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BMWの一番小さなアドベンチャーバイク「G310GS」 普通二輪免許で味わえる「GS」シリーズ共通の安心感

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BMWの一番小さなアドベンチャーバイク「G310GS」 普通二輪免許で味わえる「GS」シリーズ共通の安心感

■「GS」のコンセプトを小排気量車で濃縮還元

 数あるアドベンチャーバイクの中でも、このカテゴリーを牽引してきたのが、発売以来40年以上にわたるBMWモトラッドの「GS」シリーズです。現在、水平対向エンジンを搭載する「R1250GS」、850ccの並列2気筒エンジンを搭載する「F850GS」、「F750GS」に加え、今回テストをしたGSシリーズの末弟、水冷単気筒312ccエンジンを搭載する「G310GS」がラインナップしています。

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 そのスタイルはGSシリーズに共通したもので、前輪のフェンダーの上にはエッジの効いたフロントノーズ、前後サスペンションは180mmのストロークを持ち、前輪は19インチ、後輪は17インチサイズのホイールを履くことにより、舗装路、未舗装路の両方を走破する車体特性が与えられているのです。悪路走破性向上のためにグランドクリアランスも確保されています。その分シート高は835mmとなるものの、「G310GS」のキャラクターを考えれば納得。

「310」という排気量表示から「250クラスと同様なか」というイメージをもって対峙した車体は意外にも大柄。ライダー、パッセンジャー、そしてラゲッジラックのために、しっかりとスペースが確保されています。

 11.5リットルのレギュラーガソリンを飲み込む燃料タンクは外観から想像するより小ぶりですが、WMTC(クラス表示はありませんが、最高速からすると3-2と想像します)燃費値が30.3km/lと悪くないため、行動範囲は想像以上に広く、WMTCクラス3-2のテストメニューと比べたら、明らかに国内の走行環境のほうが速度域が低く、ツーリング実燃費ではさらに走行レンジは伸びるハズ。

 シート、ステップ、ハンドルバーで造るポジションもツーリングで走ることに適したものであり、高速道路の長い移動やダート走行もカバーする汎用性がもたせてあります。また、小ぶりながらスクリーンがあることで走行風でライダーが疲れにくい装備を持つことも「G310GS」の特徴です。

 車重は175kgありますが、車格から想像するような重さはあまり感じません。その源泉は後方にシリンダーが傾いたエンジンでしょう。シリンダー前方から吸気し後方から排気する独特のスタイルです。エンジンの中で重量のあるクランクケースの位置をできるだけ前輪に近づけ、車体の重量バランスを最適化しつつ、前輪がストロークするためのスペースを確保できるよう、排気系を後方に配置したものです。

 そしてこのエンジン、低回転から250クラスとはひと味違うトルクを生み出し、車重をまったく意識させずに動き出します。この車体が生み出す一体化は、市街地では軽快な加速とライダーとの距離感を詰めてくるハンドリングの良さに表れています。

 2021年モデルから電子スロットル「エレクトロニック・スロットル・グリップ」を採用したことで、操作力が軽く、同時にエンジンレスポンスにより一体感があるものになった印象がマル。スムーズさが増し、ドライバビリティを含め加速性能も上がっているようで、全体的な質感が大人びた美味しいエンジンを味わえるのです。

 ブレーキまわりも必要にして充分。ソフトな印象のフロントサスペンションとしっかり感のあるリアサスペンションの組み合せにより、路面のギャップを効果的に吸収し、タイヤのグリップ感を生み出すタイプで、荒れた路面、濡れた路面でも不安なく走れます。

 ETC2.0車載器を標準装備するのは他のBMWモデルと同様。高速道路ユーザーにはもはや必須アイテムだけに嬉しいところ。それにこの排気量ながら、追い越し加速ではなかなかの鋭さを持っているのです。120km/h制限の道を巡航することに何ら苦が無いのは、ヨーロッパの多くで130km/h制限の道を走ることを前提に造られている余裕でしょう。2時間ほどの高速道路移動をした後でも疲れはミニマムでした。

 そして郊外のワインディングでは、想像以上に「G310GS」がハンドリングマシンであり、ツイスティールートが楽しめます。ロードモデルの「G310R」と比較すれば、バイクがコーナーに向け車体が寝てゆく速度がややゆったりしていますが、そのコーナリング感はしっかりしていて前輪から向きが変わり、単気筒エンジンが美味しいトルクを生み出す5000rpmから上をキープすることで楽しい時間を過ごせます。

 短い時間ですが、オフロードも試しました。「G310GS」は完全無敵のオフロードバイクではありませんが、林道レベルのダートであれば、250ccクラスのバイクと同等に走るこことができます。適度なストロークを持つサスペンションを通じて、車重をタイヤに伝えることでダートでもグリップ感を味わえます。市街地で味わった低速域でのハンドリングの印象同様、ダート路でも一体感ある走りで信頼感があり、恐くありません。このあたりは大型のGSモデルと似ていて、初めてのオフロード走行だとしても安心して通過できるのでは、と考えます。

 総じて、走る場面を問わずどこでも楽しめる点と、ツーリング性能に秀でた印象はさすがBMW、というブランド力も併せて味わえた、まさに濃縮還元なバイクでした。それに250クラスと大きく変わらないプライスタグが、想像していた以上にバーゲンに感じたのです。

※ ※ ※

 BMW Motorrad「G 310 GS」GS40周年記念カラー:コスミック・ブラックの価格(消費税10%込み)は、71万9000円からとなっています。

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