5月8~9日の週末にいよいよ開幕のときを迎えた2021年のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、高速トラックのスラクストンで悪天候も絡んだスリリングな展開となり、赤旗中断やセーフティカー(SC)乱発の厳しい週末に。そんな難しいコンディションで、BTCレーシングのエースを務めるジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が開幕2連勝と輝きを放ち、今季最初のポールポジションを射止めていたレーザー・ツールズ・レーシングのディフェンディングチャンピオン、アシュリー・サットンのインフィニティQ50BTCCも、最終ヒートで勝利を飾っている。
4月22日に恒例の公式テスト“メディアデイ”を開催したBTCCだが、この開幕直前にもドライバー市場で動きがあり、同テストで総合4番手を記録していたマイケル・クリースが急遽BTCレーシングを離脱。代わって昨季までチーム・ダイナミクスでタイトルコンテンダーとして活躍してきたダン・カミッシュが電撃復帰を果たし、カラーリングは異なるものの勝手知ったるFK8型ホンダ・シビック・タイプRを引き続きドライブするという吉報が飛び込んだ。
ETCRのヒュンダイ陣営にトム・チルトンとジョン・フィリピ加入。2022年からはFIA格式に
そんな状況で迎えた今季最初の予選は、小雨が舞う難しいコンディションで始まり、各陣営ともグッドイヤーのレインタイヤを装着してのスタートに。しかし最後の10分にはレコードラインが乾き出す状況となり、ドライ換装で“いかに早く熱入れを完了できるか”がドライバーにとっての勝負どころとなった。
その難題に本格的な解答を出せたのは参戦全29台中上位8台のみで、ラストアタックでBTCホンダのクックを0.053秒上回った現王者のサットンが、インフィニティQ50BTCCで今季初のポールを確保。以下、3番手に名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の4冠王者コリン・ターキントン(BMW330i M-Sport)、トヨタ陣営から新生ギンスターズ・エクセラー8・ウィズ・トレードプライズカーズ・ドットコムに移籍のトム・イングラム(ヒュンダイi30 Nファストバック)が続くおなじみの顔ぶれが並ぶセカンドロウとなった。
そして長く暫定ポールを守っていたスピードワークス・モータースポーツ(SWM)のロリー・ブッチャー(トヨタ・カローラBTCC)が5番手に並び、WSRのトム・オリファント(BMW330i M-Sport)、MBモータースポーツのジェイク・ヒル(フォード・フォーカスST)、そして3年ぶりBTCC復帰を果たすチーム・ダイナミクスのゴードン・シェドン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)までが首位からコンマ8差で続く結果に。9番手オリー・ジャクソン(フォード・フォーカスST)は、そのシェドンからさらにコンマ8秒遅れて首位から1.6秒差と、予選時点で大きなタイム差のつくセッションとなった。
■レース2ではクラッシュによる赤旗も
そんな実力派ぞろいの上位グリッド順が、翌日レース1のスタートで波乱を呼ぶことになり、高速1コーナーの“アラード”に向けて首位を維持したサットンだったが、さらにそのインサイドには同じFRマシンを操る3番手ターキントンのBMWが鼻先をねじ込んでおり、2台は軽く接触。これでリヤを押されたサットンはたまらずスピンを喫し、車列最後尾まで転落する事態となる。
これで首位浮上に成功したクックのホンダ・シビックに対し、ヒュンダイのステアリングを握るイングラムとヒルのフォードが追走する展開となり、ターキントンは4番手へと後退。さらにトップ10圏内のバトル中には、ジャクソンのフォード・フォーカスSTを軸にシェドンのホンダ・シビックとクリス・スマイリー(ヒュンダイi30 Nファストバック)が絡むクラッシュが発生し、早速のSCが導入される。
この混乱のピリオドを前に5番手ブッチャーの背後まで浮上したのが11番手発進だったパワー・マックス・カーケア・レーシングのジェイソン・プラト(ヴォクスホール・アストラBTCC)で、7周目のリスタート後から老獪なアタックが始まる。
このバトルの応対で前を追うのが難しくなったカローラはジリジリと後退し、13周目にはサイド・バイ・サイドの状態でともに失速。これで漁夫の利を得たのがカミッシュで、つねに背後で機会を窺っていた12番手発進のシビックが一気に5番手浮上に成功する。
