Pagani Huayra Roadster BC
パガーニ ウアイラ ロードスターBC
パガーニ ウアイラ ロードスター BC初試乗! すべてが新しい超弩級のハイパーカー
パガーニ史上最高額となるニューモデル
世界限定わずかに40台。お値段3ミリオンユーロ以上。そう聞いただけで、もはやため息すらつけない。
パガーニ・ウアイラロードスターBC。ついに、否、やはり登場したというべきか。けれども、その内容はわれわれの想像を遥かに超えるものだった。
単なるロードスターではない。まったくの新型だ
最初にはっきり言っておこう。筆者がウアイラロードスターBC発表1ヵ月前の6月末にモデナ郊外のパガーニ・アウトモビリを訪問した際、実車(ゼッケン20番)を前にオラチオ・パガーニから受けたプレゼンを聞いて、そしてさらにプロトタイプの助手席に乗り込んでモデナサーキットを周回してみて分かったことは、このクルマがウアイラロードスターの単なる軽量高性能版でもなければ、ウアイラBCの単なるロードスター版でもない、という真実だった。
もちろん、そのカタチを見れば誰もがウアイラだと思うだろうし、インテリアの基本デザインは変わらない。スペックを読み込んでも(いくつか興味深い事実を発見するかも知れないけれど意味までは分からないはず)、ロードスターもしくはBCクーペの発展系だと思われて当然だ。
ナゾを解きほぐす最初の鍵は、BCクーペ登場時にまで遡って見つけることができる。ウアイラクーペの軽量かつ高性能仕様のBCクーペは2016年のジュネーブショーで発表された。その際、オラチオはBCロードスターの計画は今のところない、と言っていた。同時に、顧客からの要望は既に多く(BCクーペは一瞬で売り切れた)寄せられている、とも。
そもそも標準型のウアイラクーペがロードスターへと発展する際にも様々な性能アップを施しており、BCにはロードスター開発で得た知見(トリアキシャルカーボンファイバー素材など)をふんだんに注ぎ込んでいた。だからこそ、オラチオがいくらBCロードスター企画をもったいぶったとしても、BCとロードスターを足せばいいじゃんくらいにしか、メディアも、そして顧客も思っていなかったはずだ。
ここから、実にオラチオらしい物語が始まる。確かにオラチオは、BCロードスターの企画はその時点で未定だと言っていた。けれども、BCクーペさえまだ作り始めていない段階からBCロードスターの要望が舞い込んでいた、それも大量に(恐らくBCクーペを幸運にも予約できた人+できなかった人という数)ということもまた事実だった。そこまで言うんじゃ造ってやろうじゃないか。けれどもBCの単なる屋根開きなど作ったって面白くない。そこにチャレンジは何もない。メディアの想像を超え、顧客の度肝を抜いてやろう・・・。オラチオはそう考えた。
カスタマーの予想を超えたプロダクト
彼が採った手段は・・・。なんと、その心臓部に開発中の次世代モデル(コードネームC10)用の新しいV12エンジンを積みこみ、さらにC10用に準備してきた次世代チタンカーボン+カーボントリアキシャル素材を使ってモノコックボディを作ることだった。
「我々は常に、顧客の想像や期待を超えていかなければならない」。オラチオ自身がよく周囲に言うフレーズである。ロードスターの技術を注いだBCクーペが登場した時点で、筆者を含め多くのスーパーカーファンがBCロードスターの登場を“簡単”に考えていた。オラチオはおそらく、それが“気に食わなかった”のだ。
果たして、ウアイラロードスターBC(と命名された)は、確かにウアイラのカタチをしてはいるものの、その実、主要なパートはほとんど新設計という、新型モデルと言っていいほどの進化を果たしている。
そのことを如実に示す事実として、実に7台ものプロトタイプ車両(うち4台がロードスター)を製作し、新規に開発されたパート(空力、パワートレイン、ボディ、シャシー、タイヤなど)のテストに充てたことを挙げておこう。7台ものテストカーを作ること自体、パガーニのような少量生産メーカーでは異例のことだし、事実これまでには無かったこと。ウアイラロードスターBCがいかに“新しいか”を、分かっていただけたことだろう。後に何台か売っちゃうかも、だけど(笑)。
もうひとつ、パガーニの心臓といえばオラチオの故郷アルゼンチンの英雄であるファン・マヌエル・ファンジオが縁を取りもったメルセデスAMGのV12、というのはあまりに有名な事実だが、メルセデス自身は12気筒エンジンの生産終了を3月のジュネーブショーでアナウンスした(S65ファイナルエディション)。
パガーニのパワートレインがこの先いったいどうなるのか、いよいよダウンサイズV8搭載か・・・など、様々な憶測が流れたが、このたびパガーニは2025年まで、つまりはウアイラ後継車(C10)のモデルライフ半ばまで、はメルセデスAMGよりV12エンジン(M158)の供給をうける、と発表した。
パガーニ社のエンジニアによれば、すでにパガーニではピュアEモーターを含む様々な次世代パワーユニットの検討&開発に入っているが、V12の寿命が少しだけ延びたことで、既存の選択肢(EVやハイブリッド)に収まらない次世代パワートレインの提案ができそうだという。12気筒エンジンの延命それ自体も嬉しいニュースだが、次世代への期待もいっそう膨らんだ。5年の延命は、パガーニにとって今世紀最大の朗報かも知れない。
