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F1参戦の余波でアウディのカスタマー部門が“戦略的事業”に幕。GT3などのマシン販売終了、サポートは継続へ

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F1参戦の余波でアウディのカスタマー部門が“戦略的事業”に幕。GT3などのマシン販売終了、サポートは継続へ

 アウディスポーツ・カスタマーレーシングが、GT3レースにおけるファクトリーサポートを2023シーズンをもって終了することが明らかになった。また、現在14名が所属するワークスドライバーのロスターも廃止される。これらは、アウディの大規模な再編によるものだ。

 7月11日にカスタマーチームへと送られた文書によれば、2009年に始まったアウディスポーツ・カスタマーレーシングは“戦略的事業”を終了すると同時に、GT2、GT3、GT4、TCRモデルの新規販売も、「2024年の第1四半期」をもって終了する予定だという。

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 現在はまだ注文可能なこれらのマシンのホモロゲーションは、少なくとも1サイクル延長され、現場でのカスタマーサポート・サービスは当面継続される予定だ。

■要因はF1参戦とR8の生産終了

 アウディスポーツのカスタマー・レーシング部門責任者であるクリス・ラインケはSportscar365の取材に対し、取締役会の決定が7月10日に下され、アウディスポーツのマネージング・ディレクターであるロルフ・ミヒェルが、パートナーやカスタマーにこの決定を伝えることを決断した、と説明した。

「急遽、本日、まず従業員やドライバー、チームのボス、海外のサテライト(オフィス)などに話をし、我々の計画を共有することができた」とラインケは語った。

「それに加えて、何が起こっているのかを説明するために、顧客に(文書を)送った」

「しかし、私の観点から最も重要なのは、アウディスポーツ・カスタマーレーシングの将来についての確認だ」

「カスタマーの手に渡ったマシンはすべて、我々がエンジニアリングサポートを提供し、我々が再ホモロゲートする。不具合が発生した場合は、それを修復するエンジニアリングチームがある」

「我々はカスタマーの手元にあるすべてのクルマに対して、将来にわたって100%のサポートを提供し続ける。アウディスポーツのカスタマーレーシングが終わるわけではないのだ」

 ラインケはGTワールドチャレンジとDTMドイツ・ツーリングカー選手権における戦略的プログラムは2023年末まで継続し、2024年からはカスタマーレースに完全に集中すると述べた。

 影響を受けるアウディスポーツの14名のファクトリードライバーには、クリストファー・ミース、フレデリック・バービシュ、クリストファー・ハーゼ、マーカス・ウィンケルホック、マティア・ドルーディ、リカルド・フェラー、パトリック・ニーダーハウザーらが含まれる。

 一方でレネ・ラスト、ケルビン・ファン・デル・リンデ、ドリース・ファントール、ロビン・フラインスなど、他の多くのドライバーは、今季開始以前にアウディを去っていた。

「現在のラインナップのベースとなっている、プロとしての環境で彼らを走らせる可能性はないと、今日(彼らに)伝えた」とラインケは語った。

「これからひとりひとりと対話し、どのようにサポートし、どのように最善の方法で我々のもとから旅立たせることができるか、また、彼らひとりひとりに対してどのように敬意をもって解決策を見出すことができるか、確認することになる」

 ラインケは、今回の再編の背景にはふたつの理由があると語った。それは、R8ロードカーの生産終了と、アウディが新たに発表した2026年からのF1参戦である。

■欧州以外のカスタマーに与える影響は少ない?

 アウディスポーツの戦略的事業のほとんどが欧州に集中しているため、先に明らかになったIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジからの撤退と同様に、今回の変更が他の地域の顧客に大きな影響を与えることはないとラインケは述べた。

 たとえば、アウディR8 LMS GT3エボ2は、理論的には2032年までレースに参戦することが可能であるとの見解を、ラインケは示している。また、アウディのカスタマーサポート・ネットワークにも変更はないという。

「アウディスポーツのカスタマーレーシングは継続される」とラインケ。

「同じ人々、同じスタッフがいる。カスタマー管理、サーキット・エンジニア、スペアパーツ・トラック、パーツ・ロジスティクスは、これまでと同じようにノイブルクで行われる」

 ラインケによれば、合計600台の車両が世界中の約200の事業者に販売されており、それらはほとんど影響はないという。

「オーストラリア、中国、アメリカを見てみると、彼らにはサポートが保証されており、我々はそれを疑問視したことはない。だが、もし彼らが確認を望むなら、今はそれを持っているところだ」とラインケは言う

「彼らのうちの圧倒的多数が独立した取り組みを行っており、将来にわたって独立したプログラムを継続するためのあらゆる可能性を持っている」

■「興味深いプロジェクトが決定を控えている」

 ラインケはまた、アウディがスポーツカーレース界における将来のプロジェクトを否定しているわけではないと付け加えた。

「私の見解では、現在、非常に興味深いプロジェクトがいくつも決定を控えている。それらがすぐに決定することが、私の絶対的な望みだ。しかし、決まっていない以上、いま伝えることはできない」

「アウディスポーツ・カスタマーレーシングのチームを維持するためにも、我々のオペレーションにあるポテンシャルや能力、才能を将来のプロジェクトに活かせることを心から望んでいる」

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