現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か

ここから本文です

WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か

掲載 1
WECの“カスタマー締め出し”にポルシェが警告。10メーカー参戦の2025年、残枠はわずかに『2』か

 ポルシェ・モータースポーツの責任者トーマス・ローデンバッハは、2025年以降、WEC世界耐久選手権ハイパーカークラスのプライベーター参戦枠が不足することになるため、他のマニュファクチャラーがカスタマーに対して車両を提供しないのではないかとの懸念を表明している。

 この動きは、6月初めにFIA世界モータースポーツ評議会によって『メーカー1社あたり最低2台の車両の参戦義務付け』が承認される中で起こったものだ。

アジアン・ル・マン・シリーズにハイパーカークラス導入か。ACOの考えと各メーカーの反応

 来年、アストンマーティンは10番目のハイパーカーメーカーとしてWECに参戦する予定であり、一方で各社2台ずつが参戦するLMGT3メーカー9社は残留する可能性が高いため、理論上は、拡大された40台のフルシーズングリッドにプライベーターのハイパーカーがエントリーできる余地は2台だけとなる。

 ポルシェは現在、ファクトリーチームのポルシェ・ペンスキー・モータースポーツとカスタマーの間で5台の963をフルシーズン参戦させているが、現在のカスタマーであるハーツ・チーム・JOTAは、来季はキャデラック・レーシングの2台体制を運営するものと予想されている。

 ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、グリッドの空き状況により、現在5台あるポルシェのエントリー数は、減少する見込みであると示唆している。

「プライベートチームもいくつか参加できる」とフィヨンは述べた。

「だが結局のところ、(参戦枠は)40台しかない。もちろん、同じブランドで6台を参戦させるといったことは難しいだろう」

 一方ローデンバッハは、ポルシェのカスタマーがWECから締め出される事態につながる可能性があると警告した。

「それが、我々のカスタマーのひとつがエントリーを拒否されることを意味するものではないことを願っている」とローデンバッハは述べた。

「しかし、最終的にはFIAとACOの決定だ。彼らができる限り多くのメーカーを参加させたいのは理解できる」

「個人的には、カスタマーがいるのは良いことだと思っている。おそらく今後どこかでまた何年も続くだろうし、カスタマー・チームがいるのは嬉しいことだ」

「最終的にそれが何を意味するのかは分からない。我々だけがそれ(カスタマープログラム)をやっているので、最終的には我々のカスタマーにとって制限がないことを願っている」

 ローデンバッハはまた、ハイパーカーのカスタマーがWECグリッドにつける台数が限られているため、他のメーカーがLMH(ル・マン・ハイパーカー)またはLMDh車両をプライベーターに提供しなくなるのではないかと懸念している。

「他のメーカーがカスタマーカーにコミットした場合、WECには非常に多くのクルマがあり、またメーカーがカスタマーカーを作ることを決定できるようになっているため、WECでレースをする可能性がなくなり、難しいことになるかもしれない」と彼は述べた。

「これにより、他のメーカーにとっては、カスタマーカーに関する決定がはるかに難しくなると思う」

 ポルシェはJOTAの切り替えによりカスタマーエントリーを2台失う予定だが、ローデンバッハは、グリッドスペースが空くようなら、来年963を走らせたいという他のチームからの関心がまだあると述べた。

