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エンジン面で「試行錯誤してきた」。ポール獲得に表彰台2台、手応えと悔しさが交錯するニッサンZ陣営【第7戦GT500あと読み】

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エンジン面で「試行錯誤してきた」。ポール獲得に表彰台2台、手応えと悔しさが交錯するニッサンZ陣営【第7戦GT500あと読み】

 結果的に異例のワンデー開催となったスーパーGT第7戦『AUTOPOLIS GT 3Hours RACE』は、濃霧の立ち込める日曜早朝30分間の計時予選から、ニッサン陣営の24年型Nissan Z NISMO GT500が先手を獲る展開となった。

 先代のR35型GT-Rの時代から、ここ九州オートポリスとの相性の良さも感じさせてきたニッサン/NMC陣営だが、この時期にしては低温条件となる13度という路面温度のなか、ヨコハマタイヤを履く24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが同地2年ぶりのポールポジションを獲得。その隣には23号車MOTUL AUTECH Zが並ぶなど、まずはフロントロウを占拠する展開に持ち込んだ。

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「予選に関しては『コンディションに合わせたタイヤで走ろうね』と言っていて、それに合わせては走れました。24号車にはコンマ1秒ぐらい負けてしまいましたけど(実際は0.081秒差)それでもBS(ブリヂストン)勢の中ではトップだったので『悪くなかったね』というところでした」と長丁場の3時間決勝後に振り返ったのは、23号車MOTUL AUTECH Zの中島健監督だ。

 その言葉どおり、仕上がりの良さを感じさせた23号車MOTULはスタート担当の千代勝正がファーストスティントから力走を見せ、12周目のヘアピンで"先輩"松田次生を攻略すると、そのわずか3周後には9.948秒差まで一気にギャップを拡大してみせる。

 しかし、ここからの度重なるセーフティカー(SC)発動で何度もそのマージンを帳消しにされる事態に陥ると、最終ピットストップのウインドウと重なって導入された3回目のSCが決定打となり、60周時点で14.531秒となっていたリードばかりか、先行する義務ピット消化組に対し実質的な勝負権を失うこととなった。

「ですので(2位入賞の見た目どおり)何秒どころの差じゃないですよ。まず1回目のセーフティカーで30秒以上を失って、次のセーフティカーで15~20秒は失ったでしょう? そして3度目のSC……50秒近くは失ったんじゃないでしょうか」と苦笑いの中島監督。

 最後の最後では、陣営内の24号車がSCピリオド中の駆動系トラブルでストップし、首位を行く39号車(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)に対し23号車MOTULは逆襲スプリントの機会も奪われてしまった。

 すべてがタイムロスにつながったレース展開にあって、中島監督は「しっかり3回とも損しちゃいました」と苦笑を浮かべながら、陣営内の3号車Niterra MOTUL Zとともに表彰台の両脇を固めたパフォーマンスに関し、落胆と同時に前半戦からここまで続いてきた苦労を払拭するかのような手応えも感じさせた。

「ここのところね、本当にFCY(フルコースイエロー)ばかりでセーフティカーが入っていなかったから、まさかの3回も入るとは……。ちょっと運がなかったこと以外はノーミスだったと思いますよ」

 同じく今季よりニッサン/NMCの指揮を執る木賀新一総監督も、開催延期となった第5戦鈴鹿、そして予選キャンセルの第6戦SUGOを経て、この瞬発力勝負となった日曜のパフォーマンスに関し「上出来だと思います」との評価を与える。

「予選では本当に名取(鉄平/リアライズコーポレーションADVAN Z)が速くてね。『これは……』と、ちょっと期待していたところもあったんですが、レースでは苦しい部分もありました。そして千代もまた速さを見せてくれて、そこは本当に良かったです。セーフティカーに関しては本当にツイてないですが、でもこれもレースだなと」フィニッシュ直後に、ワンデー開催の長い1日を振り返った木賀総監督。

 表情にはやはり悔しさと同時に手応えも浮かんでいるように見え、この週末に向け続けてきた開発成果が一定のカタチとなったことに安堵したことも明かす。

「そうですね。SUGOまでを含めてツラい思いをして来ていましたので、実はいろいろとやって来ていたんです。主にパワートレインですが(前戦で投入した年間2基目のエンジンに対し)それプラス、とにかく下側(低回転域)のピックアップをどう良くするかを少し試行錯誤しまして。それが今回、具体的に成果として出ていると思います。ただそれ以上に、今日はチームを褒めてやって下さい」と続けた木賀総監督。

 これまで量産モデルのエンジン開発などパワートレイン関係の職務に従事し、世界初となる可変圧縮比エンジン『VC-TURBO KR20/15DDT』のチーフエンジニアも務めた総監督らしい発言ではあるが、続くストップ・アンド・ゴーのコース特性を持つ第8戦モビリティリゾートもてぎでも、引き続きの開発を含めこの改善が効果を発揮すると予想される。

 また従来よりトップスピード、そしてブレーキングスタビリティにも強みのあるZにとっても相性の良いサーキットでもある。前出の23号車中島監督も、残る2戦での逆襲を期す。

「今回、ウチはハンデも少なめでしたし、勝って当たり前のレースだと思って来ていましたけど、それを勝てなかったのはちょっと悔しいですね。ただ、もてぎも(実質最終戦の)鈴鹿も悪くはないので、今回の何ポイントかが獲れなかったことでハーフウエイトがちょっと軽くなったと思って(笑)。ポジティブに捉えていこうと思います」

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