ヒョンデとキアがシェアを伸ばしている
アメリカ国内の、2024年第二四半期のEV普及動向が判明しました。これによると、EV普及スピードは停滞中であり、テスラ全体の販売台数も縮小しています。そしてトランプ前大統領が銃撃されたことで、トランプ政権が復活し、EVシフトがさらに混乱する可能性について解説します。
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まず、このアメリカ市場における、直近の2024年6月度のバッテリーEVの販売台数は、およそ9.6万台以上と、前年同月比でまったく販売台数を伸ばすことができていない状況です。
そして、新車販売全体に占めるバッテリーEVの販売シェア率も7.3%と、2023年末に記録した8.34%というEVシェア率から低下。前年同月の7.36%と比較して、まったくEVシェア率が成長していない様子を確認できます。
また、このアメリカ市場におけるEV普及率が、その他の主要マーケットと比較してどれほど達成しているのかを比較してみると、中国や欧州などがEVシフトを引っ張る形で、世界全体のバッテリーEVの普及率は、2024年5月の段階で13%を実現。その一方、アメリカ市場は7.31%と、グローバル平均と比較して半分程度の普及率であることが見て取れます。
それでは、最新の2024年上半期において、アメリカ国内でどのようなEVが人気であるのかを分析していきたいと思います。
まず初めに、自動車ブランド別の販売台数について、2024年Q2と2023年Q2の販売台数を比較したグラフを見てみると、圧倒的トップを実現したのがテスラです。2024年Q2だけで16万台以上を販売し、アメリカ国内で販売されたバッテリーEVの総数のうち49.7%のシェアを確保。お膝元のアメリカ国内で、テスラの盤石さが光る格好となりました。
他方で、現在テスラについて指摘されているのが、じつは前年同四半期比で6.3%ものマイナス成長であるという点です。第一四半期も、前年同四半期比13.3%ものマイナス成長であり、この2024年前半戦は、9.6%ものマイナス成長でフィニッシュ。したがって、盤石であるように見せていたアメリカ国内のテスラは、じつは販売台数を落としているという状況なわけです。
その一方で、大きくシェアを伸ばしたのがヒョンデとキアという韓国勢の存在です。2024年上半期において、ヒョンデは34%もの販売増加を記録しながら、キアは倍以上の成長すら実現しています。ヒョンデグループ全体で、アメリカのバッテリーEV販売全体の10.5%ものシェアを獲得しており、かなり健闘している様子が見て取れます。
なかでもキアは、大型SUVのEV9が大きく販売台数を伸ばしています。さらに、ようやくアメリカ国内での生産をスタートしたことで、連邦政府からの日本円で100万円級の税額控除を適用可能となり、よりコスト競争力が増していくことにも期待可能です。
次にこのグラフは、第二四半期で人気のバッテリーEVの車種別ランキングトップ30を示したものです。トップはモデルY、次にモデル3、さらに第5位にはサイバートラックと、やはりテスラが圧倒的な支配力を有する一方、問題はモデルY、3の両車種ともに、販売台数が低下しているという点です。
なかでもモデル3は前年同四半期比で26.2%ものマイナス成長です。やはりモデル3に対する需要が、ハイランドへのモデルチェンジを経たとしても低下しているという点、またエントリーグレードであるRWDグレードが、7500ドルの税額控除の適用対象外であるという2点が、販売台数減少に影響したと推測可能でしょう。
他方で、販売台数を伸ばしているのが、フォード・マスタングマックE、ヒョンデIONIQ 5、トヨタbZ4X、キャデラック・リリック、キアEV6、シボレー・ブレイザーEVなどという、モデルYの競合となるミッドサイズSUVのEVたちです。なかでも、発売してすでに3年以上が経過しているマスタング・マックE、2年半が経過しているIONIQ 5については、いまだに販売台数が伸びています。
とはいうものの、やはり四半期で2万台を超えるような販売台数を実現する人気EVは、テスラ以外でいまだに存在しないのも現実であり、アメリカのEVシフトが停滞を脱するためには、テスラ以外の、人気のEVが続々と誕生する必要があるでしょう。
トランプ再選でアメリカのEVシフトはどうなる?
