最新アルピーヌがマイナーチェンジ。上級仕様は300psにパワーアップ!
アルピーヌA110 Good Point
1975年開催のツール・ド・コルスで激走したNo.7アルピーヌA110をリスペクトした現行A110の特別仕様車が本国で発表
1:鮮烈ハンドリング!軽量MRスポーツ
2:名車イメージを継承した造形と味わい
アルピーヌA110は、1960年代から70年代にかけて発売された往年の名車を、デザインのみならずブランド名、そしてネーミングまでオマージュしながら現代に蘇らせた生粋のスポーツカーである。2017年に公開され、日本では翌2018年に発売された。
「オリジナル」のA110がFRP製ボディを纏ったリアエンジンレイアウトだったのに対して、現行モデルはアルミ製ボディでエンジンをミッドマウントした完全2シーター。さすがに新旧A110でエンジニアリング的な共通項は皆無だ。乗れば、現行モデルが単なる懐古趣味から復活されたものではないことは明らかになる。走りはシビアな視点でチェックしても、最新スポーツカーとして極上の仕上がりである。
そんな最新A110が、デビュー後初となる大幅リファインを実施した。とはいえ、すでに完成度の高かった内外装デザインに手が加えられることはなく、ラインアップの見直しと一部グレードでのエンジンパフォーマンスの向上、マルチメディアシステムのアップデート(アップルカープレイ&アンドロイトオートへの対応)がメインメニューになっている。
「グランドツーリングを楽しむためのグレード」と紹介される新設定のGTは、ベースモデルの252ps/320Nmに対して、300ps/340Nmまでアウトプットを高めたエンジンを搭載。サスペンションにはスポーツカーらしい走りと、快適性に配慮した「アルピーヌシャシー」を採用する。装備は充実しており、リフター/リクライニング機構に加えヒーター内蔵のレザーシートとサブウーハー付きのオーディオを標準装備。3グレード中で最もゴージャスな性格だ。
身のこなしは実にゴキゲン! 心に響く傑作スポーツ
1.8リッターのターボ付き直噴4気筒ユニットが発する快音を背中に感じながらスタートする。まず感じるのは強力にして軽やかな加速感。実際、3グレード中最も重いこのモデルでも車両重量は1130kgにすぎず、0~100km/h加速は4.2秒でクリアする。走りの印象が目覚ましいのは当然だ。
同時に感心したのは、7速DCTの出来のよさ。変速動作がシームレスなのはもちろん、微低速でも実に滑らか。スポーツモードを選択した場合にはハードドライビング中に、ドライバーの心を見透かしたようにまさに望んだタイミングで次の加速のためのダウンシフトを軽い「バブリング」のサウンドと共に実行する。「回らないパドルシフト」の採用を含め、運転上手のエンジニアが作り込んだ経緯は明らかだ。
コーナリングも最高である。自身が旋回の中心に位置するかのようなミッドシップらしいシャープさと同時に、ひらりとした身のこなしはやはり軽量モデルならでは。実にゴキゲンだ。硬めの乗り味ながら、決して凹凸で跳ねることなく路面を舐め続けるフットワークにも感心した。パワーユニットの電動化やADASの装備とは無縁。とはいえ、「それがどうした」と運転中に思えてくる……そんな心に響く1台である。
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