みなさんこんにちは!現在筆者の住むドイツの首都ベルリンでは夏真っ盛り…のはずなのですが、今年は例年になく寒い日が続いており、7月に入ってから最高気温が20度に届かない日が続いています。去年は連日30度超えという「猛暑(ドイツにとっては)」だったので、川で水遊びに興じる人たちも多かったのですが、今年はCOVID-19の影響もあってひっそりとしていますね。
今回のドイツ現地レポは、ドイツと日本の交通ルールの違いについて紹介します。とはいえ、日本との交通ルールの違いについて紹介しているサイトはいくつか存在するので、ここでは筆者の独断で「違ってて本当に戸惑ったこと」を厳選してお届けします。最近はようやく慣れてきましたが、ドイツの公道を実際に運転して「ん?」となった経験は数多く…。ぜひ最後までお付き合いください!
「故障が少ない、ブランド力が弱い?」。ドイツ人は日本車をどう評価しているのか?
1.子どもが遊んでいい道路がある?
右側通行、アウトバーンは無料で速度無制限区間あり・推奨速度は130km/h、一般道は100km/hで市街地は50km/h、などについてはよく知られているところだと思うのであまり詳しくは触れません。日本ではほとんど見かけず、逆にドイツでよく見かける標識がこれ。みなさん、これが何か予想つきますか?
この標識は「歩行者最優先エリア(Verkehrsberuhigter Bereich)」のはじまりを示す標識です。この道路では歩行者が自由に歩行でき、子どもが遊ぶことさえ許可されています。ドイツのちょっとした郊外ではかなり見かけるのですが、この標識がある道路では歩行者と同じ速度、3.6km/hで走行しなければいけません!ちなみにこうした道路で「子どもを速度超過、急ブレーキなどにより危険にさらした場合、1点減点と100ユーロの罰金」と定められています。子どもが自由に遊んでいい道路なんて、日本ではほとんど存在しないと思うのですが、ドイツで見かける頻度は高いですね。
2.とにかく右側が優先!自転車でも、馬でも!
筆者が特に慣れなかったドイツのルールが「右側優先(Rechts vor links)」。「どちらが優先道路かを示す標識がない道路を進行しているときは、必ず右側から来るクルマを優先」というもので、このルールはクルマだけでなく、自転車に乗っているときも適用されます。右から来るものが自転車でも馬でも(!)変わらない、というのがドイツらしいポイント。
ただし、住宅地ならともかく、市街地では優先道路を示す標識が立っている場合がほとんどです。
この標識は「自分の走行している道路が優先道路」であることを示しています。この道路を進行している場合は、右から入ってくるクルマを優先しなくても構いません。ちなみに優先道路が終了する場合、この標識に斜めの二重線が入ったものが表示されます。
この標識も頻繁に見かけますね!この標識の意味は「次の交差点までは、この道路が優先」という意味です。どの道路が優先かはコロコロ変わるので注意が必要ですね。自分が進行している道路に優先権がある場合、不必要な減速や停止は後続車の追突を招く恐れがあります。
最初は慣れなかったこのルールも、慣れてしまえば非常にわかりやすいです。運転中は、右側に表示されている標識と、右から入ってくるクルマに注意していれば大丈夫。とはいえ、地元のドライバーたちはどの道が優先なのかを把握しているので、全く左側を確認せずにノーブレーキで進入してくる場合もあります…。
3.ドイツの信号機のサイクルは早い!
