F1ジャーナリストの今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。週末を通して、20人のドライバーから「ベスト・イレブン」を選出。予選やレースの結果だけにとらわれず、3日間のパドックでの振る舞い、そしてコース上での走りを重視して評価する。今回は2019年F1第17戦日本GP編だ。
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☆ ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)
予選15番手/決勝10位
ルノーで走るのもあと5戦、きっちり仕事をこなした。鈴鹿入り前の9日、ルノー・メガーヌRSトロフィーの記者発表に参加。ちなみにルノー・スポール車は母国とドイツに次ぎ、日本で3番目に売れているそうだ。そして本番の仕事へ。スタートでいっきに10番手まで上がり、44周目にリカルドを前に出す“チームプレー”。ダブル入賞によってトロロッソ・ホンダから18点リード、ルノー6位固めに貢献。
【ブログ】ホンダ勢は悲喜交々。プレス対応で貫禄を見せたアルボンが4位に/F1日本GP現地情報(2)
☆☆ 山本尚貴(トロロッソ・ホンダ)フリー走行1回目17番手
木曜夜に私的な雑談を。インタビューではないので緊張感は見られずリラックスしていた。FP1で最多30周、セクターベストタイムは32秒564/41秒435/18秒019。ダニール・クビアト対比で-0.028秒/-0.004秒/+0.130秒、セクター3以外は優った。アンダーステア傾向でシケインが苦しそうに見えたが破綻なく、“4セット・ラン”をこなした(チームとホンダへのフィードバックも適切、“FP1デビュー”に☆ふたつ)。
☆☆ セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
予選17番手/決勝9位
1周早く表示された誤りの“電子チェッカー信号”によって52周でレース成立。ガスリーと接触事故の前の9位通過が正式結果に。スタートで“6台抜き”を決め1周目に大きくポジションアップを決めると得意のタイヤマネージメントに徹した。はい上がるレースの達人を支えるのは松崎淳エンジニア(元BSタイヤ・チーフ)。
■レッドブル時代から一転、強気な攻めを見せるピエール・ガスリー
☆☆☆ ダニエル・リカルド(ルノー)
予選16番手/決勝6位
リヤナーバスな挙動で予選は不発し16番手。そこから決勝のオーバーテイクショーが開演。昨年レッドブルで予選15番手→決勝4位、今年も予選16番手→決勝6位へ。フェイントをかけ逆をついて抜くプレーを随所で展開。「世界一のオーバーテイカー(抜き男)をめざすんだ」と笑うリカルド。
☆☆☆ ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)
予選9番手/決勝8位
強気がみなぎるレースだった。今年前半レッドブルではこういう攻撃性が薄れていたが今の彼は違う。具体的には接近戦ですばやくラインをチェンジしつつ揺さぶり、抜けなくても執拗にそれを繰り返す。絶えず攻撃を仕掛けた8位入賞、“完全復調”をアピール。
☆☆☆ ルイス・ハミルトン(メルセデス)
予選4番手/決勝3位
全セッションでトップタイムだった昨年にくらべて切れ味がもうひとつ。FP1からボッタスの後塵を拝したまま、ちょっとマイルドなハミルトン(S字エリアやデグナーなど)。V6戴冠へいよいよカウントダウンの鈴鹿、勝利を渇望する意欲がともなわなかったのか。台風で混乱するさなかの金曜、「ヘリで飛んでトーキョー・ナイトを楽しみたい……」と発言していた。3位で終えるレース中に最速ラップにこだわり今季5回目、14年ぶりに鈴鹿コースレコード1分30秒983を樹立。PPと勝利は譲ってもこれだけは取りにいった。
☆☆☆ セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
予選PP/決勝2位
さすがベッテルと思わせるPPスーパーラップ、セクター1から2まで修正ステアが少ない全力疾走。リヤのダウンフォースを弱め、フロントとの“バランス”を合わせこんだセットアップは正解。しかし惜しまれたあのスタート。ふつうに発進していればクリーンエアで独走、全く違うレース展開になっていた。
■初陣ランド・ノリスは、速さを見せながらも不運
☆☆☆☆ ランド・ノリス(マクラーレン)
予選8番手/決勝13位
FP1開始早々、レーシング・ラップ4周目に1分32秒前半の起動力を。昨年このセッションに起用され、鈴鹿は少し経験しているが初陣だ。チームも(カルロス・サインツJr.も)驚いたに違いない。
S字に入る3~4コーナーで小刻みにステアリングをコントロール、探りながらの慣熟走行ではなかった。予選でサインツに肉薄する8番手、セクター1で上回っていた。決勝でも会心のスタートを切り6番手につけてアルボンとシケインでバトル。接触があったが相手を責めず、「レーシング・アクシデント」と割り切る態度が潔い。
不運にもシャルル・ルクレールのマシンからの“デブリ”がブレーキダクトに絡まり、4周目に緊急ピットイン、最下位まで後退。自己ベストラップはサインツと0.5秒差で不運がなければ、マクラーレン勢“5-6ゴール”もありえただろう。初陣ながら隠れた健闘ノリス、19歳実力派ルーキの片鱗を見た。
☆☆☆☆ カルロス・サインツJr.(マクラーレン)
予選7番手/決勝5位
トップ3チームに自力で立ち向かったサインツ。スタートでハミルトンを追い込み、タッチしながらきわどく守った。上位陣でただ一人のワン・ストッパー、26周目までソフトで引っ張るペース配分をつらぬいた。終盤ルクレールに迫られたが同等ペースをキープ、相手は46周目にソフトに交換せざるを得なかった。同ラップの5位によって自己最多76点、ランク6位まで来ている。
☆☆☆☆ バルテリ・ボッタス(メルセデス)
予選3番手/決勝1位
鈴鹿に合わせ開発されてきたエアロアップデートがボッタスにマッチしたのだろう。FP1からハミルトンに先行、途中でフロントサスペンションのセッティングも変えトップタイム。FP2では西コースに焦点をあてさらにタイムアップ、いい流れをつくれていた。
だが予選では突出したフェラーリ勢のセクター1パワーにかなわず3番手、ハミルトンより好位置の奇数側につける。これがスタートでベッテルをかわすダッシュにつながり、独走パターンにもちこめた。表彰台で勝利の美酒をごくごく飲むボッタス、自分で自分を誉めているようだった。
☆☆☆☆☆ アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
予選6番手/決勝4位
ノリスを除いて新人の彼は初めての鈴鹿にいきなり攻めかかっていった。3~4コーナーにかけてフェルスタッペンとまったく同じ通過スピード、最速で並んだ(以下ハミルトン、ロマン・グロージャン、ルクレール)。逆バンクでは“先輩”にやや劣ったが0.329秒差の6番手。これで自信をつかんだ。
日曜予選ではフェルスタッペンにタイム差ゼロの6番手、デグナー~ヘアピン~スプーンを攻めきりここで優った。下り坂スタートでホイールスピンして出遅れるが、攻めと守りを使い分けるレースメーキングで4位へ。レッドブル5戦目に速さでひけをとらず、エースが消えたあとの頼もしいレースにホンダ応援席から大歓声がアルボンに向けられた。
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