はじめに
ホンダは自社初の本格量産バッテリーEVを発表するにあたり、世界でもっとも知名度の高いスマートフォンのメーカーのやりかたを見習ったようだ。このふたつの世界的企業が、これまでどれほど違うデザイン哲学を持ち続けてきたのかを考えると、ちょっとばかり奇妙な話に思える。
ホンダの言い分はこうだ。自社の新たなシティカーであるeとアップルのiPhoneとの類似性は、容易に見て取れる、と。
それが正確な表現かどうか、その判断はひとそれぞれだろう。とはいえ、どちらの商品も目を引くデザインとシームレスな機能性をなによりも重要視し、それが価格面のプレミアムを裏付けている、ということらしい。
すべてが白紙から立ち上げられたデザインとプラットフォームを得たeは、ホンダの電動化戦略を牽引する存在になると見込まれている。そうはいっても、少なくとも重要な要素のひとつに疑問が残るのも事実だ。
それは一充電あたりの航続距離だ。手頃な価格の量販EVは、多くがWLTPモードで320km以上を謳うなかにあって、このコンパクトなeは英国での公称値が220kmほどに止まるというのはどうにも物足りない。
しかしながら、ホンダはそれがこのクルマにふさわしいアプローチだと確信している。たとえその戦略が、ユーザー像や用途を厳密に決め付けることで正当化されるとしてもだ。
ホンダのメッセージを読み解くならば、このクルマの購買層は、そのデザインやコンパクトさがお気に召し、長距離を走れないクルマに安からぬ金額を支払うことをよしとする個人ユーザー、ということになる。
ホンダが初の本格ピュアEVをこれほど特化した決断は、次世代シティカーを生み出すうえで吉と出たのか、はたまた凶か。明らかにしていこう。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
多くのユーザーが、その斬新なエクステリアデザインだけで、eの購入を決心することは十分に考えられる。
2017年に公開されたショーモデルのアーバンEVコンセプトは、もう少し大胆なスタイリングで、プロポーションもより完璧に近かった。それがそのまま市販化されなかったのを残念に思うのは、なにもわれわれだけではないだろう。
それでも、このクルマはじつにインパクトがあって個性的。ヴィジュアル的にアピールできる作品と呼べるものだ。
ホンダの市販EVの歴史は、ここにはじまったわけではない。1997年には、リースのみの実験的なものだったが、EVプラスと銘打った電動ハッチバックを発売している。
しかし、前例があるとはいっても、プラットフォームを既存車種から流用せずに、EV専用品の新規開発に投資したことは、自動車メーカーとしてなかなか思い切った決定だったといえる。
そのシャシーは全面的にスティール素材を用い、この手のEVの多くがそうであるように、リチウムイオン電池をキャビンの床下に積む。
ところが、ほとんどのライバルたちとは、モーターの搭載位置に違いが見られる。136psと154psの2仕様が用意される交流電動機は、リアに置かれて後輪を駆動するのだ。一方のフロントには、電力制御システムや充電器が設置される。充電ポートはボンネット上に用意される。
このレイアウトにより、前後重量配分は限りなく50:50に近づけることが可能になったというが、そのことはわれわれも実測して確認できた。だが、メリットはそれに限ったものではない。
戦後に大挙して生まれた小型乗用車の多くが証明していることだが、リアエンジンレイアウトはスペース効率を高めるのにきわめて有効なのだ。それゆえ、3.9mを切る全長から想像する以上に広いキャビンを、このクルマは備えている。
さらに、前輪ホイールハウスを広く取ることもできるので、大きな舵角を確保して、4.3mという最小回転半径を実現した。フロントよりリアの幅をワイドにしたホイールも、これに寄与する効果をもたらす。
サスペンションは四輪とも独立懸架で、マクファーソンストラットにコイルスプリングの組み合わせ。走りにこだわるドライバーにとっては、やる気を駆り立ててくれるセットアップだろう。
しかし、車両重量を知ったら、その気は多少なりとも削がれるかもしれない。テスト車は154psモーターを擁するアドバンス仕様で、実測値は公称値を下回ったものの、それでも1535kgあるのだ。
これは、2013年に計測したBMW i3を120kgも上回る。昨年テストしたMG ZS EVはクロスオーバースタイルのEVだが、このホンダのコンパクトEVより31kg重いだけだった。小さくても軽いとは限らないということになるが、それがコンパクトEVのスタンダードというわけではない。このクルマの場合は、ということだ。
内装 ★★★★★★★★☆☆
エクステリアと同じく、上々のデザイン的な魅力がキャビンにも見受けられる。
