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S耐第5戦もてぎから2台体制となったMAZDA SPIRIT RACINGの狙いと今後。新車の登場は?

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S耐第5戦もてぎから2台体制となったMAZDA SPIRIT RACINGの狙いと今後。新車の登場は?

 2021年最終戦となった第6戦岡山から、ユーグレナ社の100%バイオディーゼル燃料『サステオ』を使い、スーパー耐久に参戦を開始したMAZDA SPIRIT RACING。参戦開始から10ヶ月が経ち、9月3~4日にモビリティリゾートもてぎで開催された第5戦からは、新たにST-5クラスにMAZDA SPIRIT RACING ROADSTERを投入するなど、新たな試みを進めている。これまでの活動、そして気になるニューマシンについて、自らMAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptをドライブする前田育男常務執行役員に聞いた。

 マツダは2021年の最終戦岡山から、100%バイオマス由来の次世代バイオディーゼル燃料『サステオ』を使用したMAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIOを投入。スーパー耐久にサプライズとも言えるかたちで参戦を開始した。この参戦にあたり、新たに作られた活動ブランドが、チーム名にもなっている『MAZDA SPIRIT RACING』だ。

マツダ、モータースポーツを通じた活動『倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING』を開始

■ロードスターの参戦は“楽しむ”範疇でのトップに
 この活動では『倶楽部 MAZDA SPIRIT RACING』を立ち上げ、いわゆるワークス活動ではなく、『共に挑む』をコンセプトとし、「モータースポーツをより身近で気軽に楽しんでいただけること、またジャンルを問わず道具をあやつりスピードに挑戦する方や応援する仲間と繋がり、共にスピードスポーツを盛り上げていくことを目指します」というコンセプトを掲げている。どちらかといえばグラスルーツの活動だが、そんな活動のひとつとしてスタートしたのが、第5戦から参戦を開始したMAZDA SPIRIT RACING ROADSTERだ。

 この車両は、第5戦もてぎでは杉野治彦/樋口紀行/阪口良平/藤島知子という4名のラインアップで参戦した。杉野と樋口はロードスターパーティレース出身で、国内トップカテゴリーで活躍する阪口がアドバイザー役、藤島は日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める自動車ジャーナリストという組み合わせだ。

 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERについて、マツダの前田常務執行役員は「グラスルーツ出身のドライバーにとって、憧れのシートがひとつあると良いと思っています。若くて、プロドライバーを目指す選手はスーパー耐久がゴールではなく、さらに上に目指すものがいろいろあると思うので、そのための道筋はあると思いますが、もう少し敷居を下げて、“楽しむ”範疇でのトップにできたらと思います」と語った。

「もちろんスーパー耐久はすごいレースだと思うので、楽しみながらも上を目指したい、なかなかグラスルーツから飛び出せないドライバーたちに『なんとかなるんだよ』という道を作ってあげれば、さらに優秀なドライバーが発掘できると思いますし、ジェンダーレスにいろんなジャンルの方を起用できると思います」

 今回の第5戦のラインアップは、そんな思いが具現化した顔ぶれと言えるだろう。前田常務執行役員は「もちろんそんなにたくさんのシートを用意できるわけではありませんが(笑)」と言うが、ST-5は国内トップで活躍してきたドライバーも参戦する。目的はそれぞれ異なるかもしれないが、パーティーレースなどを戦ってきたドライバーにとっては、そんな顔ぶれのなかで戦うことで、チャンスの場となるのは間違いないだろう。

■待望のニューマシンの登場はいつ!?
 そして気になるのは3月の第1戦鈴鹿で行われた記者会見のなかで、マツダの丸本明社長兼CEOから飛び出した2.2リッターエンジンを搭載した車両の登場だ。300馬力を目指し、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptが参戦しているST-QクラスのORC ROOKIE GR86 CNF ConceptやTeam SDA Engineering BRZ CNF Conceptと競い合いたい意向を示していた。

 これについては、幕張メッセで開催されたオートモビルカウンシルに『MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio Concept』という車両が出展される予定だったが、出展は見送り。その後はアナウンスがなかったが、この車両は現在どうなっているのだろうか。

 前田常務執行役員に聞くと「今季中にはなんとか出場させたいと思っています。本当はもう少し早く投入できればと思っていたのですが、意外にもなかなか難しいところがありました」と語った。その理由は、現行のマツダ2にまだまだ課題があったからだという。

「マツダ2もやってみると、まだ課題だらけなんです。我々のエンジニアたちに言わせると『前田さん、まだまだやり切ったとは言えない』というんです。これをやり切ったと言えるところまでもってきて、次のクルマにスイッチしたいというエンジニアの思いがありました」

 総合的に判断し、当初のデビュー予定からは「実質的に1戦遅らせているんです。もともと(デビューは)はもてぎか岡山か……と思っていましたが、最終戦の鈴鹿になりそうですね」とのことだ。

 この予定どおりならば、マツダ2は岡山がラストレースになりそうだが、「まだ課題がありますし、まだ速くなります」と前田常務執行役員は語った。

 カーボンニュートラルに向けた挑戦、そしてモータースポーツをより身近に楽しむというコンセプトとともに活動を続けるMAZDA SPIRIT RACING。前田常務執行役員は「もてぎからMAZDA SPIRIT RACINGのアプリも立ち上げました。いろいろなモータースポーツファンの皆さんからのフィードバックもいただいていますし、メディアにもさまざまなかたちで取り上げていただいています。浸透してきたか……と言われるとまだまだかもしれませんが、モータースポーツをある程度分かって下さっている方々にはある程度浸透してきたと思います」という。

 前田常務執行役員は、世界的に高い評価を得るマツダのデザインを手がけてきた人物。MAZDA SPIRIT RACINGの『R』を象ったロゴなど、ピットもシックなデザインで統一される。

「CIなどを整えていっているので、記憶には残りやすいかな、と思っています。私もデザイナーなので(笑)。今後とも優しく見守っていただければと思います」

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