第9戦はキャシディが21番手から逆転優勝。第10戦はダ・コスタがポルシェに母国勝利をもたらす／フォーミュラE

　5月11～12日、ドイツ・ベルリンで2023／2024ABB FIAフォーミュラE世界選手権第9戦、第10戦『サン・ミニミール・ベルリンE-Prix』が行われ、第9戦はニック・キャシディ（ジャガーTCSレーシング）が、第10戦はアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ（タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム）が優勝を飾った。

　テンペルホーフ空港跡地に設営された特設サーキットを舞台に、ダブルヘッダーで開催されたベルリンE-Prix。11日の第9戦を制したキャシディは、9番グリッドからスタートし、中団でのバトルを強いられる。

　一時は21番手まで後退したキャシディだが、レース中に二度導入されたセーフティカーをうまく活かすことに成功。最終的には表彰台に上ったオリバー・ローランド（ニッサン・フォーミュラEチーム）とジャン-エリック・ベルニュ（DSペンスキー）をオーバーテイクして首位に立つと、約2秒のアドバンテージをもって勝利を飾った。

　この優勝でドライバーズランキング首位に躍り出たキャシディは「今日はとてもラッキーだったけど、フォーミュラEではそれが必要なこともあるんだ。レースは面白かったけれど、もっと速く走る必要があるね。状況はすぐに変わる可能性があるから、明日はどうなるか見てみよう」と、慎重な姿勢を崩さない。

　翌12日の第10戦では、31周目のセーフティカー導入後に好調ジャガーのミッチ・エバンスがトップに立っていた。しかし、ポルシェの地元ドイツで優勝を狙うダ・コスタがレイトブレーキングを駆使して首位に立つことに。

　背後には16番グリッドからポジションを上げてきたニッサンのローランドが迫るもオーバーテイクするには至らず。レース終盤には前日の覇者であるキャシディが3番手に浮上してくると、ローランドをかわして2番手となるも、追撃はここまで。ダ・コスタがテンペルホーフ空港特設サーキットでの3勝目を獲得した。

　ポルシェの地元ドイツで優勝を飾ったダ・コスタは「ポルシェのホームレースで勝てたことは本当にうれしい。ファクトリーで働く、普段はレースに来ることができない多くの人たちが来てくれているので、間違いなく特別なものになったよ」と喜びを語る。

「正直なところ、今季は厳しいスタートだったけど、常にランキングトップとの差を縮めながら良い勢いをつけてきた。うまく物事が進まないときはハードに働く必要があるけれど、周りに適切な人がいれば少し楽になる。今回の勝利は今週亡くなったエンジニアの義父に捧げたい」

　また、2戦連続の表彰台でドライバーズランキングトップに立ったキャシディは、「波乱のレースだったけど、最終的には素晴らしい週末になった。一晩で状況が少し好転し、今日は本当に速いパッケージができた。タイトル争いは今やっていることを続けていくしかないね。チームは素晴らしい仕事をしてくれているから、僕はそれをとても楽しんでいるよ」とシーズンを見据える。

　そして、こちらも2戦連続の3位表彰台を獲得したニッサンのローランドは「みんなアグレッシブだったね。僕にとってタフだったのは、2台のポルシェと2台のジャガーがお互いに助け合おうとしていたことで、僕は2チーム4台にひとりで戦う必要があったけど、とても楽しかった」とベルリンダブルヘッダーを振り返った。

　ベルリンE-Prixを終え、ドライバーズランキングは45ポイントを獲得したキャシディが140ポイントでトップに。パスカル・ウェーレイン（タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム）が124ポイントで2位、ニッサンのローランドが118ポイントで3位につけている。

　2024年フォーミュラEの次戦は、5月25～26日に中国・上海で第11＆第12戦のダブルヘッダーレースとして開催される予定だ。