最も訴求力の高いモデルになる可能性
メルセデス・ベンツのバッテリーEV(BEV)戦略は、大きく2つの柱で進められている。フラッグシップとなる大型サルーンのEQSと、ひと回り小さいEQE、同じく大型SUVのEQS SUVという、EVAプラットフォームを土台にするラインがその1つ。
【画像】訴求力が際立つ予感 メルセデス・ベンツEQE SUV 競合するBEV SUVと比較 全129枚
動力性能だけでなく、洗練性や高級感、エネルギー効率などを見事に両立させ、高い評価を得ている。面目躍如といったところだろう。
もう一方、内燃エンジン・モデルと共存する形の、EQAやEQB、EQCなどは、そこまで秀でた地位を築いてはいない。完成度は間違いなく高いといえるが、クラスをリードするほどの内容とはいえないと思う。
今回、助手席への同乗が許されたEQE SUVは、その前者に加わるモデル。既に英国での販売もスタートしており、価格は350 SUV 4マティックで9万560ポンド(約1458万円)から、500 SUV 4マティックは10万8760ポンド(約1751万円)からとなる。
少々高額ではあるが、同社のBEVラインナップを強固にすることは間違いなさそうだ。むしろ、これまでで最も高い訴求力を持つかもしれない。ドイツの南西、インメンディンゲンに位置するテストコースで味見した程度だが、そう感じた。
ステアリングホイールを握ったのは、同社の技術者。シャシー・チューニングを煮詰めるための、多彩なコースで体験させてもらった。
ライバルはアウディQ8 eトロンやBMW iX
EQE SUVがベースとするのは、EQSなどと同じBEV専用のEVAプラットフォーム。90.6kWhの駆動用バッテリーがフロア部分に敷かれる、いわゆるスケートボード構造で、駆動用モーターはサルーンのEQEと同じものが載る。
シングルモーターの後輪駆動と、ツインモーターの四輪駆動が用意される。ライバルは、アウディQ8 eトロンやBMW iX、ジャガーiペイスなどになる。
見た目は、最新のメルセデス・ベンツの流れに沿っている。フロントマスクはグロスブラックのパネルで覆われ、中央にスリーポインテッドスターが輝く。オプションで、そのロゴマークの細かなグラフィックを散りばめることも可能だ。
ボディ全体はEQS SUVと同様に柔らかなカーブを描き、グラスエリアも平滑化されている。サイドウインドウは5枚構成となる。
わずかに形状が異なるヘッドライトや凹凸の少ないクラムシェル・ボンネット、後方に向けて傾斜するルーフラインなどが、EQE SUVの個性を生んでいる。テールゲートも、だいぶ寝かされている。
全長は4863mm、全幅が1940mm、全高が1686mmというサイズで、EQS SUVと比べると262mm短く、19mm狭く、32mm低い。ホイールベースは180mm短く設定された。
シングルの292psからツインの686psまで
インテリアのデザインは、サルーンのEQEに近い。従来的なダッシュボードに、運転席正面のメーター用モニターと、中央側のインフォテインメント用、2枚のモニターがレイアウトされるのが標準仕様だ。
高額なオプションとして、ダッシュボードのほぼ全面にパネルが展開され、3枚のモニターが実装されるハイパースクリーンも選べる。同乗したクルマにも備わっていた。
高級感が漂う車内空間は広々としており、素材も上質。荷室容量は520Lあるが、前部のボンネット内に収納空間はない。
当初設定されるグレードは、292psと57.4kg-mを発揮するシングルモーターのEQE 350+ SUVがエントリー。ツインモーター版は、292psと77.8kg-mのEQE 350 SUV 4マティックと、407psと87.2kg-mのEQE 500 SUV 4マティックになる。
メルセデスAMG仕様は、どちらもツインモーター。EQE 43 SUV 4マティックが475psと58.9kg-m、EQE 53 SUV 4マティック+が、オプションのAMGダイナミックプラス・パッケージを組むと686psと101.7kg-mに設定され、モデル最強となる。
筆者が同乗させてもらったのは、EQE 500 SUVとEQE 53 SUVの2台。どちらもエアサスペンションと後輪操舵システムが標準装備だが、異なる乗り味だった点が興味深い。
突出した敏捷性 優秀な乗り心地
EQE 53 SUVは、AMGらしく加速が鋭い。EQE 500 SUVが積む駆動用モーターとは内部の巻線構造などが異なり、高回転・高出力を実現させたという。
ドライブモードは、コンフォートとスポーツ、スポーツプラス、インディビジュアルという4種類。コンフォートで80%、スポーツで90%に最高出力が制限される。スポーツプラス時なら、EQE 53 SUVは0-100km/h加速を3.5秒でこなすらしい。
即時的に発生する巨大なトルクで、数字以上に速く感じられた。四輪駆動システムが生むトラクションも凄まじい。
自動的に車高が調整されるエアサスと、アダプティブダンパーによって、乗り心地も非常に優秀。加減速時のボディの傾きは抑え込まれ、路面との隔離性も見事だった。
強く感心したのが、突出した敏捷性。電子制御のアンチロール・システムを実装し、低重心化と相まって、極めてフラットに高速でコーナを処理できる。後輪操舵システムが、意欲的な旋回性を生んでいるようだ。
これほどのコーナリングスピードを実現していながら、サイドサポートの低いフロントシートが並ぶ点には少し疑問も抱いた。もっと身体を支持できるシートが載っていても良いだろう。
航続距離は350+で486kmから595km
他方、EQE 500 SUVは、落ち着いた乗り心地に強力な動力性能が融合し頼もしい。風切り音やロードノイズも最小限といえ、至福の静寂に包まれながら快適に移動できそうだ。
WLTP値での航続距離は、シングルモーターのEQE 350+ SUVで486-595kmが想定され、競争力は高い。ツインモーターでは短くなり、同乗したEQE 53 SUVで374-469km、EQE 500 SUVで465-552kmになるようだ。
生産拠点は、アメリカ・アラバマ州のタスカルーサ工場。これは、GLEやEQS SUVが組み立てられている場所となる。
ちなみに、中国・北京の北京汽車工業株式会社と協働による合弁工場でも、新型BEVの計画が進められている。だが、これは他の市場に輸出される予定はない。
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