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深く満たされる上質 メルセデス・ベンツ EQS SUVへ試乗 GLSのEV版 航続511km

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深く満たされる上質 メルセデス・ベンツ EQS SUVへ試乗 GLSのEV版 航続511km

GLSに代わる大型ラグジュアリーSUV

バッテリーEV(BEV)の市場投入がやや遅かったメルセデス・ベンツだが、その後は順調にラインナップを拡大中。慎重気味だった姿勢が嘘のように、小さなクロスオーバーのEQAから、大きなワンボックスのEQVまで、多彩なモデルを提供している。

【画像】GLSのEV版 メルセデス・ベンツEQS SUV 競合する上級EVクロスオーバーと比較 全129枚

電動化技術における確かなポジショニングを短期間に築いた同社は、さらに8種類目となるEQS SUVを発表した。アルミニウムを多用したBEV専用のアーキテクチャ、EVA2をベースとするモデルとしては3種類目になる。

これは、フロア部分に駆動用バッテリーを敷き詰めたスケートボード構造のプラットフォームで、大型サルーンのEQSも採用するもの。EQS SUVでは、108.4kWhの大容量ユニットが実装される。

フラットなフロア構造のメリットとして、車内パッケージングは自由度が高い。このSUVでは、2列5シーターか3列7シーターのレイアウトを選べる。

サルーンのEQSがSクラスの次世代版といえるのと同様に、内燃エンジンモデルのGLSに代わるBEVとして、EQS SUVのボディサイズは大きい。全長は5125mm、全幅は1959mm、全高は1718mmもある。

GLSと比較すると82mm短く、3mm広く、105mm低い。ホイールベースは75mm長いが、これはサルーンのEQSと同値。生産効率を高める意図が見える。

動力性能に不足ないツインモーターの四駆

インテリアは、多くがサルーンと共有。ステアリングコラムやドアパネルの下半分には、硬質なプラスティックが用いられているのも変わらない。だが、それ以外の部分はしっかりラグジュアリーな素材で仕立てられている。

ルーフには広大なパノラミック・グラスルーフが標準装備。ブラインドを開くと、車内は陽光で満たされる。色使いもあって、明るく開放的だった。

当初英国へ導入されるEQS SUVは、ツインモーターで四輪駆動の2種類が予定されている。360psの最高出力と81.4kg-mの最大トルクが与えられるのが、450。543psと87.2kg-mを得るのが580となる。

いずれも航続距離は最長で511km。急速充電能力は200kWまで対応する。車重は450で2730kg、580はわずかに重く、2735kgだという。

どちらのグレードを選んでも、EQS SUVの動力性能に不足はまったくない。軽くない車重を考えれば、直線加速の鋭さには驚かされる。0-100km/h加速は450で6.0秒、580では4.6秒でこなす。最高速度は210km/hでリミッターが掛かる。

その加速もさることながら、EQS SUVで印象的なのがクルージング時の質感。ツインモーターは、至って静かに大きなボディを前に進める。電気的な、ウィーンという鳴き声を聞かせることなく、瞬間的に豊かなパワーがみなぎる。

高速域でも、タイヤノイズや風切り音は殆ど耳に届かない。現在の市販車では最も外界から隔離された、秀でた洗練性を持つ1台といっていい。

予測しやすい安定性に優れた操縦特性

運転は直感的にできる。市街地などの低速域ではステアリングホイールの操舵感は軽く、狭い交差点での取り回しを担保。郊外の道や高速道路でスピードが増すと徐々に重みが増し、正確なライン取りを叶える。手のひらへ伝わる感触は希薄だが。

駆動用バッテリーが低い位置に搭載されるため、重心位置も低い。常に予測しやすい、安定性に優れた操縦特性を実現している。

EQS SUVには後輪操舵システムも搭載され、リアタイヤは最大4.5度まで向きを変える。大きなボディとは裏腹に、低速域ではキビキビと向きを変える。オプションで10度まで拡張することも可能で、一層小回りが利くようになる。

四輪駆動の4マティックにより駆動力はタイヤ毎に細かく制御され、常にグリップ力を担保。路面を確実に掴み続けるマナーは心強い。

エアマティックと呼ばれるエアサスペンションには、セルフレベリング機能も備わり、前後左右の傾きを巧みに制御。加速時や旋回時でも、車内はフラットに保たれる。

唯一、冴えないと感じたのがブレーキペダルの感触。これはメルセデス・ベンツのEQモデルで共通しているのだが、踏み込んだ時の重さに一貫性が足りない。確実な制動力は得られるものの、踏みごたえの安定したフィーリングなら評価は一層高まるはず。

深く満たされる仕上がり 価格はeトロンの倍

高級電動SUVで、どれほどのオーナーがオフロードに挑むのかは疑問ながら、オプションでオフロード・モードというドライブモードを追加できる。選択すると車高が25mm高くなり、4マティックの特性が悪路向けに最適化される。

そのオプションには、オフロード・グラフィックス機能も備わる。ボンネット直下を写す映像を含む360度のカメラビューで、地上の状況を把握しやすくしてくれる。

ラグジュアリーSUVとして、メルセデス・ベンツEQS SUVは深く満たされる仕上がりにある。卓越した滑らかな走りだけでなく、パワートレインのレスポンスや、乗り心地の快適性や洗練性などには唸らされる。

パッケージングに優れ、実用性も高い。大きなサイズと優雅なデザインで、路上でのオシも効く。

ただし、価格はお安くない。確定前ながら、EQS SUV 450の英国価格は約13万ポンド(約2145万円)からが見込まれている。アウディeトロンの約2倍、BMW iXの5万ポンド(約825万円)増しになるようだ。

メルセデス・ベンツEQS SUV 450 4マティック(欧州仕様)のスペック

英国価格:13万ポンド(約2145万円/予想)
全長:5125mm
全幅:1959mm
全高:1718mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:6.0秒
航続距離:507-511km
電費:4.1-4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2730kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
バッテリー:108.4kWh(実容量)
急速充電能力:200kW
最高出力:360ps
最大トルク:81.4kg-m
ギアボックス:−

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みんなのコメント

2件
  • 小金持ちの社長さんが購入 リース使用するでしょう。
  • 凄いね。
    マイバッハ謳ってもいいぐらいラグジュアリー。
    車種名にSUVつけただけというのが
    なんか思い切ったな。
    クーペやオープンもそうなのらすのかな?
    原点回帰でわかりやすいけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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