前方ではリードを拡大し続けた首位クックが、約2秒強のギャップを作り出して19周のトップチェッカーを受け今季初優勝。2番手イングラムもヒュンダイの最高位タイとなる表彰台を獲得し、3位にはターキントンからの猛追をしのぎ切ったヒルのフォードが滑り込んだ。
さらにレース後には4位ターキントンにスタート時の接触に対するタイム加算ペナルティが課され、17秒の追加で10位に後退。最終ラップでチームメイトを含む2台のマシンをかわし、トップ10に復帰していたサットンが9位をもぎ取る結果となった。
これでレース2に向けて最前列を得たクックは、結果的にライト・トゥ・フラッグの連勝劇を演じるが、レース自体は赤旗とSC続発の荒れた展開に。
スタート直後にアンディ・ニート(フォード・フォーカスST)と接触したグリン・ゲディー(クプラ・レオンBTCC)がバレルロール状態でコースオフ。今季からPHSC with BTC Racing(PHSCウィズBTCレーシング)より初のレギュラー参戦を果たした女性ドライバー、ジェイド・エドワーズ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)も巻き込んでの大クラッシュに発展する。
これで赤旗中断となったレースは12周に短縮して再開されると、今度は2番手争いを展開していたイングラム、ヒルに対し、3ワイドになったブッチャーのカローラが制御不能に陥りタイヤバリアに激突。マーシャルはふたたびコース補修とマシン回収作業に動員され、隊列はSCに率いられる状態となる。
6周目に再開されたレースはいくぶん落ち着きを取り戻し、クックがスラクストンでの通算6勝目をマーク。2位には緊急復帰のカミッシュが浮上してBTCレーシングがワン・ツーを達成し、4番手のダニエル・ロウボトム(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)を抑えたフォードのヒルが連続表彰台を守り、FK8シビックのポディウム占拠を阻止した。
■インフィニティQ50が今季初優勝
そして最終ヒートのレース3を前にコース上にはふたたび小雨が舞い、グリッドに並ぶ大半のマシンはレインタイヤを選択してのスタートに。これでアドバンテージを得たのがFR勢で、今季WSR加入のステファン・ジェリー(BMW330i M-Sport)やターキントン、そしてレース2でも9位カムバックを果たしたサットンらがリバースグリッドも活かして上位に進出していく。
しかしレース中盤にふたたび路面が乾き始めると、スリックを選択して賭けに出ていたヒルのフォードが息を吹き返し、9周目にサットンを捉えて首位浮上に成功する。しかしレースの神様はさらに試練を与え、ヒルのトップランが始まると同時にトラックにシャワーを浴びせ、高速スラクストンで排水に勝るレインタイヤ勢がふたたび反撃に転じる。
最終コーナーで首位に返り咲いたサットンが逃げを打ち始めると、スリックで粘るヒルの背後にはチャンピオン経験者のプラトとシェドンが迫ってくる。ともにウエットを装着したヴォクスホールとホンダはフォードに襲いかかり、最終ラップではついに団子状態に。
サットンが今季初勝利のフィニッシュラインを駆け抜けた一方、ホームストレートに向け3ワイドで立ち上がった後続3台は並んでチェッカーを受け、プラトが0.070秒差でヒルを刺して2位を奪取。シェドンはわずか0.166秒差で4位に敗れたものの、クラッシュからの復帰戦で集団後方から猛烈な追い上げを成功させ、NGTCマシンのドライビングが衰えていないことを証明した。
「ヒルと僕はレース3でまったく同じスリルを体験したと思うよ。いっときは『ああ、これで今日は負けだ』と思ったら、すぐにまたチャンスが戻ってくるんだからね! 正直言って、ドライでもウエットでもマシンバランスには満足しているよ」と勝者サットンが語れば、一時は勝利の見えたヒルも「アシュ(サットン)やジェイソン(プラト)と戦いながら、マシンをコース上に留めておくのは並大抵のことではなかった」と振り返った。
「でも終盤の雨にもめげずに、僕はレースの長い道のりをスリックで戦い抜いた最上位のドライバーだ。自分自身とチームを誇りに思うし、マニュファクチャラー登録で初めてスラクストンの表彰台を獲得した。自分が順位表のリーダーだなんて信じられない気分だよ」と、喜びと充実感を語ったヒル。
その選手権では3戦連続表彰台を確保したヒルが首位に立ち、1ポイント差で連勝のクックが続く展開に。その背後にはプラト、サットン、カミッシュ、イングラムと続き、今季もツーリングカーの名手たちによる激戦の予感が漂う。そんな2021年のBTCCシーズン、続く第2戦は6月12~13日にスネッタートンで開催される。
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