ポルシェ911のなかでも、1997年登場の996シリーズの中古車相場は比較的リーズナブルだ。その理由とは? 今後の動向についても考えた。
438万円の極上996に注目
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昨年、幕張メッセ(千葉県)で開催されたクラシックカーのトレードショー「オートモビル・カウンシル2020」では、ポルシェ・ジャパンが大規模なブースを出展した。ポルシェ本社のクラシック部門「ポルシェ・クラシック」を日本国内で支える「ポルシェ・クラシック・パートナー」の各拠点から、3台のポルシェ911と1台の912を展示したのだ。
なかでも、筆者が引き込まれたのは、もっとも高年式で、もっともリーズナブル(438万円)だった、996シリーズ時代の水冷911であった。
ポルシェ996系911は、1997年秋にデビューした。「901」の名で誕生し、その後34年にわたって生産された空冷911の後継車として、初の完全なフルモデルチェンジを受けた。
依然として「911」は名乗るものの、エンジンは排ガス対策のために、ついに水冷化されたのが大きな特徴だ。ボディも伝統的な911の面影は残すものの、リニューアルされている。水冷フラット6エンジンは993時代の3.6リッターから3.4リッターに縮小されたものの、DOHC4バルブ化が図られ、自然吸気の911エンジンとしては初めて300psの大台に達した。
「オートモビル・カウンシル」に展示された車両は「911カレラ4S」だった。エクステリアは、フロントのバンパースポイラーやリアバンパー、ワイド化されたフェンダーともに「ターボルック」に仕立てられていた、996シリーズのファイナルモデルである。
モスグリーン・メタリックのボディに、新車時のメーカーオプションだった、濃いタンのフルレザー内装を組み合わせた展示車は、新車そのものとまでは言わないものの、それに近い美しいコンディションを保持していた。
しかし996シリーズといえば、ポルシェ愛好家ならたぶん一度は聞いたことがあるに違いない“アキレス腱”が存在する。
996と前期型997、ボクスターなどに搭載された、初期の水冷ボクサー6気筒エンジン搭載車では、クランクシャフトの回転をカムシャフトへ伝達するために、タイミングチェーンの中継をしている「インターミディエイトシャフト(IMS)」が、ベアリングの不具合のために破損するトラブル、通称“インタミ問題”が発生し、最悪の場合にはエンジンの大手術が必要になるという。
そのインタミ問題の修理・対策済みか否かによって、販売価格も大幅に上下するようであるが、このカレラ4Sはバッチリ対策済みとのこと。これら好条件が重なる個体にもかかわらず、438万円というリーズナブルな価格がつけられていた。
それが996シリーズの現在の相場なのだ。空冷の911シリーズが高騰している今、比べればかなりリーズナブルである。はたして、この安値はずっと続くのだろうか?
996の真価が明らかになるのは、これから?
旧き良き“ナロー”から993シリーズに至る空冷911が、今、高騰している。また、997シリーズや991シリーズも、ユーズドカー市場で高値安定だ。ところが、唯一996シリーズだけは「GT3」などのハードコアな“役モノ”以外は、これまで明らかに冷遇されていた。
この日展示されていた“役モノ”に準ずる人気のカレラ4Sといえども、中古車輸入車ショップやポルシェ専門店が300万円台あたりで販売するのが、一般的だ。
今回の出品車両は、「ポルシェ・クラシック」がショーへ展示するのに相応しい、かなり良い状態であるものの、それでも400万円台半ばに収まるのだからリーズナブルと言っても過言ではない。
歴代911シリーズのなかでも不人気車のレッテルを貼られてしまっている感が否めない996シリーズであるものの、長年ポルシェ一筋で愛してきたエンスージアストや、クラシック・ポルシェにかかわるディーラーなど“ポルシェ識者”ともいうべき諸氏のあいだでは「996シリーズこそ次世代の注目モデル!」なる見方があるという。
たとえば、日本で“涙目”、英語圏では“Fried Egg(目玉焼き)”などと呼ばれて敬遠されがちだった、初代ボクスターと共通のフェイスについても、誕生から四半世紀以上を経た今となっては、“ヤングタイマー・クラシック”と呼ばれる1980~1990年代の高揚感を体現した、独自の個性として評価されつつあるそうだ。
もっとも996シリーズでなにより特筆すべきなのは、ポルシェ911としての矜持が、ちゃんとドライブフィールにも体現されている点だ。古くからのポルシェ・ファンが愛してやまない“ポルシェを着る”という一体感では、997以降はもちろんのこと、空冷最終モデルの993にも勝るという意見も多い。
また、997後期以降に搭載される直噴フラット6のエキゾーストノートが、野太さや迫力を強調したものとなったのに対し、996のポート吸気フラット6は、往年のレーシング・ポルシェを連想させるような、甲高いサウンドを聴かせるのだ。
今こそ996!
996シリーズの開発当時、水冷化によって“ポルシェらしさが失われた”と、批判が殺到することを危惧したポルシェ技術陣は、少々やり過ぎとも感じられるほどに“ポルシェらしさ”あるいは“911らしさ”にこだわったという。
その成果として誕生しただけあって、まぎれもないポルシェ911であることが、デビューから四半世紀近い年月を経て、ようやく認められるようになってきたというのだ。
ホンの10年ほど前には、空冷911も、アンダー500万円で手が届く車両がマーケットに溢れかえっていたが、現在は高嶺の花。新型コロナ禍以降、若干沈静化した感もあるが、それでも状態のいい個体は1000万円近い。
だから996についても「あのとき買っておけば良かったのに……」という、空冷911で起こったような“悲喜劇”が、これからは当たり前になってしまう可能性は否定できない。
ちなみに今後、ポルシェ・クラシックとしても996シリーズに力を入れていく動きがあるそうで、それがのちのちのマーケットに反映する可能性も否めない。
「今こそ996!」という考え方も、けっこうアリなのかと納得してしまったのである。
CB文・武田公実
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みんなのコメント
内装は旧式でボロいし。
いい車であっても人気がなければ安いのは当然のこと。
欲しい人にとってはラッキーですけどね!