ホンダ「インサイト」というクルマに、どのような印象を持っているだろうか。燃費スペシャルの2シーターモデルとして1999年に誕生したインサイトは、超軽量アルミボディのおかげもあり北米においては長らく燃費ナンバーワンの座を守ったクルマだった。そのため海外では環境性能や先進性を象徴するモデルといったイメージがある。また、プリウスイーターとしてハイブリッドカーの低価格化を進めた2代目の存在もあり、ホンダの電動専用モデルの名前という風に捉えているファンも少なくないだろう。
■ホンダ・インサイトの新型(3代目)が、2018年のうちに日本市場に復活する
【写真34枚】ホンダ、新型インサイトの実車を披露。年内発売決定で予想価格は?
初代と2代目は見るからに空力を優先したハッチバック・スタイルだったが、今回の3代目となる新型インサイトではガラリとスタイルを変えた。「プライム・グリーン・セダン」をテーマに、ロングノーズをアピールするエレガントなセダンボディへと変身した。ワイド感を強調するフロントマスク、上質さを表現する水平基調のキャラクターライン、リアコンビネーションランプによりグラマラスさを強調したスタイリングからは、これまでのインサイトとは異なる印象を受ける。とくに日本仕様では専用にクロームとなったフロントグリルが上級感も表現しているようだ。デザイナーによれば、開発時の裏テーマは「写真映えするハンサムボディ」なのだという。イマ風にいえば「インスタ映え」するスタイリングを目指したといえそうだ。
そんな新型インサイトのボディサイズは全長:4,675mm、全幅:1,820mm、全高:1,410mmと初代、2代目と比べて立派に成長した。エンジンこそ1.5リッターとなっているが、そこに組み合わされるのは2モーターハイブリッドシステムであり、モーターの最大トルクは267Nmというからガソリンエンジンでいうと2.8リッターに相当するトルク感が期待できる。
すなわち、インサイトは3代目にして車格をぐっと上げている。ホンダとしては「シビックとアコードの中間に位置するモデル」という位置づけへとポジションを変えた。当然、価格的にもシビック(265万円)とアコード(385~410万円)の中間的なものになるだろう。従来までのインサイトのイメージからすると、かなり高価格帯へシフトしたようにも感じるが、メカニズムを考えると納得できる。
なにしろ、新型インサイトのパワートレインは、クラリティPHEV(588万円)と同等の、最大熱効率40.5%を誇る世界トップレベルの1.5リッターエンジンとアコードなどで定評のある高効率な2モーターシステムによるハイブリッドであるのだ。初代インサイトは、かなり技術オリエンテッドなキャラクターもあったが、そのスピリットは3代目モデルにも受け継がれているといえそうだ。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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