2024年F1第21戦サンパウロGPの土曜日はスプリント終了後から大雨が降り、予選は決勝日に延期となった。ただ、決勝日も降水確率は60%と土曜日以上に高く、引き続き悪天候に翻弄される恐れはある。
まだ雨が降る前に行われたフリー走行、スプリント予選、そして24周のスプリントの各セッションは、決勝日を展望する上で非常に興味深いものだった。
まず見えたのが、マクラーレンとフェラーリの力関係の逆転だった。アメリカGP、メキシコシティGPでの直近2戦のマクラーレンはフェラーリの後塵を拝し、2連勝を許した。それがサンパウロGPでは、初日フリー走行でランド・ノリス(マクラーレン)がトップタイム。スプリント予選はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が最速、ノリスも僅差で2番手につけ、スプリントも順位こそ入れ替わったが、マクラーレンの2台がワンツー・フィニッシュを果たした。
フェラーリ勢は、シャルル・ルクレールがスプリント予選で3番手に続いたもののピアストリからは0.2秒落ち。1周70秒のコースでこの差は大きい。前戦メキシコシティGPでポール・トゥ・ウィンを果たしたカルロス・サインツ(フェラーリ)は5番手が精一杯。そしてスプリントでも、ふたりは3、5番手とグリッド順のままチェッカーを迎えた(マックス・フェルスタッペン/レッドブルの5秒ペナルティにより、正式結果においてルクレールがスプリント3位に繰り上がった)。
とはいえフェラーリは依然としてレースペースが速い。結局は抜けなかったものの、ルクレールは何度もノリスのコンマ数秒差まで迫っていた。サインツもマシンバランスに苦しみつつ、最後はルクレール、フェルスタッペンの1秒以内まで接近してフィニッシュすることができた。
一方で完全に予想外だったのがレッドブル2台の速さだった。ミスをうまく突いたこともあったが、フェルスタッペンはルクレールをかわして3番手に浮上。ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)のリタイアによるVSC(バーチャル・セーフティカー)が出なければ、ペナルティによる4位後退もなく、さらにはコース上でマクラーレンの1台を食えていたかもしれない。それほどの勢いがあった。
そして13番手スタートのセルジオ・ペレス(レッドブル)も、これまでの大スランプが嘘のように、安定したドライビングで先行車を次々にオーバーテイクしていた。こちらもVSCがなければ、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)をかわして7位フィニッシュを果たした可能性は高い。
今年のインテルラゴスは全面再舗装されたにもかかわらず、「路面のバンピーさは、今まで以上にひどい」と、ルイス・ハミルトン(メルセデス)をはじめ多くのドライバーが訴えていた。そしてレッドブルの2024年型マシン『RB20』は、高い縁石や路面の凹凸をもっとも苦手としていたはずだ。実際、初日のフェルスタッペンは「マシンが跳ねまくって、ポールポジション獲得なんて無理だった」と語っている。
それがスプリントでは、フェルスタッペンだけでなくペレスでさえ、マクラーレン、フェラーリと遜色のないロングランペースで周回していた。これまでレースペースに苦労していたレッドブルが、アップデートも投入しなかったサンパウロGPでなぜ突然復活できたのか。
その理由は現時点では不明だが、ペレスが「明日は表彰台に上がれる」と豪語するほどに、レッドブルの調子が戻っていることは間違いない。
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