レースのレギュレーションから開放されたアストンマーティン・ヴァルキリーの進化バージョン「ヴァルキリーAMRプロ」が初公開。6.5リットルV12エンジンの最高出力は1000hpを発生
英国のアストンマーティンは2021年6月28日(現地時間)、ル・マン・レースカー・コンセプトのヴァルキリーの進化形となる「ヴァルキリーAMRプロ(Valkyrie AMR Pro)」を発表した。AMRはアストンマーティン・レーシングを意味。生産台数は40台で、デリバリーは2021年第4四半期の開始を予定する。
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アストンマーティンは2019年にエイドリアン・ニューウェイやレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズ(RBAT)などとタッグを組んで、WEC(FIA世界耐久選手権)のハイパーカー・クラスでル・マン24時間レースに参戦することを目的として、新たなレーシングカーのヴァルキリーを開発した。しかし、後に実現したアストンマーティンのF1参戦もあって、現時点でヴァルキリーの実戦投入は延期されている。
今回発表されたヴァルキリーAMRプロは、このル・マン・プロジェクト、すなわちレースに最適化されたシャシーやエアロダイナミクス、パワートレインなどをフィードバックしたうえで、WECハイパーカー・クラスのレギュレーションによる制約から離れて、車両デザインやパフォーマンスを構築したことが特徴である。
ベースモデルと同様、RBATと協力して開発するヴァルキリーAMRプロは、ホイールベースをヴァルキリー比で380mm延長し、さらにトレッドをフロント96mm、リア115mm拡大した新シャシーを採用。また、新造形のリアウイングなどアグレッシブな空力パッケージを導入して全長は266mm長くなり、さらに巧みなアンダーボディの処理と空力パーツがもたらすエアフロー効果により、ダウンフォース発生量はヴァルキリーの2倍を実現する。カーボンファイバー製ボディやカーボンファイバー製ウィッシュボーン式サスペンション、Perspexフロントおよびサイドウィンドウなど、軽量素材で仕立てたパーツを精力的に組み込んで着実な軽量化を図ったこともトピックだ。
パワーユニットに関しては、コスワース製の自然吸気6.5リットルV型12気筒エンジンをベースにさらなる高性能化を実施。レッドゾーンは1万1000rpmに設定し、最高出力は1000hpを目標にチューンアップするという。また、駆動用バッテリーを含む電動ハイブリッドシステムを省略し、ユニット自体の軽量化およびコンパクト化も果たした。
ヴァルキリーAMRプロの仕様およびパフォーマンスの詳細は、後日発表する予定。生産に関しては、2台のプロトタイプカーを経て、40台の限定で製作する。また、パフォーマンスの最終的な目標として、ル・マン24 時間レースが開催される1周13.629kmのサルト・サーキットにおいて、ラップタイム3分20秒を達成することを明言。このタイムは、世界最高峰の耐久レースを戦うLMP1クラスの最速マシンと同等の性能を備えていることを意味するという。
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