2005年2月に新型となって日本に導入されたアウディA4アバント(B7型)。すでに日本でも絶大な人気を誇っていたこのスタイリッシュなワゴンの魅力はどこにあったのか。Motor Magazine誌での検証をチェックしてみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年7月号より)
先進メカニズムと洗練されたデザイン、そしてアウディならではの品質
アウディと言えば、まず思い浮かぶのはアバント、という人は少なくないと思うが、それは単なる先入観やイメージではない。実際にここ日本では、主力であるA4の販売台数の半数以上がアバントだという。つまり街で見かけるアウディの、相当な割合いがアバントだというわけだ。
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そのA4、ご存じの通り2005年2月に新型が登場した。アウディはフルモデルチェンジと謳うこの新型だが、実質的には大規模なマイナーチェンジと言った方が正確だろう。ボディパネルのほとんどが変更され、エンジンやサスペンションに新機軸が投入された一方で、ボディの基本骨格やインテリアは先代を踏襲しているからである。
それでも、やはり見た目の変化は小さくはない。とりわけ目をひくのは、いよいよシングルフレームグリルを採用したフロントマスクだろう。同時にヘッドライトも新形状となり、表情は一気にアグレッシブなものとなった。
また、リアビューも、テールランプ形状を変更してイメージを一新。一方、全体のプロポーションはほぼそのままながら、実はボディサイドを走るキャラクターラインをより際立たせるために、ルーフ以外のボディパネルはすべて新造されている。
それに較べると、中身の変更点は少ない。S4やA6のパーツを用いて改良されたサスペンションも形式は同じだし、直列4気筒2.0Lエンジンも変更なし。
目をひくのはマルチトロニックと呼ばれるCVTに搭載されるSモードやマニュアルモードが7段刻みとなったこと、2.0ではオプションだが、パワーステアリングが車速感応式のサーボトロニックとされたことぐらいである。
よって走りっぷりも、これまでと大差はない……と言いたいところだが、実際は熟成ぶりに磨きがかかり、完成度の高さをひしひしと実感できるものに仕上がっていた。
センターパッドにシングルフレームグリルがモチーフの装飾が入れられたステアリングを握って走り出すと、まず驚くのは件のサーボトロニック式ステアリングの手応えの軽さ。最初は軽過ぎると思うのだが、路面感覚は損なわれていないし、速度が高まれば適度な重さも出てくるから、基本的に極めて快適に操作できる。
そうして速度を上げていくと、今度は乗り心地の改善ぶりに感心させられる。先代の、特に初期型で顕著だった、始終つきまとう細かなピッチングが随分と解消されて、日常域でのしなやかな当たりと適度なフラット感が両立できてきた。もう少しだけダンピングを効かせたいとは思うが、現状でも多くの人が満足できるに違いない。
2.0Lエンジンは最新のFSIユニットではないが、マルチトロニックとの組み合わせはもはや実用性では文句のつけようがないレベルに仕上がった。せっかくCVTなのに、わざわざ7段に区切るSモードは疑問符もつくが、ATの感触に慣れ親しんだ人には、あえてシフトアップ/ダウン感をもたせたこの設定はスポーティに感じられていいだろう。ただし、アイドリング時に車外に排気系からと思しきカラカラという安っぽい音が響くのは、ちょっと興醒め。早急の対策を望みたい。
これまでもA4アバントは、このクラスでスタイリッシュなワゴンが欲しいという時には必ず候補に上がる存在だったはずだが、新型はあらゆる面で熟成が進む一方で価格は抑えられ、さらに魅力的な存在となったことは間違いない。全長を伸ばしたことで、これまでスタイルの良さに免じて納得するしかなかったラゲッジルーム容量が、実に65L増しの442Lまで拡大されたのも新型のトピック。その点で二の足を踏んでいた人にとっても、新しいA4アバントは、きっとより興味をひく存在になるのではないかと思う。(文:島下泰久/Motor Magazine 2005年7月号より)
アウディA4アバント 2.0(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4585×1770×1455mm
●ホイールベース:2645mm
●車両重量:1520kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:130ps/5700rpm
●最大トルク:195Nm/3300rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格:406万円(2005年当時)
[ アルバム : アウディA4アバント 2.0(2005年) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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