今季2023年より完全電動化を表明し、新たにBEVシリーズに生まれ変わるSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権に向け、強豪PWRレーシングが大トリでの参戦体制を発表。シリーズコミット表明4番目、かつ最後のチームとして“4冠”エースのロバート・ダールグレンを擁し、引き続きCUPRA(クプラ)ブランドを代表して新型EV『CUPRA Born(クプラ・ボーン)』の3台体制で挑む。
すでに参戦表明済みのエクシオン・レーシングと『BMW i4』を筆頭に、新興チーム・オートラウンジ・レーシングはフォルクスワーゲンの電動ブランドから『ID.3』を、同じくブリンク・モータースポーツは『テスラ・モデル3』の投入をアナウンスしているが、予想どおりPWRも“セアト・ディーラー・チーム”として戦ってきた歴史も踏まえ、引き続きクプラとともに、この新時代のチャンピオンシップタイトル獲得を狙うと宣言した。
今季初開催『TCRワールドツアー』に向けリンク&コー・シアン・レーシングが新型車両を披露
2017年に加入したエースであり、TCR規定導入以降の6年間でチームとともに通算4回のチャンピオンを獲得する“絶対王者”に君臨したダールグレンも「僕が参加した17回のSTCCシーズンの中で、2023年は間違いなく最も楽しみにしているシーズンだ」と意気込みを語った。
「僕はこれまでのSTCCで3つの異なるレギュレーション(スーパー2000/TTA/TCR)を経験してきたが、今季導入が決まった電動化の規則は、間違いなく最もエキサイティングだ」と続けたダールグレン。
「このクルマはドライバーとしての僕らに非常に高い要求を課すと同時に、観客により多くのエンターテイメントを提供する。STCCではいつものように、競争はとても激しく、結果への期待を言うのは難しいけれど、僕は勝利以外の目的でドライブすることはないよ」
チャンピオンが語るように今季のSTCCでは、そのPWRレーシングが運営する研究開発部門『EPWR』社が開発した電動パワートレイン“Kit(キット)”を組み込んだ車両が使用され、最高出力550PS想定のモーターにより0-100km/hは3秒以下、最高速も300km/hをマークする。
そのリヤ駆動のキットには800Vの高電圧を利用する45kWhのリチウムイオンバッテリーの搭載が予定され、サプライヤーには元WRCドライバーのマンフレッド・ストール率いる技術企業STARD(ストール・アドバンスド・リサーチ・アンド・デベロップメントが指名されている。
■クプラ・スウェーデンも新型マシンの仕上がりに満足
このプログラムのサポートは、ダールグレンの地元自治体が運営する長年の企業パートナー『シェエフテオ・クラフト』が提供しており、電動化を推進するSTCCの技術プラットフォーム開発において重要な役割を果たしてきたという。
「我々もチームとして、チャンピオンシップのために、そして電動化によるモータースポーツ全体のために、これまでで最大かつ最も重要な変化に直面している」と語るのは、チームマネージャーを務めるマーカス・エクストローム。
「クプラや地元電力企業のシェレフテオ・クラフトとともに、新しい時代への一歩を踏み出し、社会全体の気候変動に配慮した変革を刺激し続けることは、我々がレーシングチームとしても非常にうれしく誇りに思っていることなんだ」
鋼管パイプフレームに独自のハイブリッド機構を備えた先進的な技術規則だったTTAの最終年、2016年からセアトとの協力関係を築いてきたPWRだが、今回の新型EV投入もその複数年にわたるパートナーシップの一環としてもたらされた。
クプラ・スウェーデンのブランドマネージャーであるパー・ブリンケンベルグも「スポーティなデザインと真に電化されたドライビング体験を備える、当社の全電動モデル『クプラ・ボーン』は、投資に完璧にマッチしており、このレーシングトリムでも素晴らしいルックスに見えるね」と、その仕上がりに満足げな言葉を残した。
「とくにPWRとSTCCが気候に配慮したモータースポーツの世界的リーダーとなるべく、まったく新しい電動化時代に突入したとき、クプラ・スウェーデンとしても彼らとの成功したコラボレーションの拡大に疑いの余地はなかったよ」
電動化初年度に向け、すでに公式サプライヤーとして引き続きヨコハマタイヤが指名され、6月中旬にユンビヘッド・パークことユンビヘッド・モートルバナで公式テストを実施。そして7月のファルケンベリで新たな時代の開幕戦を迎えるスケジュールだが、PWRレーシングによればダールグレンの僚友を務める2名のドライバーも、近日中にアナウンスされるという。
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