大ぶりなフロントドアを開け、身体を滑り込ませば、迎えてくれる室内環境はすばらしく開放感があり、ヴィジュアル的に惹かれるものを認められるが、それだけではない。造りがソリッドで、テクノロジー的に洗練されている。
シートは幅広く、柔らかさが顕著で、横方向のサポートがやや足りない。着座位置は比較的高め。表皮はドアの内張りともども、見た目にすっきりしたグレーのファブリックで、シックな最高級ソファーから剥ぎ取ってきたかのようだ。
木目調トリムのダッシュボードと、コントラストとなっているブラウンのシートベルトも含め、それらが醸し出す上品さや物欲を刺激する感じは、ライバル車には見られないもの。もっとも、このちょっとばかりトリッキーな演出でユーザーの心を揺さぶるアプローチは、やはりRRレイアウトのデザイナーズEVともいうべきBMW i3と同じ手法だが。
そんな室内で、もっとも目を引くのが、ダッシュボード上にズラリと並んだディスプレイの列だ。その数、全部で5面。そのうち、両端のふたつは、デジタルドアミラーのカメラが捉えた外部映像を投影する。
そのほかは、ドライバーの前のひとつがメーターパネル、残りふたつがインフォテインメントシステム用だ。先進性という点だけでみれば、テスラにも張り合えるのではないだろうか。
エルゴノミクス的には上々だ。シートとステアリングコラムのアジャスト性は十分。空調に実体スイッチを残したホンダの判断には、称賛を送りたい。操作系は、インフォテインメントシステムに統合するのも簡単だったはずだ。キャビンには収納スペースも豊富で、後席には乗員の数だけドリンクホルダーが備わる。
その乗車定員は4名で、前席に背の高いドライバーが座ると、後席では必然的に、脚を開いてフロントのシートバックを避けなくてはならなくなる。
一般的なシートポジションでの後席レッグルームは660mmで、フルサイズのBセグメントにもこれを下回るものはあるから、このクルマのサイズを考えれば悪くない数字だ。とはいえ、平均的な体型の大人が前後に座ると、後席に窮屈さを感じず快適に過ごせるほどの空間は残らない。
荷室はやや限定的で、通常時の容量はウインドウの高さまでで171L。リアシートを倒せば、最大861Lまで拡大できる。一般的なBセグメントの水準に大きく劣っているわけではないが、短距離移動用のランナバウトとしてならともかく、ファミリーカーとして考えれば十分とはいえない。
走り ★★★★★★★★☆☆
eのパフォーマンスレベルは、必然的に走ることになるであろう、周囲にクルマがひしめく環境に適したものだ。全般的にいって、このクルマはパワフルさや鋭いレスポンスで売るタイプのEVではない。それでも、望めばかなり元気な瞬発力のある加速をみせる。
48-80km/h加速は、市街地を出て、スローに走るトラクターを追い越すようなシチュエーションに当てはまるが、そのタイムは3秒フラット。もっともこれは、i3RExが2013年にマークした2.7秒に及ばないし、より大柄なキアe-ニロやヒュンダイ・コナ・エレクトリックにも後れをとる。
それでも、市街地やその周辺で、このeをきわめてエネルギッシュに感じさせ、機を捉えて車間にスルリと合流するには困らないはずだ。
走行モードはノーマルとスポーツで、ふたつの主な違いはスロットルペダル操作へのレスポンスだ。
ノーマルモードでは、急加速するにはかなりペダルを踏み込まなければならない。それでも、踏めばこのRRレイアウトのEVはテールを沈めて、前方へ弾かれたように飛び出す。それは、32.1kg-mのトルクを瞬時に叩き出すクルマに期待するレベルのレスポンスをさえ、かなり上回るものだ。
そこから、ロッカースイッチでスポーツモードに切り替えると、当初のソフトなスロットルレスポンスが、かなりシャープになる。
回生ブレーキは、初期設定では効きが比較的抑えめだが、ドライブセレクター直後のボタンを押すとシングルペダル走行モードを選ぶことができる。エネルギー回生のセッティングは、ステアリングホイール裏のパドルで、好みの効き具合に変更可能だ。
もっともアグレッシブなセッティングでも、このクルマの走りが全体的にそうであるように、それほどアグレッシブではないのだが、そこではモーターの回生制御と四輪の摩擦ブレーキを組み合わせ、みごとになめらかな減速を実現する。適切なペダルフィールとプログレッシブな効きによって、スムースに制動できるのだ。
フルブレーキングでは、113km/hから静止するまでに44.5mを要する。EVにはいまだに珍しいスポーツタイヤのミシュラン・パイロットスポーツ4は、間違いなくこれに大きく寄与している。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
過去のインフォテインメントシステムがいかにぎこちなく扱いづらかったかを考えれば、ホンダがこれほど急激なデジタル化をやってのけたことはたいしたものだ。