軽量かつ強固な新型モノコックを採用
さて、話を主役のウアイラロードスターBCに戻そう。ウアイラロードスターBCのお披露目は本社新ファクトリー内にて開催された。工場内にスモークがたち込めると、ウアイラロードスターBCが全社員に見送られて登場した。出迎えるのはオラチオ以下、主要メンバーや開発、デザインチーム、そして我々数名のジャーナリストだ。
実車を前にプレゼンテーションが始まった。ポイントは、BCクーペより進化した空力、コスト度外視で採用された改良素材によるボディコンポーネント、そして800hpオーバーという新V12エンジン、だ。
空力に関していえば、BCクーペとは全く異なるエアロパーツを使い、ボディ上面と床下の空気の流れにこだわることで、280km/h時点で最大500kgものダウンフォースを得ることに成功した。新しいチタン製エキゾーストシステムは6本出しとなっているが、2本からの排出を触媒コンバーターからダイレクトにリヤのブロウンディフューザーへと促すことでいっそう強力なダウンフォースを得たという。
モノコックボディには、進化したチタンカーボンとトリアキシャルカーボンを使っている。素材そのものの考え方はロードスターやBCクーペと変わらないが、強度と軽さがまったく違うことに驚かされた。現場にはウアイラクーペ用、ロードスター用、そしてウアイラロードスターBC用の三種類のカーボンファイバー成形板が並べられていたが、ウアイラロードスターBC用は驚くほど軽く、そして曲がらない。従来に比べてねじり剛性で12%、曲げ剛性で20%の向上をみた。
800hpを超える新型V12エンジンを搭載
そして、注目のV12エンジンだ。M158の発展形とは言うものの、タービンからマニホールド、スロットルボディ、インタークーラー、そしてボッシュのマネージメントシステムまで全てを刷新。800hp以上の最高出力と、わずか2000rpmで1050Nmという途方も無い最大トルク値を叩き出す。最大トルク値はBCクーペ用よりもわずかに下がっているが、このあたりのチューニングに環境対応への苦労が偲ばれよう。車重わずかに1250kg。BCクーペに優るとも劣らないパフォーマンスが期待できそうだ。
その他、ピレリとの共同開発によるタイヤはさらなる進化を遂げたというし、トランスミッションやサスペンションなど見どころは尽きないが、そろそろ開発ドライバーによるトラック走行の同乗インプレッションで本レポートを締めくくろう。
ノーマルとは次元が違う“公道のレーシングカー”
アウトドローモ・モデナ。モデナ近郊にあって、11個のコーナーから成る一周2kmちょいというミニサーキットだ。パガーニのテスト、というには狭い気もするが、逆にいうとハンドリングパフォーマンスを筆頭にこれまでとの違いを“感じる”には最適の場所なのかも知れない。
テストドライバーの横に乗る。すでに何度もスクープされたことのある“スパイダーカー”(擬装)。乗り込んで4点式シートベルトを締めるや否や、ドライバーはローンチコントロールでド派手なスタートを切る。助手席からでも車体の軽さと硬さが分かる、極めてレスポンス鋭い加速フィールだ。ヘルメットを被せた頭ががくぅんとシートバックにヒットした。乗り心地はノーマルのウアイラより硬質だけれども、ロードカーのそれを逸脱するものじゃない。
右コーナーから始まる。その動きはまるでレーシングカーだ。路面に近く、舐めるように前後左右へと移動する。すべてが恐ろしく鋭いがスムーズ、しかも前輪の食いつきが傍目にも凄まじい。これは筋力が要るなと、ドライバー氏の腕を見れば隆々だった(ダビデほどではないが)。
なるほど、ノーマルのウアイラとは次元の違う走りである。乗用車らしさはまるで失せてしまった。完全なるドライビングカー。オラチオはゾンダエヴォでなし得なかった“公道のレーシングカー”を、ウアイラロードスターBCで実現したかったのかも知れない。
試乗後。午後5時を回っても未だ気温は30度以上を指し、下がるどころかさらに上がりそうな気配だった。その日のディナーは本社からクルマで5分の地に建設されたパガーニ家のニューヴィラだ。歴史的な建物をリノヴェーション。ヘリポートやプール、巨大ガレージを備えている。顧客はヘリコプターでここまでやってくるのだという。
ガレージから秘蔵の愛車たちを外へ出し、ディナーは始まった。
REPORT/西川 淳(Jun NISHIKAWA)
【SPECIFICATIONS】
パガーニ ウアイラロードスターBC
乾燥重量:1250kg
エンジン:60度V型12気筒SOHC 36バルブ ツインターボ
総排気量:5980cc
最高出力:590kW(802hp)/5900rpm
最大トルク:1050Nm/2000-5600rpm
トランスミッション:7速AMT
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後CCMベンチレーテッドディスク
ディスク径:前398×36mm 後380×34mm
タイヤサイズ:前265/30R20 後355/25R21
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