現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ターボエンジンはブースト圧を上げればいいってもんじゃない! どうして「ブーストダウン」した方が速くなる?

ここから本文です

ターボエンジンはブースト圧を上げればいいってもんじゃない! どうして「ブーストダウン」した方が速くなる?

掲載 61
ターボエンジンはブースト圧を上げればいいってもんじゃない! どうして「ブーストダウン」した方が速くなる?

速さを突きつめた領域では「常識」が逆転する!?

 ターボ車のパワーを出すにはハイブーストと決まっている! たくさんガソリンと空気をエンジンにぶち込めばそれだけパワーは出る! ……そんな風に、ハイブーストこそ速さの象徴であるのは、じつはストリートだけの話。サーキットではブースト圧を下げることも全然普通にある。奥深きターボセッティングの世界とは?

大枚叩いてイジったのにパワーも上がらずタイムも出ず! 失敗しがちなクルマのチューニングとは

ブースト圧が高いほうが当然パワーは出る

 ターボ車のパワーは基本的にブースト圧が高いほうが出る。より高い圧力でエンジンにガソリンと空気を押し込むので、それだけたくさん燃やすことができ、パワーが出る。

 そこでチューニングの最初のフェイズとしてブーストアップが推奨される。これはタービンは純正のまま、ブースト圧を上げること。それに合わせて燃料の量や点火時期なども調整するが、10~20%ほどのパワーアップが可能だ。コスト的にもエンジンコンピュータ(ECU)の書き換えだけでできることが多く、10~15万円ほどで大幅にパワーアップできる。

 次にもっとパワーを出すなら、タービン自体を大きなものに変えるチューンがある。より風量の大きなタービンにすることで、エンジンにたくさんの空気を押し込み、出力をアップさせる。このときもブースト圧は高めるのが一般的で、ブーストアップよりも大きなリターンが見込める。

 純正タービンにしろ、アフター品のタービンにしろ、エンジンパワーだけで言えば、基本的にブースト圧が高いほうが出せる。ある一定のラインを超えると異常燃焼が起きたりするので限界はあるが、純正ブースト圧に比べて20%くらいまでは高めるのが普通だ。

ブーストダウンしたほうが速く走れることがある

 しかし、じつはブースト圧を下げることもある。そして、それはエンジン保護が目的ではなく、速く走るためにブーストダウンをすることがあるのだ。その理由がタイヤのグリップとの関係にある。

 ありがちなのが、リヤ駆動車でサーキットの1本目「まずは様子見だから、ローブーストモードで走ろう」と走行。走行2本目で「よし、本気だ、ハイブーストにして一気にタイムアップ!」と思ったら、なんとタイムが下がったという話だ。

 気合いを入れてハイブーストにしたら、リヤがスライドしてドリフト状態になり、前に進まずタイムダウンしたという例は大変多いのだ。

 ハイブーストだと鋭くパワーが出た瞬間にリヤタイヤがブレイクしてしまうので、しっかりと向きが変わってから──つまり、ほぼストレートに入ってからアクセルオンすることになる。

 ならば、むしろブーストダウンして、早めからアクセルをじんわり開けて行ったほうが良い。低めのブースト圧にして、コーナー立ち上がり途中からアクセルを踏んだほうが、ピークパワーは劣っても早くから加速が始まるので結果的にストレートでも速くなってしまうのだ。

踏めないパワーは無駄!

 踏みこめない程のパワーは遅くなるだけでなく、タイヤも減りやすい。駆動系にも負担が掛かる。エンジン本体にも決して良くない。と、このような理由から、レースでは最高ブースト圧よりも下げて走るのは珍しくない。むしろ、安定したラップタイムを刻みやすく、トータルでは速くなってしまうことさえある。

 レース界で有名なセッティングエンジニアも「踏めないパワーは無駄」と、限界までセッティングを確認したあとは、ドライバーがどれだけ踏めているかを確認しながら、ブースト圧をバンバン落としていくという。速く走るためのブーストダウンもアリなのだ。

文:Auto Messe Web 『Auto Messe Web編集部』
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