概して、ディスプレイはすばらしく鮮明で、レスポンスにも優れる。ただし、それぞれの境目がやや曖昧だ。8.8インチTFT液晶を用いた計器盤は、クリアで読み取りやすい。表示内容は変更が可能で、充電レベルや航続可能距離、走行時間など、運転に関わるデータを投影することもできる。
いっぽう、インフォテインメント用の12.3インチ2面ディスプレイは、設定変更やパーソナライゼーションのレベルがまったくの新次元に達している。2画面あることにより、オーディオやナビの操作が助手席からもできるようになり、ボタン操作でそれをドライバー側の画面へとパスできるのだ。
じつにクールだ。Apple CarPlayなどにも対応しているが、このシステムにそれが必要なのか疑問に思えてくる。ともかく、これまでホンダが用意したいかなるインフォテインメントシステムより、はるかに出来のいいデバイスだ。
燈火類
ヘッドライトはLEDで、ハイビームアシストを標準装備。デザインはおみごとだが、今回はその実力を試す機会に恵まれなかった。
ステアリングとペダル
ブレーキペダルはど真ん中。シートのセンターライン上に位置するが、踏面が広いので、左右どちらの足でも操作できる。ステアリングコラムは前後と上下のいずれも調整可能だが、テレスコピック量はもう少しほしかった。
操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
比較的スローなステアリングと、コンパクトで背の高いリアエンジン車にありがちなサスペンションチューニングは、低速域で奇妙なほど扱いにくいことがある。だが、eはそうではない。
数百mも走れば、リアのスプリングが比較的ソフトで、フロントの荷重がリアより小さいことはわかりはじめるだろう。これらの要素は、グリップ限界で穏やかなアンダーステアを生じる。それを知るのは、カントリーロードで元気に走ればそう難しいことではない。
しかし、このクルマの主戦場となるであろう市街地では、俊敏で正確に操舵でき、ボディのロールは緊密なコントロールをキープする。それでいて、低速域で硬く忙しない乗り心地に悩まされることもない。
ジャンクションやラウンドアバウトを駆け抜けるのも楽しめる。視認性は非常に優れ、ボディ幅が抑えられているので扱いやすい。グリップや走りの落ち着きぶりは、力のある電動パワートレインを持つクルマに必要なレベルを満たしている。
だが、市街地での安定ぶりが、必ずしもB級道路でも再現されるわけではない。サスペンションの柔らかさは、不整路面でややボディを揺り動かしてしまいがちなところがある。路肩寄りの段差では横方向にそわつき、頭が振られるほどだ。
大きな突き上げではピッチングや波打つような挙動も発生する。クルマの重心近くに座っているドライバーは、すべてを感知するわけではないかもしれない。
それでもやや高い着座位置が、それを伝えてくる。そのドライビングポジションは、サイズこそ小さいが、2階建ての建物をフロントにあるベッドルームで動かしているような感覚になる。
速度を上げれば、安定感は十分。ただし、グリップ限界はそれほど高くないし、アンダーステアは穏やかながらも一度発生すると根強い。強くはないが効果的に機能する電子制御のスタビリティコントロールは、弱めることはできるが完全にカットすることはできない。
速いコーナリングでのロールは、じつに小気味よい。ありがたいことに、ロール角は大きくない。それでも、前輪の食い付きを融通の効かないようなかたちで失わせるだけの大きさはある。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
ホンダ曰く、乗り心地や静粛性のベンチマークは、eよりずっと大きいDセグメントに求めたとのこと。それは明らかに見て取れる。まるでもっとスプリングの柔らかいEVのようで、ダンパーの動きにかなりの追従性を示す。
セカンダリーの突き上げに起因するサスペンションノイズは、キャビンへ届く前にしっかり打ち消されている。衝撃は、足元をゴム張りにしているかのようにうまく角を丸めている。その有効性は、フォルクスワーゲン・ポロに似たものさえ感じさせる。
低速でとくに荒れたストレートを走ると、ボディコントロールはそれに屈し、そこそこ落ち着きのないものになる。とくにその動きは、リアアクスル周辺に集中しているように感じられる。
それでも、そんな不満が、eの乗り心地がこのサイズのEVでは得難いほど品のいいスムースさを備えているという事実を損ねることはほとんどない。
これでもし、航続距離がもっとあれば、さもなくば、オーナーが充電の頻度を許容できるなら、メーカーが想定する以上の長距離走行に用いることも苦ではないだろう。
ドアミラー代わりにカメラを設置したことで、風切り音はミニマム。ロードノイズも、取り立てて大きなものではない。
購入と維持 ★★★★★☆☆☆☆☆
