50年以上もの歴史があるカローラシリーズで、初めてSUVモデルが2021年に登場したカローラクロス。カローラセダンやツーリングと共通のプラットフォームを使い、荷室と後席が広く作られている。パワーユニットはハイブリッドとNAから選択が可能だ。
目下爆売れ中のカローラクロスは、同価格帯のSUV5台に太刀打ちできるのか? 自動車評論家 渡辺陽一郎が試乗チェックし、ライバル車と徹底比較していく。
カローラクロスはヴェゼル CX-30 XV RAV4 C3エアクロスより「買い」なのか? 人気SUV5台と徹底比較!
●トヨタ カローラクロス 対決ラインナップ
・VS ホンダ ヴェゼル
・VS マツダ CX-30
・VS スバル XV
・VS トヨタ RAV4(NA)
・VS シトロエン C3エアクロスSUV
※本稿は2022年5月のものです
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月10日号
■トヨタ カローラクロスはヒット中の「総合力のある」クロスオーバーSUV
セダン、ツーリング(ワゴン)に続くカローラシリーズの兄弟モデルで、50年以上あるカローラの歴史のなかで初めてのSUVだ。
SUVといっても最低地上高は160mmと低く、クロスオーバーSUVといった「仕立て」になっている。
このカローラクロス、2020年の世界発表の場がタイだったということもあり、新興国向け戦略車……と思われたフシがあったが、さにあわらず。当初から日本や北米など世界をターゲットにしたモデルだ。
パワートレーンは直4、1.8LのNAとハイブリッド。プリウスの1.8L「THS II」をブラッシュアップしたハイブリッドを採用。1825mmの車幅を感じない扱いやすさがある。
カローラクロスはカローラシリーズ初のSUV。荷室と後席の広さが売りで、26.2km/Lと高燃費なハイブリッドモデルが299万円と優れた経済性も兼ね備える
カローラセダンやツーリングと共通のプラットフォームを使うクロスオーバーSUVで、リアゲートの角度を立てた水平基調のボディにより、空間効率が優れている。
全長が4500mm以下のSUVでは、荷室面積が最も広い。後席の足元にも充分な空間があり、4名で乗車しても快適だ。
パワーユニットは、直4、1.8LのNAとハイブリッドを用意する。ハイブリッドはWLTCモード燃費が26.2km/Lだから、14.4km/LのNAに比べて燃料代を45%節約できる計算になる。
しかもNAとの価格差は35万円で税額も約10万円安く、実質差額は25万円となる。価格は最上級のハイブリッドZでも299万円に収まり、優れた経済性も人気の秘訣だ。
■トヨタ カローラクロス主要諸元 ※()内はHYBRID Zの数値
・全長×全幅×全高:4490×1825×1620mm
・ホイールベース:2640mm
・車両重量:1410kg(1350kg)
・エンジン:直4 DOHC(直4 DOHC+モーター)
・排気量:1797cc
・最高出力:140ps/6200rpm(98ps/5200rpm)
・最大トルク:17.3kgm/3900rpm(14.5kgm/3600rpm)
・モーター最高出力:-(72ps/16.6kgm)
・トランスミッション:CVT(電気式無段変速機)
・WLTCモード燃費:14.4km/L(26.2km/L)
・価格:264万円(299万円)
■約290万円同士のハイブリッド対決! VS ホンダ ヴェゼル
ホンダ ヴェゼル。ヴェゼルはカローラクロスと比べて後席の足元が広く、内装も上質。シートアレンジもしやすく、加速も滑らかなので、ヴェゼルの勝ち!
●ホンダ ヴェゼル 主要諸元
・ボディサイズ:全長4330×全幅1790×全高1590mm
・車重:1380kg
・エンジン:直4DOHC+モーター 1496cc
・最高出力/最大トルク:106ps/13.0kgm
・モーター出力/トルク:131ps/25.8kgm(e:HEV Z、FF)
・価格:289万8500円(e:HEV・Z)
ヴェゼルの全長は4330mm。カローラクロスに比べると160mm短いが、後席の足元空間は広い。内装も上質だから、ヴェゼルは4名で乗車しても快適だ。
荷室長はカローラクロスよりも短いが、燃料タンクを前席の下に搭載したから、荷室の床が低くシートアレンジもやりやすい。
ヴェゼルハイブリッドのエンジンは、主に発電を行って、駆動はモーターが担当するするので加速も滑らか。
ヴェゼルe:HEV・Zの価格は289万8500円。質感はヴェゼル、実用性はカローラクロスが高い。
【勝敗】ヴェゼルの勝ち!
