クルマ好きなら誰もが知っている「やっちゃえ日産」というブランドメッセージ。でも、ここ最近発表された日産のクルマはどれも優等生然としていて、日産が言うほどやっちゃっていないような気もするが……。
そこで! ここでは良い意味でも悪い意味でも“日産が本当にやっちゃったクルマ”を5台ピックアップ。この中に皆さんの記憶に残る“やっちゃった日産車”はありますか?
英国で600万円超えのトヨタEV、bZ4Xはいくらになるのか? 日産のアリアと比較すると!?
文/FK、写真/日産、FavCars.com
[gallink]
良い意味でやっちゃった感が満点だったY34型のセドリック/グロリア
世界で初めて実用化に成功した、新開発の大排気量FR車用無段変速機「エクストロイドCVT」は日産の良い意味での"やっちぇやぶり"を見せつけた技術のひとつ。第1弾として搭載されたセドリックの走りには注目が集まった
日本を代表する高級サルーンとして愛されたセドリック/グロリアの最終モデルであるY34型は1999年6月に登場。
“デザインの革新”がキーワードとなったエクステリアは美しい面構成と存在感のあるカタマリ感によってポテンシャルの高さを感じさせつつ、威風堂々たる風格を演出。エンジンも環境に配慮したLEV平成12年規制適合のV6エンジン3タイプに加え、4WD車には直6ターボエンジンのRB25DETも採用する充実のラインナップを誇った。
また、高級サルーン用に新設計した新世代LLクラスプラットフォームによって操縦安定性、乗り心地、静粛性、安全性などの基本性能は大幅に向上。
さらに、1999年11月には従来のベルト式とは異なる、ディスクとパワーローラーによって動力を伝達するエクストロイドCVTを世界で初めて搭載したモデルを発売された。もはや“死角なし”と言っても過言ではないほどのスペックが与えられたY34型セドリック/グロリアだったが、その存在感は意外と薄く……もっと高い評価が与えられてもいい一台ではないだろうか。
エクサのコンセプトは時代を先取りしすぎたがゆえに受け入れられなかった?
1986年のモデルチェンジで登場した2代目モデル。ボディタイプはクーペとキャノピーを用意。1990年のパルサーのフルモデルチェンジに伴い生産終了となった。写真はクーペ Type B
パルサー・エクサの後を継ぎ、新車種としてパルサーから独立したエクサがデビューしたのは1986年10月。
初代テラノやNXクーペなどを手がけたアメリカのニッサン・デザイン・インターナショナルがデザインを担当したエクサにおいて大きな注目を集めたのは、クーペとキャノピーのふたつのスタイルを設定した“モジュール”という設計思想によって実現した脱着可能なリアハッチだろう。
当時の日本においては着せ替えがご法度だったが、、アメリカではクーペスタイルとキャノピースタイルを1台で楽しむことができた。
そんな突飛したエクステリアばかりが取り沙汰されるエクサだが、10.0の高圧縮比を実現した120psを発生するCA16DEエンジンや、フロントにL字型トランスバースリンク式ストラット、リアにパラレルリンク式ストラットを採用した4輪独立サスペンションによって絶妙な乗り心地も提供。見た目も走りも楽しめる一台は今なら人気を集めそうだが、時代を先取りしすぎたがゆえの功罪なのか販売台数は伸び悩み、1990年8月に販売終了となった。
オシャレなTVコマーシャルも不発に終わったふたりのBABYミストラル
ヨーロッパでテラノIIという名称で販売されていたミストラル。5年足らずで姿を消してしまった。国内累計販売台数は4万台に届かず……
ミストラルはスペイン日産で生産されていたテラノIIを仕様変更したパートタイム4WD方式の本格SUVとして1994年6月にデビュー。
ハイラックスサーフを中心としたクロカンSUVブームが巻き起こっていた当時の日本、ミストラルはその流れに乗る形で国内販売を開始した。その出自から“ピュア・ヨーロピアン・オフローダー”をウリにしていたミストラルは同時期に発売されていたテラノと比較しても室内空間は広く、最高出力100ps&最大トルク24.8kgmを発生したディーゼルターボエンジンも力強い走りを披露した。
当時の音楽シーンで隆盛を極めた渋谷系と呼ばれるムーブメントを牽引していたピチカート・ファイヴをTVコマーシャルに起用するなど日産の力の入れようは相当なものだったが、テラノのような人気を獲得することはできず1998年に生産終了。一代限りで姿を消した。
失敗作の烙印どこへやら? 今なお高値安定のS14型シルビア
巻き返しを図るべく登場した後期型のS14シルビア。吊り目のシャープなフロントマスクが好評を博した。1998年12月に生産終了を迎え、S15へとバトンが渡された
大ヒットしたS13型の後継として1993年10月に発売された6代目シルビアのS14型。
先代のスタイリングイメージやK's・Q's・J's のグレード構成は継承しつつも“意のままの楽しい走りとセンスの良さを徹底追及したスタイリッシュスポーツクーペ”をコンセプトに登場したS14型だったが、当時のライバルと比較してあきらかに野暮ったいデザインに加え、操縦安定性や居住性、衝突安全性などの理由から敢行された3ナンバーボディへの移行が不評を買い、早々に失敗作の烙印を押されることに……。
しかし、1996年6月のビッグマイナーチェンジではスポーツカー然としたシャープなビジュアルに刷新。220psの最高出力を発生した名機、SR20DETエンジンとの組み合わせはチューニングのベースとして評価が高く、後年に人気が再燃。中古車市場では今も高値安定の状況となっている。
スタイリングさえ良ければヒットしたかも!? なレパード J.フェリー
「美しい妻と、一緒です」というキャッチコピー通り、丸みを帯びたエクステリアデザインが印象的だった。販売は大低迷し、1996年に4代目へ。名称もレパードに戻された
フランス語の“祝日”をイメージした造語を車名に加えた「レパードJ.フェリー」と改名して、1992年に登場した3代目レパード。
TVドラマ“あぶない刑事”の劇中車として絶大な人気を得た先代のスタイリッシュな2ドアクーペから一転、Y32型のセドリック/グロリアをベースにした高級セダンへと生まれ変わった3代目。
北米でインフィニティJ30として発売されていたものを国内市場に投入した一台だったこともあり、英国車を彷彿とさせる日本車離れしたインテリアの質感とデザインは大きな注目を浴びた。
エンジンは最高出力270psを誇った4.2リッターV8と最高出力200psの3.0リッターV6の2種類を設定。その動力性能や走行性能は評価も決して低くはなかったが……海外では絶賛されたテールの下がったスタイリングが日本では賛否両論を呼んでセールスは低迷。1996年3月で販売終了となった。
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