WLTPモードの航続距離は201kmで、車両価格は低排出ガス車両庁(OLEV)の3000ポンド(約42万円)助成を受けて2万9160ポンド(約408万円)。ひとによってこの金額をどう受け取るかは違うだろうが、それでもeアドバンスは割高に思える。
ルノー・ゾエの最上級グレードが385km走れて3万995ポンド(約434万円)、プジョーe-208GTが340kmで3万275ポンド(約424万円)。それらに比べると、航続距離でも実用性でも見劣りがする。
3万900ポンド(約433万円)のミニ・エレクトリックのトップグレードも、225~227kmの航続距離を謳う。ほぼ同程度だが、数値にはわずかながら差があるのだ。
テストでの平均電費が5km/kWhということは、eの現実的な航続距離は180km弱となるはずだ。ホイールサイズが小さく、スポーティでないタイヤを履いたベースグレードなら向上を見込めるが、そのマージンは10%程度だろう。
このクルマを真剣に検討するなら、ホンダの想定どおり、短距離コミューターとして使うことを受け入れなければならない。思い切って購入に踏み切れば、手に入るのは装備が充実し、スタイリッシュで、快適で、走りもおもしろく、造りのいいクルマだ。そこだけ取れば、採点に星をもうひとつ足してもいい。
しかし、市街地しか走らないのだとしても、航続距離の短さにフラストレーションを覚えることがあるだろうことは想像に難くない。
スペック
レイアウト
シャシーはオールスティールで、電気モーターをリア両輪の間に搭載し、後輪を駆動する。
出力制御系はフロントに、35.5kWhのリチウムイオンバッテリーはキャビン床下に積む。テスト車の前後重量配分は、実測でほぼ50:50だった。
パワーユニット
駆動方式:リア横置き後輪駆動
形式:交流同期電動機、394V
駆動用バッテリー:水冷式リチウムイオンバッテリー、35.5kWh(グロス値)
システム総合出力:154ps
最大トルク:32.1kg-m
許容回転数:11920rpm
馬力荷重比:100ps/t
トルク荷重比:20.7kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:3895mm
ホイールベース:2530mm
オーバーハング(前):690mm
オーバーハング(後):675mm
全幅(ミラー含む):1760mm
全幅(両ドア開き):3720mm
全高:1495mm
全高:(テールゲート開き):2030mm
足元長さ(前):最大1080mm
足元長さ(後):最大660mm
座面~天井(前):最大980mm
座面~天井(後):最大910mm
積載容量:171~861L
構造:スティールモノコック
車両重量:1542kg(公称値)/1535kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:6.5Jx17/7.5Jx17
タイヤ前/後:205/45 ZR17 88Y/225/45 ZR17 94Y
ミシュラン・パイロットスポーツ4
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:1速ダイレクトドライブ
ギア比
フロント:2.46:1
最終減速比:3.89:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:5.0km/kWh
ツーリング:5.5km/kWh
動力性能計測時:2.6km/kWh
メーカー公表値:消費率
混合:5.6km/kWh
公称航続距離:201km
テスト時航続距離:177km
113km/h巡航時航続距離:195km
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン、四輪操舵
ロック・トゥ・ロック:3.1回転
最小回転直径:9.2m
ブレーキ
前:280mm通気冷却式ディスク
後:280mmディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:自動(センターコンソール配置)
静粛性
アイドリング:-dB
全開時:75dB(145km/h時)
48km/h走行時:61dB
80km/h走行時:65dB
113km/h走行時:68dB
安全装備
ABS/EBD/VSA/BA/C-BAS/HSA/TC
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
歩行者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温24℃
0-30マイル/時(48km/h):2.9秒
0-40(64):4.2秒
0-50(80):5.8秒
0-60(97):7.9秒
0-70(113):10.5秒
0-80(129):13.6秒
