この記事をまとめると
■日本でもここ数年でライドシェアに関する議論が頻繁になされている
ドライバー不足がゆえに稼げるタイミング! 元運転士が語る「儲かるタクシー」になるコツ
■海外の白タクは強盗事件などに至る場合もある
■ロシアでは白タク行為の源流とも言える文化が昔から存在していた
ちょっと面白いロシアの白タク事情
年が明けると「なり」を潜めてしまったのが、日本国内への「ライドシェア導入論議」。そうこうしているうちに東京都内を見ているとだいぶ街なかを走るタクシーも増えてきており、空車のタクシーも繁忙時間帯を除けば一時期よりは見かけるようになった。
タクシー運転士の求人状況は「好転」というほどは劇的に改善されていないものの、トラック運転士からの転職が目立つようにもなっている。いまはまだ「稼げる仕事」にもなっているので、旅客や貨物の運送事業以外の異業種からの転職も目立っているようである。
「喉元すぎれば……」はこの国ではよくあること。ライドシェア導入の話自体がこのまま消えていくかもしれない。
日本はともかく、ライドシェアサービスはすでに多くの国々では導入されている。一般乗用車またはタクシーと、それらのクルマで移動したい人との間をスマホアプリというプラットフォームでマッチングさせるサービスが「ライドシェアサービス」の一般的な内容となる。
筆者はこのようなサービスの「原型」のようなものをロシアで見たことがある。時はリーマンショック直後の2008年11月、ロシアの首都モスクワにはいままで過去4回訪れているのだが、その最初のときのことである。ロシアのアエロフロート航空を利用し、モスクワ経由で中東ドバイでの取材を終え、帰国時に経由地のモスクワに数日間ストップオーバーして滞在し、現地駐在員のアテンドを受け、現地日系ブランドの新車ディーラー取材を行った。
そのときアテンドしてくれた駐在員に「シェレメチェヴォ空港では白タク(違法営業タクシー)のようなものに乗り、ひとりでモスクワ市内の宿泊先にきた」と伝えると、「それは無謀ですね。それはマフィアが営む白タクですから、途中で殺されて白樺林にでも埋められて金品盗られているのが普通です。よく生きていますね。不思議だなぁ」と冗談交じりに教えてくれた。
そしてそのときに、当時ロシアにはタクシーと言うものは、外国人向けにほんの少ししかなく、モスクワ市内にはニューヨークやロンドン、東京のように大量のタクシーは走っていないと教えてくれた。
白タクの源流はロシアにあり!
「それでは一般のモスクワ市民は地下鉄や路線バスでしか移動しないのか?」と聞き返すと、ある街角で大通り脇の歩道でしかも車道寄りに(モスクワの大通りの歩道はかなり広い)、日本で言うところの「タクシーに乗ろうとしている」ように立っている女性がいた。
その女性は通りを走るクルマに手を使って何やら合図をしていた。すると、1台のラーダ(ロシアブランド車)が停車し、しばらくすると助手席に女性を乗せて走り去っていった。「合図する人がいるとクルマがそこに停まります。合図をした人と停まったクルマが同一方向に向かい、金銭的交渉が成立すると、同乗して目的地まで送ってもらうことになります。このスタイルがモスクワでは一般的ですね」と駐在員が教えてくれた。その後モスクワ市内をひとりで歩いていても、同じような光景によく遭遇することとなった。
帰国するとき、とりあえずホテルのフロントに「空港に行きたい」と伝えると、空港へ向かうまで少し時間があった。フロントからは「時間になったらクルマを用意しておく」と言われたので、時間になって戻ると、アゼルバイジャンから出稼ぎに来ているというドライバーが運転する、ロシアブランドの「ヴォルガ」という、ソビエト時代を思わせる中型セダンの白タクが手配されていた。
その後2014年に再び訪れると、空港には黄色のボディに行灯(日本での社名表示灯)が屋根についていたので、タクシーかと思って乗ったら、じつは「なんちゃってタクシー」で、結局白タクとほぼ同じものであった。2016年に訪れたときは、事前に空港からホテルまでの送迎サービスを頼んで移動に使った。
そして2018年にようやく、れっきとしたタクシーでモスクワ市内に向かうことができた。2018年にモスクワ市内を訪れるとロシアでサッカーワールドカップが行われた直後ということもあり、海外から多くの人が訪れるために整備されたらしく、街なかにきちんとしたタクシーが走るようになった。ちなみにタクシー車両はヒョンデや起亜といった韓国ブランドのほか、中国車が目立っていた。
筆者はモスクワを訪れるといつも同じホテルに泊まるのだが、帰国の際に呼んでくれるのはいつも白タクであった。しかも、空港からホテルへ向かうときの正規タクシー料金(おそらく)よりも、帰国時の白タクの料金のほうが安いという結果に驚きながら日本に帰国した。
「ライドシェアの原型はロシアにあり」、筆者はいまでもそう思っている。
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みんなのコメント
まあ、いずれ、街角でヒッチハイクのようにクルマを止めて料金交渉して乗った挙げ句、何かしら被害にあう人が出てくるでしょうが。
トラブル続出しそう
やってみたい気はする毎日外回りだから