40万円安い! トヨタ「新型RAV4アドベンチャー」に注目! 専用「角形デザイン」×大型フェンダーモール採用でめちゃアウトドア感スゴい! ノーマルの「Z」グレードとの違いとは?
40万円安い! トヨタ「新型RAV4アドベンチャー」に注目! 専用「角形デザイン」×大型フェンダーモール採用でめちゃアウトドア感スゴい! ノーマルの「Z」グレードとの違いとは?
くるまのニュース
【同門対決】ガソリンかバッテリーか?VWゴルフとVW ID.3の一騎打ち!どちらのフォルクスワーゲンが優れているのか?
【同門対決】ガソリンかバッテリーか?VWゴルフとVW ID.3の一騎打ち!どちらのフォルクスワーゲンが優れているのか?
AutoBild Japan
トヨタ新型『C-HR+』英国発売 走る楽しさを重視したEV、航続距離600km 約715万円から
トヨタ新型『C-HR+』英国発売 走る楽しさを重視したEV、航続距離600km 約715万円から
AUTOCAR JAPAN
日産、NISMO特別モデルと フェアレディZ 改良新型を発表へ…東京オートサロン2026
日産、NISMO特別モデルと フェアレディZ 改良新型を発表へ…東京オートサロン2026
レスポンス
奈良の新名所!?「高市スープラ」今も混雑してる? 首相就任から2か月―現地で確かめた
奈良の新名所!?「高市スープラ」今も混雑してる? 首相就任から2か月―現地で確かめた
乗りものニュース
「すごい事故…」 常磐道で「ETCレーンに激突大事故」発生 設備“大破”→「たった2日半」で復旧! 渋滞ポイント「三郷料金所」で起きた“爆速修復”に「すごい」「仕事速い」の声
「すごい事故…」 常磐道で「ETCレーンに激突大事故」発生 設備“大破”→「たった2日半」で復旧! 渋滞ポイント「三郷料金所」で起きた“爆速修復”に「すごい」「仕事速い」の声
くるまのニュース
欧州版「軽自動車」規格 新『M1E』カテゴリー導入決定 全長4.2m以下の小型EVに優遇措置
欧州版「軽自動車」規格 新『M1E』カテゴリー導入決定 全長4.2m以下の小型EVに優遇措置
AUTOCAR JAPAN
未来的なイメージで斬新な顔に!? ヤマハ「MT-09」新色が好評 納車は年明け?
未来的なイメージで斬新な顔に!? ヤマハ「MT-09」新色が好評 納車は年明け?
バイクのニュース
”新米パパ”フェルスタッペンが娘リリーを語る「今の日々を、本当に本当に楽しんでいるんだ」
”新米パパ”フェルスタッペンが娘リリーを語る「今の日々を、本当に本当に楽しんでいるんだ」
motorsport.com 日本版
アルファード&レクサスLMの人気がヤバい! タイで「コミューター」の顔面整形が流行っていた!!
アルファード&レクサスLMの人気がヤバい! タイで「コミューター」の顔面整形が流行っていた!!
WEB CARTOP
離脱したマルコの役割は分割か。引き継ぎ候補にベッテルの右腕やミンツラフCEOの名前
離脱したマルコの役割は分割か。引き継ぎ候補にベッテルの右腕やミンツラフCEOの名前
AUTOSPORT web
瀬戸大橋-高松のショートカットルートがついに全線4車線化! もと有料の快走路が改良 高松駅直結!
瀬戸大橋-高松のショートカットルートがついに全線4車線化! もと有料の快走路が改良 高松駅直結!
乗りものニュース
「やっぱこの色!」ヤマハSR400/SR500カラー大図鑑:王道のブラック系
「やっぱこの色!」ヤマハSR400/SR500カラー大図鑑:王道のブラック系
WEBヤングマシン
JDM流行の波は止まらない!? 特別なR34「GT-R」が米国オークション登場 生産台数300台 希少な「Vスペック ミッドナイトパープルII」の価値とは
JDM流行の波は止まらない!? 特別なR34「GT-R」が米国オークション登場 生産台数300台 希少な「Vスペック ミッドナイトパープルII」の価値とは
VAGUE
北海道「ニセコモデル」3年目、冬季タクシー不足解消へ…応援隊など19社54台が参画
北海道「ニセコモデル」3年目、冬季タクシー不足解消へ…応援隊など19社54台が参画
レスポンス
三輪EV「coffret」、ピンクとブルーの限定パステルカラー2色を追加…全7色に
三輪EV「coffret」、ピンクとブルーの限定パステルカラー2色を追加…全7色に
レスポンス
往年のF1マシンと発売前の「ホンダRA272」エンジンモデルをタミヤプラモデルファクトリー東京で公開!展示期間は12月25日まで
往年のF1マシンと発売前の「ホンダRA272」エンジンモデルをタミヤプラモデルファクトリー東京で公開!展示期間は12月25日まで
Auto Messe Web
欧州(EU)が2035年のエンジン車禁止を撤回 自動車メーカーら業界の反発受け方針転換へ
欧州(EU)が2035年のエンジン車禁止を撤回 自動車メーカーら業界の反発受け方針転換へ
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

61件
  • 変な記事。
  • 上がったパワーを使いこなせてないだけだろ。
    パワーが上がれば走り方を変えるのは当然。

    ローパワーでしか走れないなら、走るだけムダ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550 . 0万円 2800 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

- 万円

中古車を検索
ベントレー ターボの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2550 . 0万円 2800 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

- 万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村