2024年FIA F2第2戦の舞台はサウジアラビアのジェッダ。ジェッダ・コーニッシュ・サーキットは市街地サーキットでありながら、高速コーナーが連続するチャレンジングなコース。ルーキーたちにとって、難コースのひとつとされている。
そのジェッダを実際に走った宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)もこれまで経験したことがないコースだったという。
適応力の高さを見せたベアマンと、次世代を担う宮田、岩佐たちへの好影響【中野信治のF1分析/第2戦】
「ストリートサーキットと呼ばれていますが、コーナーリングスピードかなり高い。それにもかかわらず、コース幅が狭く、かつ壁が近くて、ラン・オフ・エリアもほとんどなく、僕が経験したマカオとはキャラクターが違うコースでした」
そのジェッダ・コーニッシュ・サーキットでの初走行となったフリー走行では22台中20番手に終わった。
「セッションが始まって、15分あたりで赤旗が出て、本来45分間あるはずの走行時間が、33分間に短縮されてしまいました。そのため、クルマに対する手応えを感じられないまま予選に臨むことになりました」
さらに予選ではマシントラブルにも見舞われ、20番手に終わった。
「シフトトラブルに見舞われて、アタックはできたものの、毎回タイムアタックしている最中や、その直前にシフトトラブルが出てていたので、クルマに対して100%信頼できない状態でアタックしなければなりませんでした」と、宮田は振り返った。
予選で出たシフトトラブルはスプリントレース(決勝レース1)までに改善され、レース終盤は自己ベストを更新する走りを披露した宮田。必死の追い上げも、12位でフィニッシュとなった。
「スプリントレースのスタートは良かったのですが、目の前でストールするドライバーがいたために、あまりポジションを上げることができませんでした。その後もあまりポジションを上げることができない苦しいレースだったんですが、レース終盤になってようやくコースに対してクルマのバランスを調整することができて、いいペースで走ることができました」
徐々にコースにも慣れ、クルマに自信が持てるようになって臨んだフィーチャーレース(決勝レース2)。しかし、スタートの際に正しい位置に止まっていなかったために、10秒間のストップ&ゴーペナルティを受けた。
「フォーメーションラップに出る時に、目の前でストールさせたクルマがいて、エンジニアとのコミュニケーションで誤解が生じて、フォーメーションラップに出るのが少し遅れました。さらにグリッドに着く時にスタート制御のボタンを押さなければならないんですが、押したつもりが、ステアリング上で確認したら、切り替わってなかったんです。それに気がついたのが、グリッドに着く直前だったので、その操作をやりながら、停止しなければならず、自分ではきちんと枠の中に止めたつもりだったんですけど、ペナルティを取られてしまいました」と、宮田。
さらに、ピットストップ時にはエンジンストールも喫した。
「フリー走行で赤旗が出た関係でピットストップの練習ができないまま、レースとなってしまいました。まだ原因はよく把握していないのですが、ピットレーンの入口で時速60kmにするところで速度を落としすぎて、エンジンの回転が落ち、アンチストールに入るはずが入らないままエンジンがストールしてしまったようです」
そのため、宮田は集団から大きく離され、孤独なレースを強いられた。それでも、レース終盤には優勝したエンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)らとともにファステストラップ争いを展開。惜しくもファステストラップは獲得できなかったものの、3番目に速いラップを刻むなど収穫も得た。
「スタートに関してはスプリントレースでも良かったんですけど、フィーチャーレースはもっと良くて、チームからも今後にこの調子でいってほしいとポジティブな評価をもらえました。レースペースも悪くなく、“たられば”にはなりますが、ペナルティを受けていなければ、ポイント争いができていたと思います」
「確かに残念な結果に終わりましたが、レースペース自体は悪くなく、チームメートも『ジェッタが一番難しいコース』だと言っていて、そこでレース終盤にはファステストラップ争いもしていたので、次のオーストラリアに向けてはポジティブな気持ちでいます」
次の舞台はオーストラリア・メルボルン。日本人にとっては、昨年岩佐歩夢がフィーチャーレースでポール・トゥ・ウィンを飾った場所として記憶に残るサーキットだ。また宮田が所属するロダン・モータースポーツは、前身のロダン・カーリン時代だった昨年、メルボルンで2レースともに5位入賞(編註:ドライバーはゼイン・マローニ)を飾っており、相性は悪くない。開幕2戦で得た経験をメルボルンで生かしてほしい。
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