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【いい尽くせない素晴らしさ】GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダーへ試乗 前編

掲載 更新 3
【いい尽くせない素晴らしさ】GTOエンジニアリング・カリフォルニア・スパイダーへ試乗 前編

オリジナルとほぼ見分けがつかない

執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】近年の新たな流行 現代の技術で復刻 カリフォルニア・スパイダー 他モデルも 全115枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


なんと美しいスパイダーなのだろう。でも今回ご紹介するクルマは、オリジナルのフェラーリ250 GTカリフォルニアではない。ショート・ホイールベース版の。

もし本物なら、保存状態とこれまでの経歴によっては、1500万ポンド(22億8000万円)以上で取り引きされる極めて高価なクラシック・フェラーリだ。何しろ製造台数は、わずか56台しかない。

試乗したスパイダーは、フェラーリを専門に扱うガレージ、GTOエンジニアリング社が製作した、できたてホヤホヤの新車。モデル名は、カリフォルニア・スパイダー・リバイバルという。

見た目は、1950年代末に作られたオリジナルとほぼ見分けがつかない。その内側はどうなのだろう。興味が掻きたてられる。

もし2年間のバックオーダーを待てるなら、GTOエンジニアリング社はオリジナルの20分の1の価格で、美しいスパイダーを準備してくれる。といっても、75万ポンド(1億1400万円)を用意することにはなるのだが。

見事なボディの内側も、ほとんどオリジナルに近い構成で仕上げられている。標準仕様では、エンジンは250 GTと同じ設計の3.0L V型12気筒。トランスミッションも、当時と同じ4速MTが組まれる。

しかしGTOエンジニアリング社は、ほぼ無限といえるカスタム・メニューを取り揃えている。オーナーのご希望に応じて、より高性能な1台にすることも問題ない。

シャシーに施された強化策で別次元

今回のカリフォルニア・スパイダーは、生産台数10台にも満たない、量産シリーズとしては一番初めの仕様。3.5LのV12エンジンと、GTOエンジニアリング社独自の5速MTを搭載し、英国価格は85万ポンド(1億2920万円)が付けられている。

筆者はこれまで、貴重な56台の1台を運転した経験はない。250 GTカリフォルニアのオーナーであっても、ほとんど公道に出すことはないだろう。

だが、1960年代に製造されたコンバーチブル、フェラーリ275 GTSを運転したことはある。その印象は、正直にいって、あまり良いものではなかった。多くの異論が上がりそうだけれど。

見た目は素晴らしく美しいし、エンジンサウンドは聴き応えもたっぷり。ところがオープンボディのためか、スペースフレーム・シャシーは走行中に振動を隠さない。その影響で、ステアリングや乗り心地にも小さくない影響が出ていた。

スピードを高めるほど、状況は悪化する一方。結果としてフェラーリでありながら、275 GTSをのんびり走らせるに留まった。クラシック・フェラーリを運転している、という気持ちを打ち砕くように。

GTOエンジニアリングの技術者が、同じ経験をしたのかはわからない。だが、シャシーの要所には充分な強化が施してある。その効果は、別次元といえるほどに印象を変えているようだ。

どんな走りなのか触れる前に、カリフォルニア・スパイダー・リバイバルをもう少し詳しくご紹介しよう。その容姿は見事で、実物を初めて目にすれば、どんな人でも顔に笑みを浮かべるはず。

レッド・レザーのゴージャスなインテリア

伝統的な技術に則って製造されており、ボディパネルは職人が丁寧にアルミニウム板を叩き出して成形している。形状はデジタルデータを用いて管理され、60年前のオリジナルより、パネルそれぞれのフィット感は遥かに高い。

映画俳優のジェームズ・コバーンはオリジナルの250 GTOを所有していたが、彼のクルマと同様に塗装は完璧なネロ。ブラックだ。ちなみにそのクルマは2008年にオークションへかけられ、初めて1000万ドル以上の値を付けたクラシックカーとなった。

250 GTOは、厳密には2種類に別れており、1958年から1960年にかけて製造されたロング・ホイールベース版は45台が作られている。その後、今回のベースとなった、軽量でスポーティなショートホイールベース版が作られた。

それに準じて、カリフォルニア・スパイダーにも2種類が用意されている。筆者のように身長が190cmもある場合は、ロング・ホイールベース版の方が良いかもしれない。

ショート・ホイールベース版は200mmほどタイヤ間の距離が短く、足元空間が狭い。ペダルへ足を置くと、トリプルスポークのナルディ社製ウッド・ステアリングホイールを、膝で挟む格好になってしまう。

それでもインテリアはゴージャス。ヴェグリア社の精巧なメーターが何枚も並び、内装はシートも含め、壮観なレッド・レザーで仕立ててある。ツヤツヤのグリップが付いたシフトレバーが、ふくよかなトランスミッション・トンネルから伸びる。

真新しいキーを挿し180度回し、少し押し込んでV12エンジンに火を入れる。一発で目覚めた。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

3件
  • 欲しい!
  • 金次第でどうにでもなるということです。そのうち少量生産車ならばCO2規制は掛からないという逃げ道ができるのかも。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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