ドイツでレンタカーを借りたとして、おそらく3分以内には信号に直面すると思います。その際にまず感じるのが「信号、見にくくないか?」ということではないでしょうか。
ドイツでは、信号機のある交差点において、利用者(ドライバー、自転車、歩行者)のストレス低減と交通の円滑化を図るために、信号機サイクルを60~90秒にしています。日本では120~180が一般的ですから、ドイツは体感でもはっきりと「信号がすぐに変わる」ということがわかります。ちなみにこのストレス低減というのは意外と軽視できず、駆け込み進入や見切り発車の抑制に大きな効果があるのだとか。
駆け込み進入や見切り発車のための工夫は、信号機の設置位置にもあります。日本の信号機は交差点の向こう側に設置されていますが、ドイツの信号機の設置位置はほぼ停止線の頭上。先頭車両は頭上の信号機が見えないので、ドライバーから見える低い位置にも信号機が設置されています。これが日本のドライバーからすると「信号が見にくい」と感じる要因となっています。
しかし、この信号位置の利点は「自分が進行している道路から、他の道路の信号機が見えない」という点にあります。日本の信号機は、自分が進行している道路以外の信号も見えてしまうので、赤信号間際の駆け込み進入や見切り発車をするクルマが後を絶ちません。ドイツの信号機は他の道路から見えなくすることで、駆け込み進入と見切り発車を防いでいるのです。
ドイツでは信号のサイクルが早いので、クルマをスムーズに発進させる工夫も行われています。それが「発進予告信号」です。ドイツの信号機は、赤から青になる前の約1秒間、赤と黄が同時に点灯します。こうすることで、ドライバーは予告信号中に発進の準備を整え、青と同時に出発できるような仕組みになっているのです。一方、信号がすぐに変わってしまうので、発車せずにもたもたしていると容赦なくクラクションを鳴らされます。
発進予告信号などが組み込まれているドイツの信号。赤信号での進入が非常に危険なのは想像がつくとは思いますが、罰則も非常に厳しいです。赤になってから進入で罰金、赤になってから1秒以上経ってから進入で免停1ヶ月となっており、信号無視を取り締まるカメラ付き自動取り締まり機も多数設置されています。ドイツで運転するときは、くれぐれも「黄色信号で絶対ブレーキ」を心がけてください!
4.横断歩道での歩行者は絶対優先
ドイツでは、車道と歩道の扱いがはっきりしています。車道はクルマが優先で、歩道は歩行者が優先。そして横断歩道は「歩道」なので、必ず歩行者優先です。横断歩道に人がいた場合、必ず止まらなければいけません。これは日本でも同様で、実地試験では停車しないと失格ですが、厳守されているかといえばそうではないですよね。ドイツの場合、歩行者が横断歩道を渡る場合は「クルマは必ず止まる」と思っているので、しっかり止まらないと大事故になります。
逆に、横断歩道でないところで渡ろうとしている歩行者を見かけても、歩行者に道を譲る、ということはほとんどありません。急な減速が原因で追突をされる場合すらあります。車道はあくまでクルマが優先なのです。
5.踏切では一時停止をしない
これまた、日本とは全く異なるルール。「踏切では一時停止の義務はない」。遮断機や踏切に設置してある信号を信用して進入します。筆者もドイツに来た当初うっかり一時停止をしてしまい、後ろのクルマにクラクションを鳴らされた経験があります。遮断機が下りていて列車の通過を待つ場合、エンジンは一旦切りましょう。
これは、ドイツでは1分以上のアイドリングが禁止されているためです。ドイツの夏はそれほど暑くなく、エアコンが効かずに困る、ということはあまりありません。日本のように、駐車場で停めている間にエンジンかけっぱなし、ということはできない決まりになっています。
まとめ:まだまだ違いはあるけれど
ここまで、ドイツと日本の交通ルールの違いについて、筆者がもっとも戸惑った点に絞ってお伝えしてきました。もっと包括的に知りたいという方は、ぜひ調べてみてください。たくさんの興味深いルールを知ることができると思います。また、ドイツの点数制度・罰金制度については、いずれ別の機会で紹介できればと考えています。
ドイツの交通ルールは、慣れてしまえば非常に合理的ですし、特に信号機の考え方については感心させられる点も多くあります。一方で、ドイツの郊外など「ここで100km/h出すのは危険すぎるだろ!」という場所にも何の標識がなかったりするなど、自己責任まかせというか、不親切な一面も。もしドイツを運転する機会があれば、どうかくれぐれも安全運転で!
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みんなのコメント
船は右側通行だから全部右側優先だ。
日本だと左側通行だから左優先になるけど、これは路面電車以外の全てに適用なので日本だって自転車も馬も左優先。
あと、信号のサイクルはよほどデカいかまたは変形の交差点でなければ日本でも通常60秒〜90秒。いつもカウントダウンしながら信号タイミングに合わせて走ってるから間違いない。
併せて横断歩道を渡らない歩行者も多い
何故そんなに急ぐのか?一分一秒が惜しい人ってそんなに多くないはずだけど、日本は急速に自分さえ良ければいい社会になりつつありますね