生活必需品から趣味のアイテムまで、様々な商品が出品されるネットオークションサイト。
ネット環境があれば、気軽に出品落札ができることから、今やすっかりメジャーな存在となった。そのなかには、特殊なものも含まれる。その代表例が、「YAHOO! JAPAN官公庁オークション」に出展される消防車や救急車などの働くクルマたちだ。
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一体なぜ、これらの働くクルマたちが出品されるのか。官公庁オークションに参加する地方自治体へと電話取材を行った。
文/大音安弘
写真/Adobe Stock、大音安弘
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■出品者は行政機関のみの専用オークション
「YAHOO! 官公庁オークション」は、2004年よりYAHOO! JAPANがサービスを開始した行政機関のためのネットオークションだ。
出品される商品は、大きくふたつあり、官公庁所有の財産、そして、税金滞納者の差し押さえ財産がある。出品される商品は、家電や事務用品、不動産など、かなり幅が広い。
通常のヤフオクとも参加方法が異なるのも官公庁オークションの特徴で、入札物件ごとの参加申し込みが必要となる。さらに入札前に、それぞれの出品に設定される保証金を納付しなくてはならない(除外品もあり)。
落札方法は、入札期間中に何度でも入札が可能な「せり売り形式」と入札期間中に1回だけ入札可能な「入札形式」のふたつがあり、いずれも最高値を付けた人が落札できる。救急車や消防車などの公用車は、公有財産に適用される「入札形式」での出品となる。
現在、2020年5月上旬に入札が行われる官公庁オークションの参加申し込みが行われており、自動車関連だけで、236件にもなる。出品される公用車だけをみても、消防車、救急車、バン、バス、トラック、ゴミ収集車など様々なクルマたちが揃う。実際に、消防車などを出品する参加自治体である兵庫県豊岡市役所が取材に応じてくれた。
■役目を終えた公用車を財源のひとつに
豊岡市は、日本海に面した兵庫県北部に位置する7.8万人の街だ。日本最後の野生のコウノトリの生息地として知られる。今回のオークションには、救急車1台と消防車6台を含む計8台の車両を出品している。売却予定の消防車を見ていくと、2000年(平成12年)に購入され、消防団で活躍してきたものが中心のようだ。
出品車両のなかで気になったのが、トヨタ「ランドクルーザー」の消防車だ。2000年登録車でありながら、走行わずか8024km。2020年12月まで現役だった車両である。予定価格も70万円と低めに設定されているので、ランクル好きなら、思わず手を伸ばしたくなりそうだ。
オークションを担当する豊岡市財政課経営管理係の担当者に話を伺うと、出品車両は、公用車の入れ替えで、その役目を終えたものを出品しているという。ランクル消防車のように低走行のものもあるが、古くなると、やはりメンテンナンスなどの維持費が高くなり、トータルで考えると、車両の入れ替えが得策となるようだ。実際、このランクル消防車にも、雨漏りなどの不具合が記載されていた。
これまで豊岡市では、役目を終えた公用車を廃車処分していたそうだが、少しでも財政の足しになればと、2016年(平成28年)から、YAHOO! 官公庁オークションで、車両の出品を開始したという。気になる売却益だが、豊岡市の公式サイトでは、インターネット公有財産売却の開札結果を公表しているという。その結果の一部を下記に抜粋してみた。
やはり定期的にメンテナンスされてきたことが評価されているのか、想像するよりも、ずっといい値段で引き取られていることがわかる。特に重機の人気が高いようで、予定価格を大幅に上回る高値で落札されている。
入札時は予定価格よりも高い値段を提示する必要があるが、予定価格自体に厳密なルールはなく、状態や相場などを参考に決めているとのこと。ただ市価よりもお得な金額を設定しているようであった。
■特殊車両は個人でも入手可能?
それにしても、消防車や救急車などの特殊車両を、一体誰が落札しているのだろうか。豊岡市では、落札者についてはコメントできないとしたものの、個人と業者の両方が含まれるようだと教えてくれた。つまり、個人での参加もOKなのだ。
出品される車両については、事前に内覧会が実施されるが、確認に来るケースは、まれだという。ほとんどは電話での問い合わせのみ。ただ細かい部分まで質問されることもあるそうだ。
また、その後の活用方法についても不明とのこと。筆者自身の経験では、凍った湖を活用する施設でレッカー車として活躍する元消防車を目撃したケースがある。それ以外の活用例としては、消防車や救急車の配備が義務付けられている施設での活用や、業者による海外への輸出などが予想される。もちろん、個人的に、趣味や仕事に活用している人もいるはずだ。
消防車はポンプ車やはしご車、化学車など機能や装備によって大きく異なるが、新車ではポンプ車が1300万円~、タンク車が1600万円~、はしご車は15mクラスで5000万円~、40mクラスで1億8000万円~もする。オークションには、40mクラスのはしご車で40万円という掘り出し物もある
救急車は10~50万円で出品されている。新車では、トヨタ「ハイエース」ベースの救急車が標準仕様で500万円台、ハイメディックという高規格仕様で1100万円だが、搭載する医療器材を含めると1500万円程度かかるので、2000万円程度が相場。現場で使用したとはいえ、破格であることがわかる
ほかの出品する地方自治体にも問い合わせたが、豊岡市同様、役目を終えた公用車を出展し、財源確保の取り組みのひとつとしているとのこと。入札者が見学に来るケースもまれで、確認が電話のみというのも同様であった。
筆者が女神湖(長野県)で撮影した、サファリの元消防車と思われる車両
■貴重な収入源となる官公庁オークションは終わる!?
行政機関のための新たな収入源のひとつへと成長を遂げた「YAHOO! 官公庁オークション」だが、運営する「YAHOO! JAPAN」は、2021年3月で同サービスを終了することを発表し、既に参加する行政機関への通知が行われている。
企業として、収益性があまり高くないモデルという判断が下されたようだ。ただ単に終わらせてしまうわけでなく、異なる形での対応が検討されているようだ。話を伺った豊岡市でも、2021年度以降の対応は、今後検討していくとのことだ。
2020年でひとつの終止符を迎える官公庁オークションには、日用品として使えるものや乗用車も出品されることがあるので、参加してみるのも面白いだろう。
ただ、もし個人で、救急車や消防車などの特殊な公用車に入札する場合は、緊急車両向けや専用装備などが取り外されることがあることを忘れずに。赤色灯やサイレンアンプなどは取り外されており、基本的に車体のみの売却となるからだ。とはいえ、ポンプ車や清掃車など車両と一体化した機能はそのままとなる。
また引き渡し時は、現状となり、運搬などの手配も落札者の責任で行わなくてはないので、ご注意を。
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この筆者さんは未来の人なんだね。