また、このアメリカのなかで最大の自動車マーケットを有するカリフォルニア州のEVシフト動向についてを簡単に紹介したいと思います。
まず、このグラフは、年間ベースのカリフォルニア州のバッテリーEV販売台数、およびシェア率を示したものです。2023年シーズンは37.5万台近い販売台数を実現しており、アメリカ全体が114万台程度のバッテリーEVの販売台数であったことを踏まえると、カリフォルニアだけで30%以上のシェア。カリフォルニア州の大きさが容易にイメージできるでしょう。
そして、バッテリーEVのシェア率は21.24%を記録。つまり、5台に1台以上はバッテリーEVとして販売されているという、まさにアメリカのEVシフトを牽引している州である様子が見て取れます。
そして、このカリフォルニア州における、最新データが判明済みの、2024年Q1における人気のEVランキングトップ30を確認していきたいと思います。
このグラフのとおり、やはりテスラのお膝元ということもあり、アメリカ市場全体のランキング以上に、テスラが圧倒的なシェア率を実現しています。それこそトップのモデルYは、競合のIONIQ 5の10倍近い販売台数を実現。また、モデル3とモデルXでトップ3を独占しており、カリフォルニアにおけるテスラの支配は、今後も揺るがないと見られます。
そして、このカリフォルニア州に関しては、2026年からZEV規制がついにスタートするという点が極めて重要です。具体的には、それぞれの自動車メーカーごとに対して、販売台数の35%をバッテリーEV、もしくはPHEVにしなければならないという規制内容です。
また、バッテリーEVについては200マイル以上の航続距離。さらにPHEVも、2029年までは43マイル、それ以降は70マイルのEV航続距離が必要であり、その2026年シーズンにおける35%の販売割合のうち、PHEVの割合は20%が上限。つまり、バッテリーEVの販売割合こそ重要となってくることを意味します。
しかも、その35%という販売比率規制は毎年上昇し、2030年シーズンには68%、2035年までには100%、つまりバッテリーEVとPHEVのみの販売に完全シフトすることを求めてきているわけです。
いずれにしても、このカリフォルニア州において販売割合の高い日本メーカー勢は、このZEV規制をクリアするために、高性能なPHEVと、人気のバッテリーEVを両方ラインアップする必要性に迫られているわけです。
そして、このアメリカ市場におけるEVシフト動向で極めて厳しいのが、トランプ政権の復活という観点です。直近における銃撃事件によってトランプ前大統領がカムバックするという予想もありますが、問題は、バイデン政権が推進していたEVに対して、トランプ氏は逆にEV推進反対の立場を表明する見込みです。そうなると、連邦政府の7500ドルもの税額控除をはじめとして、自動車メーカーのEV関連の投資に対する税制優遇措置、および充電インフラに対する補助金など、現在進んでいるEV推進施策が反故にされる可能性が出てくるでしょう。
果たして2025年以降、トランプ政権がカムバックしたとしたら、アメリカのEVシフトがどのように推移していくのか。バイデン政権が策定したEV推進施策に大幅な変更が加えられるのか。そのなかでも自動車最大マーケットであるカリフォルニア州においてスタートするZEV規制に対して、トヨタやホンダ、スバルなどの日本メーカーが、この規制に対応することができるのか。アメリカのEVシフト動向にはますます目が離せません。
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みんなのコメント
石油も自国で採れるから安定してるし。
一般人の自家用車とするには全く不愉快不完全なEV
環境活動家に乗せられ無知無能な政治家どもがこれこそ次世代の車と勘違いしてゴリ押しした成れの果てが現状
各車メーカーはそれを解っていたにも関わらず一世一代のチャンスとばかりに高付加価値の高級EVをバンバン作ったけどアーリーアダプターに一巡するやものの見事に売れ残り
後世の教科書に書かれるほどの逸話になったね