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運転を味わえる気兼ねなさ ホンダ・シビック 長期テスト(最終) 日本車らしい強み

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運転を味わえる気兼ねなさ ホンダ・シビック 長期テスト(最終) 日本車らしい強み

積算1万3563km ジェレミー・クラークソンも絶賛

最近の欧州では、これまでの定番といえた、フォルクスワーゲン・ゴルフのようなファミリー・ハッチバックを選ぶ人が減少している。新しいホンダ・シビックは、そんな傾向へ一石を投じる可能性を持っている、と筆者は考えてきた。

【画像】通勤路も楽しい ホンダ・シビック e:HEV 現行と先代のタイプR NSX タイプSも 全130枚

長期テストで数か月をともにしてきたが、その考えは正しかったと思う。ハッチバックには逆風が吹いている。それでも、風上へ向かって進むことは不可能ではないようだ。

非常に珍しいことに、ベーシックなモデルでありながら、AUTOCARのスタッフからも多くの好感を集めた。恐らくクロスオーバーやSUVではない、ということも影響しているはず。とはいえ、そもそも素性が素晴らしくなければ難しいだろう。

長期テストでやってきたクルマを同僚へ貸すと、乗り慣れていないことも起因して、否定的なコメントとともに返されることが少なくない。オーナーになれば、さほど気にならないような部分でも。だが、シビックではそんなことは一度もなかった。

ハイブリッド・モデルへ懐疑的な、アマゾン・グランドツアーでお馴染みのジェレミー・クラークソン氏ですら、新しいシビックを絶賛している。英国のサンデー・タイムズ紙のコラムで。これも珍しいことだと思う。

筆者がシビックで最も印象に残っている特長は、気使いのいらない素直な個性。これまで約9000kmの距離を重ねてきたが、最後まで好ましい印象のままだった。

運転の楽しさを味わえる気兼ねなさ

確かに現代的なモデルは、全般的に余計な気使いを減らそうとしている。最新のバッテリーEVなどでは、キーを身に着けていればスタートボタンを押す必要がない例もある。

しかし、シビックの真骨頂といえるのが、気兼ねなさがずっと続くこと。操作しやすいインフォテインメント・システムは素早く起動し、アップル・カープレイは当たり前のようにスマートフォンと接続。シートは座り心地に優れ、運転へ自然に集中できる。

車内のパッケージングが秀抜な結果といえる。ステアリングホイールには押しやすいボタンが備わり、運転中でも目線をそらさず電話へ出られる。エアコンの操作パネルには、位置を覚えやすく実感を得やすいボタンやノブが並んでいる。

これは、運転環境として重要だといっていい。シビックに乗っていると、余計なアレコレで気が散ることは殆どない。日常的な移動が安楽になる。

同時に、運転の楽しさをしっかり味わえることも意味する。筆者は高速道路で往復300km近い遠距離通勤をしているが、洗練された印象のまま快適にこなせた。

郊外の一般道へ足を伸ばせば、磨かれたシャシーが光った。エンジン音がスポーツカーのようになるモードもあるが、デフォルト状態でも充分に小気味いい。

サスペンションの衝撃吸収性は優秀で、ホイールの動きを巧みに制御。高水準な技術が投入されているという事実を体感できた。車重が重すぎないことも貢献し、乗り心地に不満を抱くことはなかった。

燃費は少し期待外れ 沢山売れても疑問はない

カーブでの反応は軽快で、不自然に外へ膨らむこともない。ニュートラルなバランスは、通勤にもピッタリといえた。ホットハッチのように、ドライブモードで特性を大きく変えることはできないとしても。

長期テストの期間中に不満を感じた点といえば、40Lと小さなガソリンタンク。走る距離が長いだけに、ガソリンスタンドへ寄る回数は自ずと増えがちだった。

燃費は、もう少し伸びても良いだろう。当初は20.2km/Lを記録し驚かせたが、その後は18.0km/L前後が平均になった。時には17.0km/Lへ落ち込むこともあり、カタログ値の20.0km/Lへ届かせることは難しいように思う。

知的なハイブリッド・システムを搭載するだけに、少し期待外れだったかもしれない。2.0L 4気筒エンジンは専ら発電に徹し、駆動用モーターがシビックを走らせるということは、既に何度も触れている。複雑に思えるが、実際はまったく気にせず運転できた。

メーターパネルには、パワートレインの働きを示すインジケーターがあるが、内燃エンジンと駆動用モーターとの協働作業は極めてシームレス。変化を感じることが難しいほど。想像以上に、バッテリーEVのように運転できることには感心させられた。

前衛的なハッチバックだとはいえないだろう。だが既存の技術へ磨きをかけ、洗練度を高め、秀でた完成度で機能させている。非常に日本車らしい特長だといえる。11代目のシビックが沢山売れたとしても、筆者は疑問を抱かない。

セカンドオピニオン

クルマ好きをワクワクさせてくれる、ベーシックなモデルとの出会いはとてもうれしい。2022年に開かれたシビックのプレス発表会で運転した時には、まさにそんな気持ちになった。

クルマの技術は、当たり前のように進化している。しかし、ドライバーズカーとしても楽しめるハッチバックは、選択肢が限られる。未来のホンダにも、このようなクルマづくりを続けて欲しいと思う。  Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)

テストデータ

気に入っているトコロ

完璧なレイアウト:例えば、手を伸ばした先の自然な場所にあるシフトセレクター・ボタン。シンプルで機能的。
プラスティック製の荷室マット:犬を載せた時など、荷室が汚れるのを効果的に防げる。
細かな部分の美しさ:例えば、横方向にスライドするパーセルシェルフ。他社も真似すべき部分だと思う。

気に入らないトコロ

警告ステッカー:スマートフォンのワイヤレス充電パッドに貼られているステッカーが、質感を乱している。目立つ場所にあり、剥がせない。
後ろ姿:リア回りのスタイリングが、少々無骨だと思う。もう少しスマートに仕上げられるのでは。

走行距離

テスト開始時積算距離:4425km
テスト終了時積算距離:1万3563km

価格

モデル名:ホンダ・シビック 2.0 i-MMD e:HEV アドバンス(英国仕様)
開始時の価格:3万2995ポンド(約577万円)
現行の価格:3万2995ポンド(約577万円)
テスト車の価格:3万3820ポンド(約592万円)

オプション装備

プレミアムクリスタル・ブルーメタリック塗装:825ポンド(約14万円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:20.0km/L
タンク容量:40L
平均燃費:18.4km/L
最高燃費:21.1km/L
最低燃費:16.2km/L
航続可能距離:735km

主要諸元

0-100km/h加速:8.1秒
最高速度:180km/h
エンジン:直列4気筒1993cc自然吸気+ツイン電気モーター
最高出力:183ps(システム総合)
最大トルク:32.0kg-m(システム総合)
トランスミッション:e-CVT
トランク容量:404-1187L
ホイールサイズ:18インチ
タイヤ:235/40 ZR18
車両重量:1533kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:432ポンド(7万5000円/1か月)
CO2 排出量:114g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:トゥーバー 1245ポンド(約21万8000円)/スクリーン洗浄 10ポンド(約1800円)
燃料コスト:801.5ポンド(14万円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:811.5ポンド(14万2000円)
1マイル当りコスト:0.14ポンド(25円)
不具合:なし

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みんなのコメント

5件
  • 世の中の趨勢とは云え コノサイズが 欧米じゃあ エントリーなンだもンなぁ。
  • このシビックの顔カッコいいなと思ったら、7型のカッコ良かったレジェンドの顔に似てるよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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