0-90(145):17.9秒
0-402m発進加速:16.2秒(到達速度:139.7km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
BMW i3 REx(2013年)
テスト条件:湿潤路面/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):3.4秒
0-40(64):4.6秒
0-50(80):6.1秒
0-60(97):8.1秒
0-70(113):11.0秒
0-80(129):15.0秒
0-90(145):21.3秒
0-402m発進加速:16.7秒(到達速度:134.2km/h)
0-1000m発進加速:31.6秒(到達速度:148.1km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):2.3秒
30-50(48-80):3.0秒
40-60(64-97):3.8秒
50-70(80-113):4.7秒
60-80(97-129):5.8秒
70-90(113-145):7.5秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温24℃
30-0マイル/時(48km/h):8.3m
50-0マイル/時(64km/h):22.5m
70-0マイル/時(80km/h):44.5m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.68秒
ライバルの制動距離BMW i3 REx(2013年)
テスト条件:湿潤路面/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):10.5m
50-0マイル/時(64km/h):29.1m
70-0マイル/時(80km/h):55.3m
結論 ★★★★★★★☆☆☆
拡大を続けるEV市場において、いくつかの部分、少なくともヴィジュアル的魅力の大きさでは、eはじつに新鮮で興味をそそられる存在だ。しかし走りは、まさしくBMW i3以降に開発されたEVといったもの。ホンダも、ほかより一枚上手を行くクルマだと認めるライバルだ。
だから、スタイリッシュな電動プレミアムシティカーというアイデアには惹かれても、BMWの元気で軽快なシャシーチューニングと斬新すぎるルックスになじめなかったなら、同様にコンパクトで、商品力が高く、独特のデザインテイストを持ったホンダを選ぶという手はある。
しかもeは、i3に比べて市街地での乗り心地がゆったりして角が丸められていて、さらに取り回しもいい。i3のようでいて、特異なところは少なく、より熟成されているクルマだ。
市街地での走りは十分に楽しめる。もっと長距離でも走りはいいのだが、その場合には多くのユーザーにアピールできない理由がほかにある。
航続距離の短さが、このクルマを選ぶことに二の足を踏ませるのだ。そしてそれが、クラストップの座に就けない原因でもある。EVへの不安を抱えながらはじめて電動化に挑戦しようというなら、ホンダeはおすすめできない。
逆に、短距離を走るだけのEVで問題がないというのなら、このクルマはピッタリだろう。ただし、われわれは心配している。そういうユーザーはそう多くないのではなかろうか、と。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース個人的には、ボディ前方に充電ポートのあるEVはやはり好きになれない。充電しようと思ったら前向きに駐車して、バックで出庫しなければならないからだ。ただし、少なくともこのクルマは、前後はもちろん全方位的に視認性がすばらしい。低速時の走行音は宇宙船を思わせるので、走り出すたび通行人に好奇の目を向けられるのは我慢しなくてはならない。
サイモン・デイヴィスデザインのよさがいかに効果的か、このeは教えてくれる。航続距離の短さや価格の高さに目をつぶってでも、ルックスがいいからこのクルマがほしいという声があるのも理解できる。
オプション追加のアドバイス
価格は高いが、アドバンス仕様を選ぶべきだ。オーディオはグレードアップされ、アクティブセーフティはより充実。カメラシステムも高機能なものになる。さらに、希望すればホイールを小さいものに換えて、航続距離を伸ばすことも可能だ。
改善してほしいポイント
・高速域でのボディコントロールのリファインを重ねて、不整路面での乗り心地をより快適にしてほしい。
・航続距離は延ばしてもらいたいところ。もちろん、車両重量を大幅に増やすことはなしに。
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みんなのコメント
製造元が割り切ったのだから仕方ない。
長距離走るような人は買わないでしょう。