10月5日、Honda Motorcycle Homecomingが熊本製作所で開催された。今年の目玉はフレディ・スペンサーの来日で、1982年のCB750F(#19)、そして1985年のNSR500(#4)とRS250RW(#19)も用意され、詳しく語られた(後日記事化予定)。今回は、その前日にHSR九州で行われたCB1000F試乗&取材会の模様をお届けしよう。ミラーが付き、晴れて市販予定車となったその実力やいかに?
→【画像11点】フレディ・スペンサー、CB1000Fガチ走行! インプレで何を語る?
●文:ヤングマシン編集部 ●写真:minami、編集部
フレディ・スペンサー、CB1000Fを語る
──CB1000Fのインプレッションを聞かせてください。
とにかくすごく良くて、気持ちよかったよ。僕は何年もの間、新しいバイクのテストをしてきた。HRCのテストをしていた時も、必ず意識することが3つある。バイクから伝わる感覚、アジリティ、そして安定性だ。ビッグバイクで軽い操作性を出すのはとても難しいのだけれど、CB1000Fはその軽さがすごく伝わってきた。また、パワーもメカニカルな部分もとても良かったね。
僕の頭の中には、今まで乗ったすべてのバイクのデータがある。もちろん、1982年の記憶もある。19番のCB750Fだね。
ヘルメットで見えなかったかもしれないけれど、今回とてもニコニコしながら走ってしまったんだ。僕には昔のすべてのバイクの記憶があるからこそ、CB1000Fの軽さには驚かされたよ。
―― 走行後、CB1000FコンセプトLPL(開発責任者)原本貴之さん、大型FUNカテゴリーGM坂本順一さんと握手を交わす。
バイクの本当の性能とは?
──19番のCB750Fレーサーは、日本でも多くの人が憧れを抱いていました。改めてどんなマシンでしたか?
もはや僕の一部であり、自分を象徴するものだね。なにせ幼い頃から憧れていたホンダと契約して乗ったバイク、そしてデイトナで勝ったバイクなのだから。ホンダが新たなバイクを開発していくにあたり、その初期段階で関われたことは、僕にとってとても大きな意味があった。自分の情熱のすべてを注いだ、体の一部のようなバイクなんだ。
──CB1000Fには、その遺伝子が受け継がれているでしょうか?
19番は僕にとって、その時代でもっとも美しいスーパーバイクだった。あのエンジン音を聞いてごらん? 当時では考えられないパワーを持っていたのだと感じるはずだ。まるで現在のMotoGPマシンのようだよ(笑)。僕はその音を聞くと、1960年代、父の時代のシボレーカマロやポンティアックGTOのようなアメリカンマッスルカーを連想する。それほどパワーがあったんだ。
CB1000Fを見た時、まず昔ながらのレトロなスタイルと現代のテクノロジーが見事にコラボレーションしていると感じた。そして、走ってみてわかったのはエンジン特性だ。パワーやバイク全体のフィーリングについて、ホンダが持つDNAを強く感じ取ることができた。このバイクは乗っていて楽しく、とくにサーキットでもとても楽しめると思うよ。
中でも進化したと感じるのは安定性。サスペンションの感覚が、より安定性を増している。以前は、バイクのフィーリングを得るためにサスペンションを柔らかくセッティングする必要があったのだけれど、そうすると安定性が失われてしまう。ライダーとしては、バイクの挙動とグリップ力の均衡、その限界を見極める高い技術が求められたのさ。
もう少し噛み砕いて説明しよう。昔のバイクは、ある一定の限界線までは機能するけれど、その線を超えると一気に安定性を失う。限界までは行けるけれど、それを超えると一気にコントロール不能となり、放り出されてしまうんだ。2スト500ccなんかとくにね。
しかし今のバイクは、リミットに達してももう少し先まで行ける余裕がある。私がエンジニアと話す時、この「限界よりもう少し先へ行ける」ことを「フォーギビング(広い許容範囲)」という言葉で表現する。限界を超えてもなんとか乗りこなせるマシンが欲しいと伝えていたんだ。
現代のバイクは、自分が限界に達していることをライダーに伝え、なおかつそれを少し超えられる余白がある。なぜならサスペンションやタイヤなど、すべての性能が向上しているからね。今回少し走っただけでもバイクとしてのアジリティがとても高く、限界まで行っても「フォーギビング」、つまり余白があるバイクだと感じたね。
──メーターを含めた新時代のテクノロジーについてはいかがでしょう?
昔のスタイルのバイクを現代的にアップデートするのは良いことだ。走っていても、昔のメーターに比べて多くの情報が得られるわけだからね。レトロなカッコ良さと現代テクノロジーの融合は新鮮で、僕は好きだな。
―― 1982年にデイトナ100マイルを制したCB750F(#19)、1985年にGP500&GP250のWチャンピオンに輝いたNSR500(#4)とRS250RW(#19)、それぞれについてトークショーが行われた。CB750Fはステージ上でのエンジン始動も。その模様は電子版12月号などで公開予定だ。
さらなる詳細はヤングマシン電子版12月号にて
さらなるインプレッション、走行写真&動画はヤングマシン電子版12月号などで公開予定。CB750F(#19)、NSR500(#4)とRS250RW(#19)についても詳しく特集するつもりだ。
また、丸山浩とCB1000Fに加え、ともに走った1992年鈴鹿8時間耐久ロードレースについても語る記事は以下に掲載中。あわせてチェックを。
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みんなのコメント
言わんとしていることが我々にも理解できそうな言葉で伝えてくれる。
あの時代あのバイクでチャンピオンの座に輝いていた本物の言葉だ。