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“カローラらしい価格”だと、どんなSUVになるのか? カローラ・クロスのハイブリッド車試乗

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“カローラらしい価格”だと、どんなSUVになるのか? カローラ・クロスのハイブリッド車試乗

サイズ/最低地上高 身内SUVと比較

カローラ・クロスの全長はヤリス・クロスより約30cm長く、RAV4よりも約10cm短い。

【画像】カローラ・クロス 細部まで見る【トヨタSUVの三姉妹】 全64枚

車体サイズはRAV4寄りだが、用いられているプラットフォームも同様の関係にあり、ハードウェア面の差異も含めて大中小あるいは三姉妹という関係に喩えてもいいだろう。

ただし、この三姉妹は悪路踏破性をモノサシにすると志向が異なる。

RAV4は乗用車型プラットフォームを用いたSUVとしては悪路踏破性を重視。本格オフローダーほどの耐久性はないにしても、踏破性はSUVではトップクラスだ。

一方、カローラ・クロスとヤリス・クロスの4WD車は滑りやすい路面の発進性能を軸とした、いわゆる生活四駆プラスα。トヨタハイブリッド4WDで定番のE-Fourも後輪駆動ユニットに小出力誘導モーターを使い、性能的には簡易型だ。

しかも、カローラ・クロスのガソリン車には4WD車が設定されず、最低地上高も160mmとヤリス・クロス(170mm)より小さい。

もっとも、開発の狙い自体がオフロード用途を前提にしていない。

悪路対応はオマケ程度で、本命はSUVパッケージを活かしたキャビンユーティリティや見晴らしのよさ。

SUVをモチーフにしたセミハイトワゴンと考えてもいい。ポスト・ステーションワゴンにも位置付けられるSUVなのだ。

車内・トランクの広さ

フロア面積はカローラ・ツーリング(ワゴン)とほぼ等しく、室内高は約10cm広い。

室内高を活かしてか、後席座面高を高めにセットし、若干前進させていることでレッグスペースと荷室に余裕を持たせている。

ベルトラインを水平に、上下開口を大きく6ライト構成としたサイドウインドウ・グラフィックは、高めのアイポイントと相まって、後席乗員にも天地方向に開けた見晴らしをもたらす。実用スペースや居心地はRAV4と大差ない。

トランク 後席をたたむと?

後席収納は6:4不等分割のシングルフォールディング式。床面地上高が低いせいもあって収納時はシート部との段差が大きい。

また、リアゲート開口との掃き出し段差も大きく、実用性や積載の多様性、あるいは汚れ濡れ物の出やすいアウトドア趣味を配慮した工夫は見られないが、荷室容量はコンパクトクラスでは最大級である。

内装・装備について

インパネ周りの基本デザインは他のカローラ系と共通性を持たせている。

インパネ中央上部には最近のトヨタ車では定番になっているDA(ディスプレイオーディオ)が配される。

全グレードで7インチ仕様が標準装着されるが、G以外は9インチ仕様も装備。

この辺りの設定は他のカローラシリーズに準じているが、カローラ・クロス特有の装備として最上級グレードのZには運転席パワーシートを標準装備している。

最新ではないけれど、どんな感じ?

旧世代と言っては語弊があるが、現在展開されているトヨタ車のハイブリッドシステムでは古参。

基本的には現行プリウスと同様のシステムだが、ダイナミックフォースエンジン(DFE)導入の最新仕様と比較すると古臭く思えるのも仕方ない。

もちろん、乗って悪くなければそれでいい。

ハイブリッドをリードしてきたプリウス由来のパワートレイン。悪いわけもなく、即応性高く、それでいて過敏な反応を抑えたドライブフィール。

巡航時の速度コントロールも容易であり、滑らかな運転と馴染みがいい。トヨタのハイブリッド車を乗り継いできたユーザーならば尚更だ。

DFE採用の最新システムに比べると、負荷変動に対するエンジン回転数の変化が大きめなことや踏み増し時の初期加速のキレの甘さを感じる。

ガソリン車のDFE車とそれ以前のエンジン車の違いほどではないが、力感・洗練感で一世代前の印象は拭えないが、それでも同クラスのハイブリッド車を実用燃費と動力性能でリードするのは間違いなく、市街地から長距離まで柔軟にこなせる。

リアのサスペンション形式

これまでのGA-CプラットフォームのFF/4WDともにリアサスにダブルウィッシュボーンを採用しているが、カローラ・クロスのFF車はリアサスにトーションビームを採用。

トーションビームは軽量かつスペース効率に優れているが、ロール時のジオメトリーや横応力の問題から乗り心地と操安性の両立ではダブルウィッシュボーンよりポテンシャルが低い。

つまり、他のカローラシリーズに対してFF車のサスがグレードダウンした。

試乗してみると、車軸周りを揺するような振動や段差乗り越え時の突き上げ感でトーションビームを意識。

グレードダウンした感は否めない。しかし、その差は予想よりも小さかった。

ロール軸は目立って前下がりでもなく、リアサスの沈み込みも感じられる。

伸び/縮みともにトーションビームにしては長いストロークを使い、乗り心地や挙動の繋がりをよくしている。

操縦感覚は多少のルーズさを感じるが高速コーナリングでも安心感がある。

細かな質感を云々しなければ操安性と乗り心地の両立点が高く、穏やかなドライブを楽しみたいと考えるユーザーにはまとまりのいいフットワークである。

「買い」か?

カローラ・クロスの開発コンセプトの1つに「カローラらしい価格」がある。

FF中心の車種展開やFF車のリアサス設定なども費用対効果重視の選択と考えていいだろう。

結果、グレードによって異なるもののハイブリッド車ではカローラ・ツーリングとの実質的な価格差は約10万円である。

カローラシリーズそのものがグレードアップし、プレミアムコンパクトとなったため、目立って買い得とは思えないものの、キャビンユーティリティの差異を考慮すれば納得できる価格設定だ。

ちなみに同様のコンセプトで開発されたキックスも同等価格であり、車格差分だけカローラ・クロスのほうがお値打ち価格と言える。

開放的なキャビンに広い荷室。ファミリー&レジャー用途に適した走行性能。荒れていないラフロードくらいなら苦にならない悪路性能。

カローラ・クロスの特徴は実用車としてのアドバンテージにあり、その点でコスパに優れる。

SUVの本筋狙いのユーザーには中途半端に見えるが、実用性で図ればカローラシリーズを代表するモデルなのだ。生活用途とレジャー用途の高水準でのバランスを求めるユーザーに勧められるモデルである。

カローラ・クロスZ スペック

トヨタ・カローラ・クロスZ(ハイブリッド車/FF)

価格:299万円
全長:4490mm
全幅:1825mm
全高:1620mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:26.2km/L(WLTCモード)
CO2排出量:89g/km
車両重量:1410kg
パワートレイン:直列4気筒1797cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):98ps/5200rpm
最大トルク(エンジン):14.5kg-m/3600rpm
最高出力(モーター):72ps
最大トルク(モーター):16.6kg-m
システム出力:122ps
ギアボックス:電気式無段変速機
乗車定員:5名

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みんなのコメント

60件
  • あんまり見ないよなあ
    ほんとに売れてるのか?
  • 旧型の1.8lエンジンとトーションビームだとやはり目新しさがないという印象。

    2.0lのダイナミックフォースエンジンとダブルウィッシュボーンで出てくれるともっと売れると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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