小型で軽いスポーツカーの発祥は英国にあり
ライトウェイトスポーツカーと呼ばれるジャンルのルーツを遡ると、辿り着くのは1960年代のイギリス車。ロータス、オースチン、MG、トライアンフなどの各社が、他車種流用品でコストダウンしながらお手軽で楽しくカッコいいクルマを生み出していたのでした。今回紹介する車両は、1972年式のトライアンフ「GT6 Mk3」。イギリスでのレストア、修理、チューニングの過程が証明され、英国自動車遺産登録車として正式認定された貴重な車両をご覧ください。
昭和懐かしのGTカー&スポーツカーが九州に大集合!「大人になってもこどもの日」が合言葉の「瀬の本グランプリ 2024」とは
現オーナーは、この道30年のメカニックのプロ
2024年5月5日、子どもの日に熊本県阿蘇郡にある瀬の本高原で開催された「瀬の本グランプリ 2024」に参加していたクラシックカーの中で、欧州車は少数。そのため会場内でとても目立っていた車両のうちの1台が、この1972年式トライアンフ「GT6 Mk3」だった。しかも、車内には「英国自動車遺産登録車」として紹介されている記事のコピーやその証明書を掲示。これはタダモノではなさそうだと、オーナーの満冨泰祐さんに話を伺った。
満冨さんは、旧車好きには昔から知られている個人売買サイト、「SEIyaa(セイヤー)」の鹿児島地区を担当。しかも満冨自動車として、整備やレストアをする工場を1人で経営している。この個体は、上記のようにイギリスでのレストア、修理、チューニング状況が正式に証明されており、日本へと到着。あるオーナーから修理依頼を受けたものが、結果的に満冨さん自身で買い取って所有している。
「当初はイギリス陸軍の大佐が所有していて、その次のオーナーがフルレストアを実施。その次のオーナーが今のレーシング仕様へと改造した後、日本へと渡ってきました。GT6は6気筒エンジンで排気量2000ccでしたが、これは2560ccに変更。
ブレーキやサスペンションなどは、当時の年代にはなかったパーツが装着されていました。できるだけオリジナルは残しつつも、サーキットを走るために改造したと思われます。自動車博物館の展示車両だったということを、先方に正式に書類を提出して証明書が発行された、由緒正しい車両なのです」
イベント当日は、鹿児島県より積載車で現地入り。本当ならばその走りを楽しみたいのだが、燃費は約4km/L。燃料タンクの容量は35Lのため、満タンでも100kmちょっとしか走ることができない。長距離移動には向かないが希少車ということもあり、瀬の本グランプリ 2024に集まる皆さんにお披露目したかったのだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
お手上げ状態となった個体にも対応
ご自身で自動車整備修理業を営む満冨さん。その経歴は、某有名老舗輸入車販売店でメカニックとして経験を積んだあと、3年前に独立。さまざまなメーカーの輸入車に携わり経験値を得たことで、現在は国産、輸入車問わず、全国から修理の問い合わせがやってくるそうだ。どうやったら修理可能か? そもそも本当に修理ができるのか? 車両オーナーだけではなく、お手上げ状態となってしまったプロショップからの相談にも応じているという。このトライアンフ GT6 Mk3もそのような流れで、満冨さんの元に流れ着いた。
「いろいろな車両が好きなのですが、自分で作ることが大好きです。以前は日産 サファリをベースにしたハマー H1のレプリカを作ったこともありました。H1のビジュアルとサイズ感のままで、日本の道路事情に合わせて、車体の幅だけを左右をそれぞれ3.5cmずつ詰めたのです。
もちろん正式に登録された車両で、それでH1オーナーさんたちの集まりにお邪魔したこともあります。10年近くかけた力作だったのですが、本物と並べても遜色ないと褒めていただけて、とても嬉しかったです」
憧れの車両は、フォード「フェアレーン スカイライナー」とACカーズ「コブラ」。コブラは、3速発進でホイールスピンさせたいという野望もある。H1レプリカの逸話も含めて、生粋のクルマ好きが修理、整備を手がけて完調となったGT6 Mk3は、こんなオーナーの元で復活することができて喜んでいるに違いない。
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みんなのコメント
こういった 太鼓判的言葉を使うなら 国際レースのヒストリーがあるとか、透明な円錐 ジャストが所有していた等で初めて冠される言葉のはずです。最近は雑誌の記者とか言葉の安売り多いな。