アフリカ、ケニアで開催されているWRC世界ラリー選手権第6戦『サファリ・ラリー・ケニア』の競技2日目が6月25日に行われ、デイ2のSS2~7を終えた時点で、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が総合首位に立っている。
2002年以来、19年ぶりにWRCカレンダーに復帰したサファリ・ラリーが、世界トップレベルの選手たちと、彼らが駆るWRカーに牙を剥いた。今戦の総合優勝を懸けて戦う最高峰クラスには、3メーカーから計11台のWRカーが参戦したが、その約半数となる5台が競技2日目にして戦線離脱を余儀なくされた。
復活を果たした伝統のラリーイベント2日目は、サービスパークの南側のエリアに設定された3本のステージを日中のサービスを挟んで各2回走行するスケジュールが組まれ、計6本のSSで争われた。そのオープニングステージでは、ヒュンダイのヌービルが速さをみせステージ優勝を果たすと、総合でも前日の5番手から首位に躍り出ることに成功する。
続くSS3も制したヌービルはその後も順調にラリーを進め午前中のループが終わった時点で、総合2番手につけたカッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)を5.1秒リードした。
その後、午後のループのオープニングとなったSS5でロバンペラに逆転を許し、総合2番手に後退したが、SS6で今イベント3度目のステージウインを飾り再逆転に成功。SS7では2度のパンクとエンジンの問題を抱えてタイムを失ったものの、この日最大のライバルとなっていたロバンペラが同ステージでスタックし、デイリタイアを喫したためポジションは変わらず。総合首位でラリー2日目を終えることとなった。
「タイヤのパンクによって少々ドラマがあったが、なんとかサービスに戻ることができた」と語ったヌービル。
「タフな1日だったが、明日もまた大変な1日になるだろう。僕たちは今日多くのことを学んだ。明日はそのことを頭に入れ、小さな問題を回避していく必要がある」
ヌービルに続く総合2番手につけたのは、トヨタ・ヤリスWRCを駆る勝田貴元だ。SS4番手タイムを2回、3番手タイムが1回、SS7では僚友のセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)と同タイムでステージベストを記録した勝田は、エンジンストールなどの問題を抱えながらも上位に食らいつき、SS4を終えた段階で総合4番手となる。
迎えたSS7ではチームメイトのラバンペラが戦線を離脱、直前まで総合3番手につけていたオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)がパンクに見舞われタイムを失ったことから順位をふたつ上げ、首位と18.8秒差の総合2番手のポジションを得た。
■2日目午前中からアクシデント続発
ペースを60%以下に抑えたというタナクは、トップから55.8秒遅れの総合3番手で競技2日目を終了。その後方、総合4番手にはセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が続いた。
オジエはSS3でサスペンションにダメージを受けたものの、このステージとSS4で大幅にペースを落として走行し、サービスにクルマを戻すことで生き残ることに成功した。この結果、一時は総合7番手までポジションを落とし、首位から2分10秒以上の遅れをとったが、午後にはペースを取り戻しその差を縮めている。
Mスポーツ・フォード勢はガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)が総合5番手、アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)が総合6番手で競技2日目を完走した。陣営最上位につけたグリーンスミスはアンチロールバーを破損させたが、その後の慎重なアプローチが功を奏し生き残りに成功した。
一方、同陣営からサファリ・ラリーにスポット参戦したプラダの御曹司、ロレンツォ・ベルテッリ(フォード・フィエスタWRC)はラジエーターの破損によってクーラント液が漏れ、エンジンがオーバーヒート状態に。このためデイリタイアを決めている。
選手権のドライバーランキング2位で今戦を迎えたエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)は、SS3の終盤にコース脇の茂みに隠れていた石にヒット。マシンの右フロントサスペンションを壊し走行不能となったことからデイリタイアとなった。そのSS3ではダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)もサスペンションアームの破損でラリー続行が不可能に。こちらもデイリタイアとなっている。
WRカーでの参戦となったオリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20クーペWRC)もマシンの足回りに損傷を負ったひとりだ。19歳の彼はSS2でダメージを受けた後、修復作業を行いながらSS3とSS4を走りきったものの、シャシーへのダメージが大きく競技続行が不可能であることからリタイアを余儀なくされた。
サバイバルの様相を呈しているサファリ・ラリー・ケニアの競技3日目、26日(土)のデイ3は、サービスパークの北側にあるエルメンテイタ湖周辺で3つのステージを各2回走行していく。日中のサービスを挟んで行われる6本のSSの合計距離は大会最長の132.08kmとなり、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は387.88kmとなる予定だ。
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