4代目デミオ→現行マツダ2がデビューしてまもなく9年。2023年1月27日に発表されたビッグマイナーチェンジでは、エクステリアの印象が大幅に変わり、若者向けに「イメチェン」しました。そこで、マツダのターゲット層ど真ん中、Z世代の筆者が「若者目線」でレビューしていきます。
全グレード共通、マツダ初のルーフフィルムでコーディネートも
今回の大幅改良でエクステリア・インテリアデザインがテコ入れされてイメージチェンジを果たしました。
マツダ デミオは「MAZDA 2」へ。車名変更だけじゃない、デザイン刷新ともなうマイナーチェンジ
が、2021年のマイナーチェンジで改良されたエンジンからの変更はありません。また、パワートレーンのラインナップも従来どおり、「1.5L 直4ガソリンエンジン」と「1.5L 直4ディーゼルターボエンジン」の2種類。モータースポーツベース車両となるMB以外の全グレードで、両方のエンジンを選択できます。
最大のトピックはといえば、フロントフェイスのデザインがリニューアルされたことです。マツダ2はマツダブランドのエントリーモデルにあたる車種ですが、2016年から2021年までの5年間に20代~30代ユーザーの割合が約半分にまで減少してしまっているそう。そこで新型では、今までのユーザー+αを狙って、より若い世代にも訴求できるようなデザインに変更されました。
具体的には、フロント部分を顔に見立てた時の口まわりが「へ」の字形状に変わったことで従来のデザインよりもキリッとした印象を強くしています。また、顔つきに加えて、フロントグリル内の右側と、ブラックで加飾されたリアバンパー右側にビビットカラーのワンポイントパーツを追加し、ポップな要素も付与されているのがよくわかります。
余談となりますが、フロントバンパー・リアバンパーのイエローパーツの配置がなぜ左右非対称かというと、リアに関してはマフラーエンドの真上に配置するのが一番デザインバランスが良かったからだそう。フロントは設計していたら、自然とそうなっていたのだとか。デザインの最後の決め手はやはり、言葉では表せない「感覚」ということなのでしょう。
もうひとつ、より強い個性を感じさせる新しいアレンジメントが、ルーフフィルムの採用です。マツダブランドで初めて、製造段階でルーフフィルムを貼り付けるモデルとなっています。ボディ同色を標準仕様として、メーカーオプションでホワイトまたはブラックを選択することができます。
塗装をフィルムで代替したことで、傷を防止することができるというユーザー目線でのメリットを実現。同時に、塗装工程の短縮によって1台あたり30kgのCO2削減を実現するという、環境目線でのメリットを両立したそうです。
今後の商品改良でこのフィルムのカラーリングが増え、さらにボンネットにも貼れるようになったとすれば、組み合わせのバリエーションが広がっていくはず。着せ替えがより楽しく、傷の防止にも役立つのではないでしょうか。
グレード設定は従来よりもシンプルながら、差別化は巧み
肝心のグレードラインナップは全4種類。今回の目玉となる20~30代向けでポップなエントリーグレード「BD」とスポーティなデザインを追求した「SPORT(スポルト)」に加えて、従来もラインナップされていた特別仕様車「Sunlit Citrus(サンリット シトラス)」、さらに現在受注停止中のモータースポーツベース車「MB」が復活して4グレードとなります。サーキットでガンガン走り込むような一部のユーザー以外は、事実上「MB」以外の3グレードから選択する形です。
現行型の各グレードと、ビッグマイチェン後の各グレードの対応表は以下のとおり。15C/XDは法人用途向けグレード、内装にレザーをあしらった上級グレードが「サンリット シトラス」に、布シートの上級グレードが「スポルト」に、価格を抑えたエントリーグレードが「BD」にそれぞれ統合され従来よりもシンプルになりました。
また、各グレードには、ガソリンエンジン仕様とディーゼルエンジン仕様があり、グレード名の頭につくのが「15 ~~」であればガソリンエンジン仕様車、「XD ~~」であればディーゼルエンジン仕様車となります。
まずは、若者向けの「BD」について見ていきましょう。BDというグレード名は「BLANK DECK」というスケートボード用語に由来しており、パーツやステッカーを装着する前の「素のままのボード」を意味します。これは、198通りにもなるオプションパーツの選択肢から自分だけの1台を作り上げて、人生の相棒として楽しんでもらうために設定されたグレードです。
着せ替えすることにより「自分だけの1台」を作り上げる喜びを手軽に感じてもらえるモデルにすることをコンセプトにデザインされました。
グレードごとのデザインはかなり差別化されている
