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英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル 3代目が小改良 フォード・クーガ 2.5 PHEVへ試乗

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英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル 3代目が小改良 フォード・クーガ 2.5 PHEVへ試乗

成功作のクーガ 従来の2倍の大画面獲得

欧州フォードにとって、全長約4.5mのクーガは成功作になった。2008年の登場時、クロスオーバー人気は現在ほど熱くなかったものの、程なく英国ではベストセラーへ躍進。3代目も、2022年にはプラグイン・ハイブリッドで最多販売の記録を残している。

【画像】英国ではRAV4やZR-Vのガチ・ライバル フォード・クーガ 競合クラスのSUVと比較 全124枚

そんな重要なモデルだけに、フォードはしっかりアップデートを施した。見た目や内装だけでなく、技術的にも手が加えられている。

ボディから観察していくと、変化は小さいが、ヘッドライトはシャープな造形に。フロントグリル上端にライトバーが渡され、一文字に光って見えるようになっている。バンパーの造形も、シンプルに変更された。

オプションで、明るいマトリックスLEDヘッドライトも装備可能。対向車への反応が素早く、向かってくるドライバーへ眩しい思いをさせる心配は少ないだろう。テールライトも、デザインが改められている。

車内では、新しいインフォテインメント用タッチモニターを獲得。サイズは13.2インチと、フェイスリフト前より約2倍の大画面となった。シンク4と呼ばれるOSが実装され、メニュー構造は全般的に直感的といえる。ここへ響くユーザーは多いはず。

ただし、実際に押せるハードボタンが並んでいたエアコンの操作パネルは姿を消し、タッチモニターへ集約された。サラウンドビュー・カメラ機能やパーキングアシストのショートカット・ボタンが、その下へ並ぶ。

プラグインHVは243ps ライバルはRAV4

インテリアデザインは少し地味で、最新モデル感は薄い。人工皮革が積極的に用いられている反面、ドアパネルには傷が付きやすそうな硬いプラスティックが露出している。

試乗車には、オプションのパノラミック・サンルーフが付いていた。高さ方向の余裕が多少削られていたものの、大人でも特に不満は感じられないだろう。リアシートはスライド可能だ。

パワートレインの設定は、従来からのキャリーオーバー。150psを発揮する1.5Lエコブースト・ターボガソリンの前輪駆動が、エントリーグレードのチタニウムに載る。

その上のアクティブとST-ラインでは、1.5Lターボガソリンの他、2.5L自然吸気ガソリン・ハイブリッドも選べる。このハイブリッドの最高出力は、前輪駆動で180ps、四輪駆動で183psとなる。

さらに、プラグイン・ハイブリッドも選択可能。今回試乗したのはそれで、2.5L自然吸気ガソリンに駆動用モーターが組み合わさり、システム総合での最高出力は243psになる。駆動用バッテリーの容量は14.4kWhで、トランスミッションはCVTだ。

荷室容量は、マイルド・ハイブリッドでは553Lだが、プラグイン・ハイブリッドでは536Lへ減少する。とはいえ、ライバルといえるフォルクスワーゲン・ティグアン e-ハイブリッドは490L、トヨタRAV4 PHEVは500Lだから、ライバルより大きい。

1.9tの車重の割に俊足 優れた姿勢制御

電動化技術が載ることで、クーガ 2.5 PHEVの車重は1859kgと軽くない。それでも実際の加速力は、馬力から想像する通りの勢いがある。0-100km/h加速は7.3秒と、クロスオーバーとしては俊足。CO2の排出量は23g/kmで、最高速度は201km/hに届く。

ただし、アクセルペダルをやや強めに踏んだだけで、CVTがエンジンの回転数を必要以上に高める印象がある。うるさいだけでなく、振動も伴う。

もしそれが気になる場合は、EVモードでの走行も可能。今回の試乗では、ガソリンを燃やさず65km走ることができた。静かでレスポンシブで、小気味いい。

駆動用バッテリーの搭載位置は低く、前後アクスル間に収まっているため、重心バランスは良好。優れたグリップ力を有し、カーブではボディロールが驚くほど小さい。日常的な速度域でも、この事実は体感できるだろう。

トップグレードのST-ラインには、スポーツサスペンションが組まれる。その名の通りスポーティな設定ながら、凹凸の吸収性は明らかに低下する。乗り心地は明確に硬くなり、速度抑止用のスピードバンプでは、不快な揺れも伝わってくる。

筆者は、通常のサスペンションがクーガには適していると思う。グレードを選ぶ前に、試乗されることをオススメしたい。

クラス平均より上の動的能力 コスパ良好

郊外の道では、ステアリングの正確性や直感性で、フォード・フォーカスに届いていないことへ気づく。ステアリングホイールは、切り始めからクイック過ぎ、80km/h以下の速度域では自然な印象が薄い。車線中央を維持することへ、気を使ってしまう。

そのかわり、高速道路の速度域では安定性が増す。乗り心地も滑らかになり、洗練という言葉が浮かんでくる。唯一、タイヤの転がり音は少し大きく感じられた。

アップデートで、競争力が補強されたフォード・クーガ。パワートレインの洗練性や、インテリアの雰囲気などが、まだクラストップの水準へ届いていないことは否めない。

それでも以前と変わらず、コストパフォーマンスに優れる実用的なファミリー・クロスオーバーだといっていい。動的能力も、クラス平均より上にある。

◯:重い駆動用バッテリーを積んでいても安定した操縦性 定期的な充電で燃費を伸ばせる 不足ない動力性能
△:インテリアの質感 パワートレインの洗練性 クイック過ぎるステアリング

フォード・クーガ ST-ラインX 2.5 PHEV(英国仕様)のスペック

英国価格:4万2455ポンド(約866万円)
全長:4645mm
全幅:1882mm
全高:1683mm
最高速度:201km/h
0-100km/h加速:7.3秒
燃費:100.0km/L
CO2排出量:23g/km
車両重量:1859kg
パワートレイン:直列4気筒2500cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:243ps(システム総合)
最大トルク:20.2kg-m(内燃エンジン)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

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