■ディーゼル対ハイブリッド!! VS マツダ CX-30
●マツダ CX-30主要諸元
・ボディサイズ:全長4395×全幅1795×全高1540mm
・車重:1460kg
・エンジン:直4DOHCディーゼル+ターボ 1756cc
・最高出力/最大トルク:130ps/27.5kgm(XD)
・価格:288万7500円(XDプロアクティブ)
CX-30は全長がカローラクロスよりも約100mm短いが、両車の位置付けは似ている。CX-30はボディ側面のパネルにボリューム感を持たせ、映り込みが美しい。
その代わりデザイン優先ゆえ、後席の足元空間はカローラクロスが広い。またCX-30はリアゲートを寝かせているので、背の高い荷物も積みにくい。
1.8Lディーゼルターボを搭載したCX-30のXDプロアクティブは、価格が288万7500円だ。
カローラクロスハイブリッドは275万円。実用性も加味し、カローラクロスの推奨度が高い。
【勝敗】カローラクロスの勝ち!
■約270万円同士のガソリンモデル対決! VS スバル XV
立体駐車場に入れる全高で、安定性があるスバル XV。NAモデルのカローラクロスと近い価格だが、荷室の広さなどでカローラクロスの勝ち!
●スバル XV主要諸元
・ボディサイズ:全長4485×全幅1800×全高1550mm
・車重:1410kg
・エンジン:水平対向4DOHC 1599cc
・最高出力/最大トルク:115ps/15.1kgm(1.6i-L EyeSight)
・価格:270万6000円(2.0e-Lアイサイトスマートエディション)
XVは200mmの最低地上高を確保しながら、全高は1550mmだから立体駐車場を使いやすい。低重心で安定性も優れ、ホイールベースは2670mmで後席も広い。
エンジンは水平対向4気筒の1.6Lと、e-BOXERと呼ばれるマイルドタイプに近いハイブリッドを用意する。価格は2Lの2.0e-Lアイサイトスマートエディションが270万6000円だ。
カローラクロスではNAを搭載するZの264万円に価格が近い。
機能はXVも優秀だが、荷室の広さなどの優位性で、カローラクロスが買い得だ。
【勝敗】カローラクロスの勝ち!
■同門下剋上対決!! VS トヨタ RAV4(NA)
●トヨタ RAV4(NA)主要諸元
・ボディサイズ:全長4600×全幅1855×全高1685mm
・車重:1570kg
・エンジン:直4DOHC 1986cc
・最高出力/最大トルク:171ps/21.1kgm(X、4WD)
・価格:300万5000円(4WD・X)
RAV4は全長が4600mmに達するミドルサイズSUVだが、価格は割安だ。
直4、2Lエンジンを搭載する4WD・Xは300万5000円で、カローラクロスではハイブリッド4WD・Sの295万9000円が近い。
カローラクロスのSは買い得グレードで、特に4WDのSは、リアサスペンションが独立式になっており、タイヤサイズも17インチだから乗り心地が最も快適。
RAV4は車内の広さも魅力だが、装備がシンプルでパノラミックビューモニターなどもオプション装着できない。推奨度が下がる。
【勝敗】カローラクロスの勝ち!
■最後はC3の1.2Lターボに挑む! VS シトロエン C3エアクロスSUV
C3は1.2Lターボを搭載するためパワフルな加速を見せるが、カローラクロスのハイブリッドの方が滑らかな加速を見せる。後席が広いのもカローラクロス。カローラクロスの勝ち!
●シトロエン C3エアクロスSUV 主要諸元
・ボディサイズ:全長4160×全幅1765×全高1630mm
・車重:1290kg
・エンジン:直3DOHC+ターボ 1199cc
・最高出力/最大トルク:130ps/23.5kgm(SHINE)
・価格:303万2000円(シャイン)
輸入車では、シトロエンC3エアクロスSUVシャインもライバル車だ。
価格は303万2000円だから、カローラクロスでは、299万円のハイブリッドZとほぼ同価格。
動力性能を見ると、C3の1.2Lターボはパワフルだが、カローラクロスは同じ価格帯でハイブリッドになるから、加速が滑らかで燃費もいい。そして後席も広い。
C3にも伸縮性の優れた足まわりによる快適な乗り心地など、独特の魅力が備わるが、実用性や経済性から判断すると……、カローラクロスのほうをオススメしたい。
【勝敗】カローラクロスの勝ち!
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