新車購入者だけの特権がクルマのオプション選び。いわゆる「ツルシ」の状態から、追加費用を支払うと付けられるパーツを「オプション」と呼ぶが、購入後には付けられないものもあるからかなり迷うところ。そこで今回は、「付けておいたほうがいいオプション」「別に付けなくてもいいかも……」なオプションを紹介しよう。
文/今坂純也(DIRT SKIP)、写真/トヨタ、ホンダ、写真AC
フロアマットは純正が良し!! 後悔しないためのオプション選びのコツ
「オプション」には2つのタイプがある
クルマのオプションにはクルマメーカーの製造ラインで取り付ける「メーカーオプション」と、販売店で取り付ける「ディーラーオプション」がある。
「メーカーオプション」となっているものは、取り付け時に内装や加工が必要なものもあるので後付けができない。取り付けたいなら、クルマ購入時に選ぶしかないのだ。
メーカーオプション選びは慎重に
装着されているステアリングスイッチのすべてがオプションを付けていないと使えないというのも悲しい……。純正カーナビは高いけれど、車内に合わせたデザインや利便性などを考えると着けておきたい装備ともいえる。画像はプリウスZ(PHEV・2WD)
メーカーオプションの代表的なものは、先進安全装備、サンルーフ、本革シート、純正ナビゲーション、バックモニター、スマートキーなど。このうち、サンルーフに関しては「どうしても欲しい!」と思って装着してはみたものの、使ったのは最初の数回のみで、その後はほとんど使わなかった……という人が意外と多い。
だが、クルマ下取り時には有利だったりとかなり迷うところなので、サンルーフありなしでどのくらい中古車価格が変わるのかを調べてから検討する……のもありだろう。
また、以前ライトウエイトスポーツカーにサンルーフを付けた知り合いが、購入したクルマでサーキット走行をしたら「ボディが歪んだ(ルーフに大きな穴を開けて装着するので、ボディ剛性が下がる場合もある)」とか、「雨漏りするようになった」「モーター故障で修理したら高額だった」などの声も聞く。
余談だが……以前、筆者が都内で信号待ちしていたら、交差点角にあった真紅の超高級スポーツカーのルーフにカラスがいて、何やらクチバシでつついている。よく見ると、サンルーフについているゴムモールを一生懸命……デートカーでは大活躍してくれそうな装備なのに、オーナーが不憫でならなかった。
ナビやバックモニターなどがアフターマーケットパーツでも装着可能なのに対し、先進安全装備はアフターマーケットパーツではほぼ購入不可。クルマ売却時に高値で買い取りされることも多く、自分や同乗者の身を守ってくれるものなので付けることをお薦めする。
なお、ステアリングスイッチで連動する純正ナビゲーションだが、アフターマーケットのナビでも連動可能なことが多いので、この点を重視するなら事前に連動可能かどうかチェックしてから決めてもいい。
リモコンを身に着けておく、バッグに入れておくだけでロックとアンロックが行えるスマートキー。
キーレスとの違いは、リモコンのボタンを押さなくてもロックとアンロックができることだが、クルマの横で作業するとき、そのたびにガチャガチャと自動で動作するものもあるのでキーレスでOKという人も意外と多い。
ちなみに、スマートキーもキーレスも、後付けは可能である。
ディーラーオプションは即決せずともOK
いっぽう、「ディーラーオプション」は、メーカーから販売店へクルマが届いてから取り付けるものなので、クルマ購入後に「やっぱり付けたい!」と思っても後付けが簡単にできる。ただし、新車購入時よりも価格が高くなる場合があるので注意。
さらに、ディーラーオプションは販売店の値引き交渉材料にされがちで、例えば「〇〇円の値引きはできませんが、代わりにオプションの△△をお付けできます」など。例としてフロアマットが引き合いに出されがちである。
フロアマットはディーラーオプションのものがいい!!
フロアマットのフィット感は安全運転をするうえでも重要。ただ、サービスしてもらえないような場合の価格を見ると5万円超など、かなりの高額設定……。そうなると優先順位は低くなる
ディーラーオプションの代表的なものは、前述のフロアマット、ドアバイザー、ラゲッジトレー、ドライブレコーダーなど。
このうち、お薦めは高価すぎないフロアマットとドアバイザー、ラゲッジトレーあたり。どれもアフターマーケットパーツとして買えるものだが、マイナー車種だとラインナップにない場合もあるし、メーカー純正はとにかくフィッティングが完璧。
特にドアバイザーは、雨の日でも窓を少し開けて換気できるし、クルマ酔いしやすい同乗者がいるときに重宝する。そして「さすがメーカー純正」と思える風切り音の少なさ(車種によるのかもしれないが)も魅力だ。以前、アフターマーケットパーツで取り付けたらフィッティングがイマイチ&風切り音が気になって結局メーカー純正を購入した“愛煙家の”筆者である。
また、メーカー純正のドライブレコーダーも、取り付けが美しく「後付け感」が薄いのもいい(これも車種によるのかもしれないが)。
いずれにせよメーカーオプション、ディーラーオプションともに、まずは「自分が購入しようとしているクルマにどんな設定があるのか?」をメーカーカタログなどで吟味し、自分のクルマの使用環境を想像して選ぶことが重要。
中古車ショップの「フル装備」=オプションがすべて付いている!?
パワーウィンドウのようないまや付いていて当然な装備も、ひと昔前はオプション設定がスタンダードという車種も多かった。年式の古い中古車を購入する人は、細かいオプション内容をしっかり確認すべし!
いまはかなり減ったが、年式がちょっと古めの中古車などで「フル装備」と表示されていることがある。思わず、「オプション全部のせ!?」と思ってしまうかもしれないが、実はそうではない。
現代ではカーエアコンやパワーウィンドウなどは「ツルシ」の状態で普通に付いている装備だが、かつてはカーエアコンやパワーウィンドウなどもメーカーオプション扱いだった。
特にスポーツカーや軽トラックなどは使用用途がはっきりしているため、「カーエアコンやパワーウィンドウなどの快適装備はいらない!」と考えるユーザーも多かったのだ。
この当時「フル装備」というと、主に「エアコン」「パワステ」「パワーウィンドウ」の3点セットを指すことが多かった(これに「カーステレオ」も追加して4点の場合も)。
しかし、この「フル装備」というワードはかなりあいまいで、「すべてのオプションが付いている状態」を指すこともあり、注意が必要。
フル装備の中古車は、そうでないクルマに比べて高値が付いている場合が多いので、古めの中古車の購入を検討している人は、「フル装備」が何を指すのか購入前にショップに確認しておくことをお薦めする。
といろいろ書いたが、新車カタログ片手に「グレードはコレだな」「このオプションは欲しいな~」など、悩んでいるときが一番幸せな新車購入時。買ってから「もっと吟味しておくんだった」と思わないために、まずはどんなオプションがあるのかを正確に把握してほしい!
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みんなのコメント
フロアマットは、社外品は半額以下で、純正品より品質が高いものも選べる。
サクッと社外品を買うわw