイ、変わったんだよというのを見せていきたいと考えました」とのこと。

ベースの柄については、「マットとグロスが混ざっているんですが、グロスだけ、マットだけだと間延びしてしまうんです。ではどんな柄を入れたらいいのか。例えばストライプやいろんな模様も検討はしたんですが、行き着いたところは、デカールとしてはツルツルなんですが、ボディーに貼った時にザラザラに見えるような新しいテクスチャーのような柄だったんです」と佐藤さん。そこに「チッピング塗装をしたような柄」と藤島さんがコメントし、「すごく良いというところを見つけて、これに決まりました」と佐藤さん。また、「傷に強そうなイメージもありますね」と藤島さんも語った。

文字の色は、「シルバーが入っているんですけど、白だと明るくて目立ってしまいますので、程よく馴染みつつ、ボディの印象にも合うようにリベットと文字の部分がシルバーになっています」と佐藤さん。この文字の形はなかなか決まらなかったそうだ。「縦長なフォントにするか横につぶすかでだいぶ印象が変わってくるんです。そのバランスはすごく吟味して、今回は少し横につぶしたようなボールドな印象にすることで、より力強い、タフな印象になるように工夫しています」と佐藤さんはいう。

また、「文字があることで、最近のアウトドアグッズでも、たとえばコップがオシャレに見える。そういうクルマにもなれるだろうと入れました」と述べ、位置に関しても、「すごくこだわりました。もっと上に置こうか、真ん中に置こうかななどすごく厳密に余白とのバランスを見て配置も考えています。普段、CMFの仕事ではエンブレム業務も行っていますので、そういったところの知見を組み合わせて考えました」とのことだった。

◆カタログにもこだわり
この特別仕様車のカタログもお二人が積極的に関わって作られた。それは、実際にユーザーのもとに訪問し、ユーザーの顔を思い浮かべこういう使い方をするだろう、こういうところに行くだろうという、マーケティングでいうペルソナイメージがあったからだ。

藤島さんは、「これまでのキャリイや商用車の、淡々と説明しているカタログから一変しています」。佐藤さんは、「お客様にもスズキの営業マンにも分かりやすく、いままでの軽トラとは違うんだぞというメッセージを伝えたくて作りました」と話す。そこで、カタログ内の見出しの文字や使用シーンなどを含めて作っていったそうだ。

最後に佐藤さんと藤島さんにどこを見て欲しいか聞いたところ、「やはりデカールを見ていただきたいですね。For Your Work body、お仕事も遊びも一緒にという内容も文字の形も全てこだわってデザインしましたから」とお二人とも楽しそうに答えてくれた。

そして佐藤さんは、「今回の特別仕様車はいままでのイメージから刷新するために、メーカーとしてはかなりカスタムに振った特別仕様車として提案しています。スズキスーパーキャリイもこういったカスタムができる、遊べるクルマにもなるベース車としてもっと認知してもらいたいと思います。また、もっと明るい色が欲しいという声が強まってますし、オートサロンに出した黄色いスーパーキャリイのカスタムカーも担当したことで、もっともっと明るい色が欲しいだとか、もっと軽トラで遊んでいけるような世界観があるんじゃないかという期待を市場の皆さんに持っていただいているので、私たちもそこに向けて対応していきたいと考えています」としたうえで、お二人声を揃えて、「今後もスズキキャリイに注目してください」と結んだ。

佐藤さんは入社5年目、お父さまとクルマに乗っている適度な距離感とその空間がとても好きで、こういう空間を届けたいとCMFデザイナーになった。藤島さんは大学時代にモノづくりの最後のCMF処理がすごく楽しかったことや、カーメーカーはCMFデザインを専門でやっていることを知り、目指した。そんなお二人が力を合わせて作り上げたのがスーパーキャリイXリミテッドだ。今後はカラーバリエーションを含めてさらに開発を続けていくようなので、キャリイの個性がまだまだ広がっていくことに期待したい。CMFの力はクルマの個性をどんどん魅力的に変えても行くからだ。

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みんなのコメント

1件
  • H******.T*******
    低圧ターボぐらい付かないか?
    とにかく力が無いんだよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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