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【新たな始まり】メルセデス・ベンツEQSプロトタイプへ助手席試乗 航続距離は最大769km

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【新たな始まり】メルセデス・ベンツEQSプロトタイプへ助手席試乗 航続距離は最大769km

EV専用プラットフォーム採用の初モデル

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】最新メルセデス純EV EQS EQモデルと競合の純EV高級サルーン  全105枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


メルセデス・ベンツEQSは、まったく新しい純EVだ。エレクトリック・ビークル・アーキテクチャ、EVAプラットフォームを初採用したモデルでもあり、フラッグシップ・サルーンとして重要な意味を持っている。

既にメルセデス・ベンツは、3種類の純EVをサブブランドのEQモデルとして発売している。しかしEQAとEQC、EQVのいずれも、既存モデルがベース。従来のプラットフォームを改良し、純EVに仕立てられている。

テストプログラムの責任者を務めるホルガー・エンツマンは、EQSを「新たな始まり」だと表現する。今回AUTOCARでは彼の立ち会いのもと、生産モデルに近いプロトタイプを味見させてもらう機会を得た。

EQSのEVAプラットフォームは、アルミニウム製。滑らかなボディも、複合素材ではなく金属が用いられている。従来のエンジンを搭載したメルセデス・ベンツ製モデルと形が異なることは、偽装をまとっていても明らかだ。

スリーポインテッド・スターがあしらわれる、パネル状のグリルが見える。ボンネットの造形は、新しい時代の幕開けを告げるものだといえる。

ボディサイズは少し掴みにくい。全長は5210mmもあり、ロングホイールベース版のSクラスよりわずかに短い程度。存在感はかなりある。プロトタイプは21インチのホイールを履き、写真で見る以上に大胆な雰囲気を放っている。

当初はEQS 400かEQS 580の2種類から

フレームレスのドアを開くと、メルセデス・ベンツがハイパースクリーンと呼ぶ、ほぼ全面がモニターのダッシュボードに迎えられる。従来的なデザインとハイテクが融合した空気感がある。

ハイパースクリーンは3面のモニターで構成され、EQSの操作系のほとんどを統合している。こちらも大胆だ。

ホイールベースは3200mmと長く、車内にはトランスミッション・トンネルと呼ばれる中央の峰もなく、フロアは広くフラット。Sクラスより広々している。インテリア素材の質感は高く、ピタリと組み立てられている。EQのSに相応しい贅沢さがある。

ドライブトレインは、ボッシュ社製のAC同期モーターを採用。333psのシングルモーターで後輪駆動となるEQS 400か、ツインモーターで523psの四輪駆動となるEQS 580の、2種類が当初は用意されるという。

今回助手席に試乗させてもらったのは、パワフルなEQS 580。走り始めから威風堂々とした雰囲気があり、助手席に座っていてもSクラスのように誇らしい。

特に印象的だったのが、動的性能の全体的な力強さ。2500kgを遥かに超えるという車重にも関わらず、確かな推進力を体感できた。

ツインモーターのEQS 580の場合、主に駆動力を担うのはリアモーター。最大トルクは84.3kg-mもあり、AMG並みの瞬発力を持つ。160km/hを超えても、加速力には勢いがある。

メルセデス・ベンツはまだ正式な数字を明らかにしていないものの、0-100km/h加速は5秒を切るだろう。最高速度は210km/hでリミッターがかかる。

洗練度の高さは他に類を見ない

ドライブモードは4種類。エレクトリック、コンフォート、スポーツ、インディビジュアルから選べる。

エレクトリック・モードでは、回生ブレーキの効きが強くなり、ワンペダル・ドライブも可能。技術者のエンツマンによれば、回生ブレーキを活用することで最大293kWぶんのエネルギーを電気として回収できるという。

サスペンションは、エアマティックと呼ばれるエアサスペンションが標準装備。Sクラスのものと同様に、セルフレベリング機能も備わる。高速域では車高を下げ、空気抵抗を減らしてくれる。

またSクラスのようにEQSにも、4.5度か10度の操舵角を備える、後輪操舵システムを装備できる。助手席での印象では、大きく重たいボディの割に、とても機敏に動く印象を受けた。

ボディロールはある程度生じるものの、動きは漸進的。ドライバーがコーナリング速度を高めても、抑制されている。

感心したのが、グリップとトラクション。メカニカル・システムより高速で制御されるトルクシフト機能が、フロントとリヤのバランスを知的に制御することも一因だろう。

エンツマンは、EQSの洗練度の高さは他に類を見ないものだと主張する。筆者もそれには賛同できる。高速で走行中でも車内はひそひそ話ができるほど静かで、しっとりと落ち着いている。滑らかなボディ形状が、風切り音の低減に貢献しているはず。

定評の品質やデザインに最新技術が融合

エアサスペンションも、見事な衝撃吸収性を見せる。凹凸を超えると多少の揺れは感じるものの、タイヤが発する音はまったく聞こえてこない。試乗車は21インチの265/40という冬用タイヤを履いていたが、ロードノイズも極めて小さかった。

電気自動車にもサウンドでの喜びを望むドライバーのために、3種類の人工音がデザインされている。1つには、従来的なエンジンノイズを模倣したものも含まれる。

バッテリーの容量は2種類から選べる。EQS 400に搭載されるのは、90kWh。EQS 580には107.8kWhという大容量のものが搭載される。どちらも電圧400Vのシステムで制御され、航続距離は最大で769kmに達するという。

充電器は11kWのACが標準。2kWのACと200kWのDC急速充電システムにも、オプションで対応する。200kWのシステムなら、15分で300kmぶんの電気を充電できるそうだ。

新しいEQSからは、これまでのメルセデス・ベンツ製の純EVには足りていなかった、全体的な完成度の高さを感じた。3年間の開発期間で培われた、技術力と細部へのこだわりをうかがい知ることができる。

テスラ・モデルSの登場から9年が経つ。対抗モデルといえるメルセデス・ベンツEQSは、助手席の第一印象ながら、流石と思わせるほどに競争力は高いようだ。

定評の品質やデザインに、最新の技術が融合した、ブランドの威信をかけたリムジンが間もなく誕生する。筆者自身でステアリングホイールを握れる日が、待ち遠しい。

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みんなのコメント

1件
  • 疑問があります。
    電気自動車って乗らないで一週間ぐらい放っておくと充電量ってどうなるの?
    ちっちゃな携帯電話も1日2日と使わないと充電量は下がっているし、減り方は急激に減っていくけど車の場合はどうなのでしょうか。
    空港に電気自動車で行って1〜2週間後に帰ってくるってこともあるのでは…
    いろんな意味でどのぐらい放っておいても大丈夫なんだろう?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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