具体的には、ボディカラー11色、インパネカラー3色、ルーフカラー3色、ホイールキャップカラー6色が用意されます。ボディカラーによって選べるカラーコーディネーションの選択肢に制約があるものの、それでも誰でも簡単に、しかも購入時に全198通りの中からお気に入りの1台を作り上げられるので、特に新車を初めて購入する若年層でも楽しくカスタムできる仕様です。
ちなみに、「BD」グレードでは「サンリット シトラス」グレードに付属する、限定カラーのキーシェルは付属しません。ただ、オプションでボディカラーと同色のキーシェルを選ぶことができるので、毎日持ち歩くキーもおしゃれにしたいというひとにはオススメです。
続いては、「スポルト」グレード。こちらは、従来好評だったマツダ2のコンセプトを引き継ぎ、走りの良いコンパクトカーという方向性をさらにユーザーに訴求するグレードです。また、MTの設定はこのグレードのみとなるので注意が必要になります。
「スポルト」グレード専用の、ハニカムメッシュグリルや他グレードより1インチアップとなるブラックメタリック塗装が施された16インチ専用アルミホイールに加えて、ブラックを基調に赤ラインが入ったシートとブラックのルーフフィルムで、乗り手のドライビングフィールを高める、そんなグレードであると言えるでしょう。
残念ながら撮影できなかった「サンリット シトラス」は、新エクステリアデザインを反映した上で継続。その上で、従来ではハンドルがウレタン素材だったのですが、今回のビッグマイナーチェンジ後は、本革巻きになります!これで、ますます隙がなくなりました。
「MB」は、他グレード+6psの116ps(85kW)、+7Nmの149Nmを発生するプレミアムガソリン仕様のエンジンを搭載し、ラインナップ中最軽量の1040kgとなるモデルです。マニュアルエアコン、セグメント液晶オーディオディスプレイ、セーフティ機能の削減など、サーキット走行に特化した仕様なので、街乗りメインのユーザーだと少し不便さを感じるかもしれません。
「BD」のオプション選びに迷ったら、2種類のパッケージセットを選ぼう
「BD」にしたいけど、選択肢が多すぎてどれを選ぼうか迷っちゃう・・・という人にオススメしたいのが、用品パッケージの「ROOKIE DRIVE(ルーキー ドライブ)」と「CLAP POP(クラップ ポップ)」です。これは、マツダがあらかじめオプションパーツをコーディネートして、ひとまとめのパッケージ化して提供している車両で、「BD」グレード限定でのみ選択可能となっています。
「ルーキー ドライブ」は「スポルト」グレードほどスポーティ感ではなく、カジュアルなスポーティ感が欲しいという方にはまさにうってつけ。オレンジ色のドアミラーとルーフスポイラーも装着されているので、「BD」をベースとしつつもよく見ると実はしっかりスポーティなルックスをしています。
一方「クラック ポップ」は、ブルー基調でホワイトのアクセントがおしゃれなデザイン。ポップだけど少し落ち着いてもいる上品なデザインが特徴のパッケージとなっています。ボンネットストライプも控えめなので、さりげないスポーティさを演出してくれる、ちょっぴりオトナな印象に仕上がっています。
前述のとおり、「ルーキー ドライブ」と「クラック ポップ」は各オプションパーツがセットで取り付けられるパッケージ車両ですが、この車両をベースにホイールキャップやフロントバンパーなど、気になるパーツの色を変更して、自分好みの仕様に微調整することもできます。
気になる価格は、ほぼ据え置き!用品パッケージ装着でも200万円以下とお手頃
個人的には、「BD」グレードに用品パッケージモデル「ルーキー ドライブ」のポップ×スポーティなデザインが気になっています。しかも、この仕様にしたとしても車両価格+パッケージ価格で200万円以下の設定なのです。
例えば「ルーキー ドライブ」なら、15万2350円+用品取り付け工賃2万240円−ホイールキャップレスオプション2万4200円の合計14万8390円。「クラック ポップ」だと、6万1380円+用品取り付け工賃6160円−ホイールキャップレスオプション2万4200円の合計4万3340円。「BD」グレードの車両本体価格はFF仕様で164万7800円なので、「ルーキー ドライブ」仕様車で179万6190円、「クラック ポップ」仕様車で169万1140円となります。
360°セーフティパッケージやルーフフィルムカラー変更などのメーカーオプションを追加してもなお、200万円を切る価格設定はうれしいですね。ちなみに、ビッグマイナーチェンジを受けたマツダ2の新価格帯は152万9000円~254万1000円。従来モデルと価格がほぼ変わらないので、手頃に走りの良い、自分だけのコンパクトカーを所有できます。
20代~30代で自分だけのクルマを探している人にとって、マツダ2は良い候補となるのではないでしょうか。
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