まずは正しい着座姿勢から学ぶ
クルマを運転する時にドライビングポジションが重要なのは言うまでもないことだ。僕が主宰しているドライビングアカデミーの「中谷塾」でも正しいドライビングポジションの重要性について常に説いている。
一般的にはクルマに乗るとまずシート位置を調整するだろう。足がペダルに届くかどうか。ハンドルに手が届くかどうかでおおよその位置を決める。
だがその前に注意すべきことがあるのだ。それはシートに正しく座れているかどうか、ということだ。
現代はそうでもないが、畳の床で育った団塊世代やそれ以前では椅子に座る習慣があまりなかった。椅子に正しく座るとは、背筋を伸ばして背もたれに寄りかからず姿勢を正す、というような学校教育的な視点でしかなかった。しかし、Gのかかるクルマでシートの背もたれに身を預けなかったら5分ももたないだろう。
運転操作に重要なシートへの正しい座り方とはどんな座り方なのか。
それはまずシートの奥深くまで臀部を乗せ、お尻から大腿までなるべく多くの部分をシート座面に乗せることが基本だ。そして腰の裏とシートの背もたれの間に空間ができないようにピッタリとシートと身体を密着させる。
その上で背筋を伸ばし、顎を引き両肩もシートバックに付くように背もたれの角度を調整する。こうした座り方をすることでシートと人間の接触面積が増えて面圧(単位面積当たりの圧力)が下がり長時間着座しても身体への負担が減るのだ。
加えて接触面積が増えることで摩擦抵抗が増え、さまざまな方向にかかるG変化に対して身体のホールド性が高まる。このような正しい着座姿勢を取ってから前後スライドで位置調整をすることが理想的だ。
よくシートと腰の間に空間を作り寝そべった姿勢でシートに座る人を見かける。一見楽そうな姿勢に見えるがシートと身体の密着点の圧力が上がり長時間の着座では尻が痛くなるばかりか脊椎の折れ点が腰痛などを引き起こす原因になり、またサポート性も損なってカーブなどで姿勢を乱し正しい運転操作ができない可能性もある。
シートに正しく座れたら、前後スライドで足の位置を調整するが、その際にはアクセルペダルを一番奥まで踏み込み、それでも膝裏が十分に曲がる位置まで前進させる。
3ペダルなら一番ストロークの大きなクラッチペダルを踏み込んで調整するが2ペダルの多い現代ではアクセルペダルで代用させる。もちろんエンジンは始動させてはいけない。
ペダルを一番奥まで踏み込んでも膝裏が曲がる位置ならコーナーでGがかかり身体の姿勢が乱れても十分に足が届く。一番重要なのはブレーキペダルを必ず踏み込めることで、ハードな走行でブレーキがフェードしてペダルストロークが増えてもしっかり踏み込めなければならない。
正確なドライビングにはペダルとステアリングの操作も学ぶべき
ペダルの操作方法にも触れて置きたい。皆さんはペダル操作をする時に踵をフロアから浮かしているか、置いたままにしているか。アクセルは置いたまま、ブレーキは浮かして、というケースが多いのではないだろうか。
言うまでもなくクルマは動いている物体であり、さまざまな振動や姿勢変化が起きている。当然乗員であるドライバーはそうした外乱に晒されているわけで、そんな状況下で正しく正確なペダル操作を行うには、なるべくクルマとの接点を増やして身体とクルマを一体化しなければならない。
つまり踵をフロアに付けて外乱の影響を最小限に抑える事が望ましい。この場合、フロアマットが固定されていないと操作の度にずれてペダルにかかり危険だ。欧州車のフロアマットには必ずストッパーが装着されているのはその為で、そうでない車ならフロアマットは外すべきだ。
次にハンドルを持つ位置だが、9時15分か10時10分の位置に両手を置き肘が90度近く曲がるようにシートリクライニングを調整する。
俗に「ストレートアーム」と呼ばれる両肘が伸び切った状態でポジションを決めるドライバーが実際に多いが、これではカーブで横Gが発生した時に手がハンドル(ステアリングホイール)に届かなくなり切り遅れや戻し遅れ等を引き起こす。
通常ハンドルは前傾して装着されているのでハンドルのてっぺんがドライバーから一番遠い位置になる。そこで両手の拳をハンドルのてっぺんに置き、その時に両肩がシートバックから離れないように調整すれば両手は如何なる時でもハンドルの円周上のどこかに届くようになる。
そのハンドルにも操作の仕方がある。自動車教習所ではゆっくり正確に回せるような操作方法を教えているが、実際の運転では咄嗟の操作や素早く正確な操舵を要求される場面もありハンドル操作は極めて重要になる。
ハンドルから手を離したら運転を放棄したのも同然であり、レーシングドライバーなら衝突の最後の瞬間まで操作を諦めず操舵に注力するもの。教習所的な操作ではそんな場面ではまったく対応できなくなる。
ハンドル操作の基本はプル(Pull・引く)だ。一般的に手でハンドルを押し上げる方向に回す操作をプッシュ(Push・押す)と言う。教習所や自動車メーカーの運転教室などでもプッシュ操作を基本的に教えているが、これは一般道を法令遵守して走行しクルマに何らトラブルが起きていないことが前提。
つまりサーキット走行などには不適格といえる。何故ならハンドルは操作すれば同時に前輪が転舵しコーナリングフォースを発生して旋回し始め横Gが身体にかかる。その時プッシュ操作した腕には反対方向に引き戻す方向にGがかかり腕にはGに抗する力が必要だ。
高速で高いGが加われば、より大きな力が必要になり繊細で緻密なハンドル操作には適していないといえる。これがプル操作なら、操舵と同時に加わるGは腕を操舵の回転方向をアシストする力となりグリップを握っているだけで必然的に切り増し操作となる。Gに抗する力が必要ないので疲れず長時間の走行でも正確な操作を続けられる。
古くからモータースポーツの世界では「送りハンドル」という表現で語られて来ているが、それこそがプル操作の起源といえるのだ。また自動車は機械であり、いつ不調に見舞われるか予測できない。パワーステアリングの故障やタイヤのパンク、スローパンクチャーなどが起こるとハンドルを回す力は極めて大きくなりプッシュ操作ではとても回せない。プル操作はそうした緊急時の対応にも優れた操作なのだ。
こうしたドライビングポジションを決めるのは大抵の場合停車しているクルマに乗り込んだ時だろう。止まっているクルマの座席でさまざまな動きを予測し、それに対応できるポジションを決めていく。クルマを運転するならドライビングポジションを決める段階からそれくらいの注意力を払うべきだろう。
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