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スピリットは宿すのか アルファ・ロメオ・トナーレ アウディQ3 コンパクトSUV比較 前編

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スピリットは宿すのか アルファ・ロメオ・トナーレ アウディQ3 コンパクトSUV比較 前編

自動車市場の流れを汲んだ新モデル

AUTOCARの読者には、アルファ・ロメオが大好きだという方も少なくないだろう。筆者も、そんな1人だ。

【画像】アルファ・ロメオ・トナーレ アウディQ3 欧州で競合する小型ハイブリッドSUVと比較 全140枚

一般的に長い歴史を有する自動車ブランドは、背負うものが重く機動性で劣る。大きく変化する時代を追いかけることは、簡単ではないといえる。新しいモデルを発売するまでに、乗り越えなければならないシガラミも多いに違いない。

他方で、スポーツカーを中心に展開するブランドは、商業的な成功を得られるクルマ作りで悩みがち。沢山のスポーツカー・ファンが存在することを期待したいところだが、現実的にコストを回収することは簡単ではない。

この2つの大きな課題は、長年アルファ・ロメオが直面してきたものだ。上層部が掲げる理想像に、実際が伴わないことの理由の1つでもある。優れた可能性を秘めていても。

現在の自動車市場の流れを汲んだ新モデル、トナーレが誕生した理由は、まさにそこにある。欧州では直近の10年以上、販売上位を占めるカテゴリーに属するコンパクトSUVは、ブランド復調という重荷を背負っている。

技術者のコダワリが詰まった高コストなスポーツサルーン、ジュリアとはまったく違うベクトルを向いている。賢明に、儲けを狙ったモデルといえる。

根っからのクルマ好きが、アルファ・ロメオへ期待するモデルとはいえないだろう。ブランドの熱心なファン、アルフィスタにとっては、愛情を注げるモデルはここしばらく登場していない、というのが本音かもしれないが。

12.0kWhのバッテリーで最長69km走れる

最新のアルファ・ロメオとして、小さなSUVでもアルファ・スピリットを宿している可能性はある。ブランドにとって、トナーレは正のスパイラルを生み出すキッカケになり得るだろうか。

ロンドンの北西、チルターン丘陵地帯で探ってみたいテーマはこれだ。試乗日は生憎の雪となってしまったが、同カテゴリーに属する人気モデルとの比較で。

今回、英国編集部が用意したトナーレは、トップグレードのヴェローチェ。プラグイン・ハイブリッド(PHEV)の左ハンドル車で、英国価格は4万8495ポンド(約780万円)となる。アルファ・ロメオの狙いが、しっかり体現されているべき仕様といえる。

比較相手に指名したのは、ドイツのプレミアム・ブランドとして揺るがない、アウディのQ3。同じくPHEVとなる、45 TFSIe Sラインを選んだ。全長は4484mmで、トナーレの4530mmと比較するとひと回り小さい。

アウディといえば四輪駆動システムのクワトロを想像すると思うが、これは前輪駆動。英国価格は4万4585ポンド(約717万円)と、約4000ポンド(約64万円)も安い。カタログ値でのCO2排出量はやや多いものの、動力性能は概ね並ぶといっていい。

トナーレの駆動用バッテリーは実容量で12.0kWhと、Q3 45 TFSIeより1.6kWh大きい。電気の力だけで最長69km走れるとうたわれる。

アルファ・ロメオは、英国では一般的な会社からの貸与車両の候補として、選ばれる機会が少なかった。しかしPHEVなら税金で優遇されるため、有力な選択肢になり得る。

拮抗するスタイリングの訴求力

これまでのモデルとは異なり、合理的にもSUVのトナーレを選択して欲しいとアルファ・ロメオは考えている。確かに、並べてみるとアドバンテージを感じられるかもしれない。

車内空間は、ひと回り大きなボディサイズを活かしゆとりがある。価格帯としては装備が充実しており、インテリアの仕立ては高品質。大人4人が快適に過ごすことができる。

新規顧客に対するショールームでのアピール力は、もしかすると充分ではないかもしれない。数年前に登場した、サルーンのジュリアやSUVのステルヴィオに並ぶほどのデザイン的な訴求力が備わるといえるのか、筆者は疑問を抱いてしまう。

コンパクトSUVとしては、カッコイイ部類に入る。だが、多くの要素で自己主張する競合モデルと比較して、トナーレが際立つほどではないだろう。

横置きエンジンをフロントオーバーハングの前に搭載した、小柄で背の高いモデルの場合、視覚的な魅力を得ることは簡単ではない。地面とのスタンスやプロポーションの兼ね合いは、デザイナーを悩ませたことだろう。

トナーレの方がカッコイイと読者が感じたとしても、もちろん理解できる。個人的には、短いボディにシャープな面構成が施された、Q3のスタイリングの方が好ましい。

とはいえ、Q3もグラフィック的な処理がもう少し控えめで、テクノロジーを売りにするアウディらしさが表現されていてもいいとは思う。いかがだろう。

この続きは後編にて。

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