スカイライン400RもスカイラインNISMOもベースはすでに10年以上前となる現行型スカイライン。そんな古いモデルよりも海外専売車に目を移せば、日産セダンにもまだよさげなクルマがあるじゃないの!
文/永田恵一、写真/日産、ベストカー編集部
400RやスカイラインNISMOより断然いい!? 日本未発売のツウな「日産セダン」が海外にこんなにあるのになぜ売らない?
■セダンカテゴリーは風前の灯という状況だが……
スカイライン400Rがまだ国産の日産セダンラインナップには残っているのだが……
日本市場はセダンというカテゴリーが絶滅危惧種となって久しい。それは日本向けの日産車も同様で、現在日本で販売される日産のセダンはスカイライン400RやNISMOといったスポーツモデルが頑張っているものの、如何せん登場からもうすぐ10年となるスカイラインのみという寂しい状況だ。
しかし、日産車を世界的な目で見るとまだセダンもそれなりに残っており、ここでは日本で販売されない日産のセダンを紹介し、日本で販売してほしい日産セダンの姿も考えてみた。
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■意外に先進的なヴァーサ(北米、南米)&アルメーラ(東南アジア)
日産ヴァ―サ。かつてのラティオをFMCして登場したコンパクトセダン
ヴァーサ&アルメーラは北米や南米、東南アジアではまだ需要のあるコンパクトセダンである。2019年に登場した現行モデルは日本でも2012年から2016年まで販売された先代ノートのセダンとなるラティオをフルモデルチェンジしたものとなる。
クルマの成り立ちとしてはVプラットフォームを使う点などラティオを発展させたものだが、エクステリアはいわゆる最近の日産デザインとなっており、インテリアを見てもスマホと接続できるディスプレイオーディオを装備するなど、それなりの新鮮味を持つ。
ヴァ―サのインテリア。ここ最近の日産車のデザイントレンドを踏襲している
また、北米仕様は自動ブレーキ、アダプティブクルーズコントロール、ミラーに映らない斜め後方の死角を監視するBSW(ブラインドスポットワーニング)を装備するなど、安全&運転支援装備もこのクラスとしてはまずまずのレベルだ。
パワートレーンは北米&南米仕様こそ1.6L直4NAにCVTと5速MTとオーソドックスだが、タイ国向けなどの東南アジア仕様には1L3気筒ターボという1.5LNA相当のダウンサイジングターボが搭載され、意外な先進性も備える。
■中国で大人気のセントラ(北米、南米)&シルフィ(中国)
中国市場では大人気となっているシルフィ。ベストセラーモデルになっている
日本車で言えばカローラやシビック級となるミドルセダンで、現行モデルは2019年に登場した。他社も同様だが、日産にとってもこのクラスのモデルは重要な存在で、シルフィは特に中国では2022年に約42万5000台を販売。中国で最も売れた乗用車の座に輝き、世界的に見ればここ数年連続で最も売れた日産車となっている。
セントラ&シルフィも日本では2020年に絶版となった3代目シルフィをフルモデルチェンジして継続したもので、内外装のデザインはかつてのブルーバードの末裔らしくスポーティだ。
クルマの成り立ちは日産では新しい部類となる現行エクストレイルや三菱アウトランダーも使うCMF-C/Dを採用し、パワートレーンは北米&南米向けが2L直4NA+CVT、中国向けが1.6L直4NA+CVTと、1.2L3気筒NA+2モーターシリーズハイブリッドとなるe-POWERを搭載する。
なお、中国では1.6L直4NA+CVTを搭載する先代シルフィも廉価版として、「シルフィクラシック」の車名で継続販売されている。
■北米ではロングセラーのアルティマ
アルティマ。日本市場へは先代型のティアナまで導入されていたが、現行モデルから日本での販売はされていないのは残念……
アルティマも北米や中国では重要な量販車で、カムリやアコードと同車格となるFFのラージセダンである。アルティマ、そしてその前のティアナも日本ではかつてのローレルとセフィーロを統合したモデルとして2003年に登場し、三世代続いたが、2017年に絶版となったティアナをフルモデルチェンジしたもので、現行モデルは2018年の登場だ。
内外装は登場時期が近いのもあり、全体的に現行セントラ&シルフィの兄貴分的な雰囲気を持ち、日産セダンとしてのアイデンティティを感じる。
プラットフォームはこのクラスの日産車では長年使われているDプラットフォームを採用。パワートレーンは北米向け、中国向け各々に上級グレードとなる2L直4VC(可変圧縮)ターボ、中心となるグレードには北米向けが4WDも設定する2.5L直4NA、中国向けは2L直4NAを搭載し、トランスミッションはCVTのみの組み合わせだ。
■V6、3.5LDOHCを搭載するマキシマ(北米)
すでに日本市場では2代目モデルかぎりでマキシマの名は消えたが、北米ではスポーティな上級FFセダンとして健在だ
マキシマというのは日本人にとっては懐かしい車名だ。日本では1983年にFFとなった7代目ブルーバードにV6エンジンを搭載した上級モデルとなるブルーバードマキシマ、1988年登場の2代目モデルは現在とほぼ同じポジションとなるFFラージセダンのマキシマが販売され、絶版に。後継車は1994年のフルモデルチェンジでFR車からFF車となった2代目セフィーロだった。
伸びやかなボディラインがエレガントな現行型マキシマ
マキシマの車名は現在も北米では途切れることなく継続されており、2015年に登場した現行型となる8代目モデルは登場時期もあり、前述のアルティマの先代モデルを「スポーティかつ上級に仕立てた」というモデルだ。
こうしたポジションに設定されたこともあり、パワートレーンにはパワフルな3.5LV6+CVTを搭載し、トップグレードの「SR」はスポーツチューンドサスペンション+19インチタイヤという足回りを装着する。
■こんな日産セダンだったら日本でも売れる!?
筆者の言う現行型エクストレイルが積む1.5LVCターボをパワー志向に変更し、このセントラをスポーツセダン化するのも面白そうだ
ここまで4台の海外専売の日産セダンを紹介したが、それぞれそのまま日本に導入しても、日本は特にセダン離れが深刻なだけに成功は期待できないだろう。
というなかで日本導入を期待したいのはセントラ&シルフィにスパイスを加えたモデルだ。具体的にはスポーツセダンとして、エンジンを現行エクストレイルに搭載される1.5L3気筒VCターボをパワー志向とした純エンジン車。
もしくは、中国向けのシルフィにはe-POWERが設定されているだけに、現行エクストレイルのe-POWERをよりスポーティなものにするというのはどうだろう。
その暁には中国からの輸入という形で左ハンドルのままでもいいので、「ブルーバードSSSの復活!」としてシルフィNISMOの車名を使うなどして導入されれば、日産ファンを中心にそれなりに売れそうに感じるのだが、これは筆者の強引な夢物語だろうか。
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ムラーノとかジュークの方がまだ売れるかもしれない