 さらに、プロトン・コンペティションはWEC用に2台目の963導入を検討していることが知られている。

「カスタマーを獲得することには、問題はないと思う」とローデンバッハは語った。

「我々はトップクラスで走っているので、ポルシェ963を走らせている人がいるなら、その人がそれをこなす能力をすべて備えていることを確認したい」

「我々は、きちんとした仕事をできると本当に思えるチームだけを選ぶ」

「ビジネス上の理由ではない。できるだけ多くのクルマを売ることではないのだ。いま、我々のようなレベルのチームは多くないと思う」

「10チームも可能性を持っているわけではない。だが、ステップアップできるチームは確かに存在する」

こんな記事も読まれています

『3週連続24時間レース』に「サステナブルでない」とメーカーから不満。観客やドライバーへの影響も懸念
『3週連続24時間レース』に「サステナブルでない」とメーカーから不満。観客やドライバーへの影響も懸念
AUTOSPORT web
ハイパーカー参戦枠争奪戦の最中、“3台目”の499P継続投入の意向「間違いなく有益」とフェラーリ
ハイパーカー参戦枠争奪戦の最中、“3台目”の499P継続投入の意向「間違いなく有益」とフェラーリ
AUTOSPORT web
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
復活するIGTC鈴鹿が『1000km』&控えめなエントリー目標である理由「長距離に慣れているチームがほとんどない」
AUTOSPORT web
アデスが新型LMP3カー『AD25』発表。トヨタベースの“2025年規定”オレカエンジンを搭載
アデスが新型LMP3カー『AD25』発表。トヨタベースの“2025年規定”オレカエンジンを搭載
AUTOSPORT web
規則延長でもフォードのプロトタイプ参入はなし?「“滑走路”は長くなるが、そこへ向け走っているわけではない」
規則延長でもフォードのプロトタイプ参入はなし?「“滑走路”は長くなるが、そこへ向け走っているわけではない」
AUTOSPORT web
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
ル・マン、ニュル、スパで『3週連続24時間』の2025年。超・過酷日程は「1年限りの問題」
AUTOSPORT web
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
ヒョンデが近々WECハイパーカークラスに参入目指す? LMDh車両開発を準備中との噂
motorsport.com 日本版
F1パワーユニット開発に取り組むアウディ、すでにレース距離のシミュレーションも実施。他カテゴリーでの経験が大きな資産に
F1パワーユニット開発に取り組むアウディ、すでにレース距離のシミュレーションも実施。他カテゴリーでの経験が大きな資産に
AUTOSPORT web
イソッタ・フラスキーニの2台目は別陣営がオペレートか「いくつかの重要なチームからリクエストが来ている」
イソッタ・フラスキーニの2台目は別陣営がオペレートか「いくつかの重要なチームからリクエストが来ている」
AUTOSPORT web
アストンマーティンF1、メルセデスの元PU責任者コーウェルをグループCEOに任命。ホンダ時代に向け、勝利への体制作り
アストンマーティンF1、メルセデスの元PU責任者コーウェルをグループCEOに任命。ホンダ時代に向け、勝利への体制作り
AUTOSPORT web
“3番目に速いクルマ”でスパ24時間優勝「アストンマーティンにとって素晴らしい成果」とソーレンセン
“3番目に速いクルマ”でスパ24時間優勝「アストンマーティンにとって素晴らしい成果」とソーレンセン
AUTOSPORT web
ドライバーラインアップなどをめぐり、アウディF1技術開発部門の責任者とザウバーCEOザイドルが対立か
ドライバーラインアップなどをめぐり、アウディF1技術開発部門の責任者とザウバーCEOザイドルが対立か
AUTOSPORT web
さらなる体制強化か。アストンマーティンF1の上層部にフェラーリから新たなメンバーが加入へ
さらなる体制強化か。アストンマーティンF1の上層部にフェラーリから新たなメンバーが加入へ
AUTOSPORT web
メルセデス、非ワークスPU化噂のアルピーヌF1へのカスタマー供給に前向き。既存アストンのホンダ提携で余剰生まれる
メルセデス、非ワークスPU化噂のアルピーヌF1へのカスタマー供給に前向き。既存アストンのホンダ提携で余剰生まれる
motorsport.com 日本版
バイク好きのF1王者ハミルトンがMotoGPチームを買収するとのうわさ。早ければ2025年から参戦か
バイク好きのF1王者ハミルトンがMotoGPチームを買収するとのうわさ。早ければ2025年から参戦か
AUTOSPORT web
BMW、2025年に登場する『M4 GT4エボ』の追加情報を発表。新車は約3800万円
BMW、2025年に登場する『M4 GT4エボ』の追加情報を発表。新車は約3800万円
AUTOSPORT web
宮田莉朋の代役が決定。WECでアルピーヌをドライブするシャタンがELMSイモラ参戦へ
宮田莉朋の代役が決定。WECでアルピーヌをドライブするシャタンがELMSイモラ参戦へ
AUTOSPORT web
『ポルシェ935/78 “モビーディック”(1978年)』“白鯨”と呼ばれた最速のポルシェ935【忘れがたき銘車たち】
『ポルシェ935/78 “モビーディック”(1978年)』“白鯨”と呼ばれた最速のポルシェ935【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • vol********
    高コストのLMHとLMDhを同じクラスで走らせる意味がわからない。スピードの面でもBoP無しなら相手にならないだろう。
    LHDhは将来的にLMHに移行する為のメーカーの準備期間か、カスタマー向けのビジネスとしても良いとは思う。でも、本来ならLMHで勝負しないといつまで経っても訳の分からないBoPが残り続けてしまう。
    TOPにLMH。その下にメーカースタディとカスタマーのLMDh。さらに下にLMP2。
    GT3は他に沢山のレースがある。
    プロトとのスピード差が大きくなりすぎて危険だし、そもそもルマンはプロトタイプのレースなんだから退場願うのはどうか。
    そうすればカスタマーの枠が残されるし、沢山のメーカーの参戦機会も保たれるだろうと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村