富士スピードウェイで行なわれた2020スーパーGT第2戦のGT300クラスで優勝を飾った#2 シンティアム・アップル・ロータスの加藤寛規と柳田真孝はレース後の記者会見で感慨深い表情をみせた。
今週末は公式練習から好調な走りを見せ予選では3番グリッドを獲得した2号車。加藤曰く、一発での速さが際立った一方で決勝のロングランペースに関しては不安要素があったという。
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「予選はけっこう良い位置に行けたんですけど、決勝ではどこまでタイヤが持つかが全然分かっていませんでした。変に仕掛けるとタイヤがダメになるかなと思って、ひたすら付いていく方法を取りました」
「そうしたら、思った以上に後半はこっちのペースが良くてスティント(の周回数)を伸ばすことができて、柳田選手に交代できました」
「本当に上手く行きすぎたなと思うくらい上手く行ったので良かったです。でも、全然楽ではなかったですね。いつタイヤがダメになるか分からなかったので、ヒヤヒヤしながら走っていました」
前半スティントを担当した加藤がそう振り返ると、柳田も不安を抱えながらのレースだったことを明かした。
「加藤さんが言ったように非常に速さはあったと思うんですが、どれぐらいのペースで走れるかというのが正直不安でした」
「トップを走っているけど楽ではなかったですね。何かが起こるんじゃないかと常に不安でした。その中でも自分を落ち着かせていけば勝てるんじゃないかなと思いながら走っていました」
最終的には2位の#61 SUBARU BRZ R&D SPORTに対し1.5秒差まで詰められたが、最後までミスのない走りを披露した2号車がトップでチェッカーを受けた。
今季からチームに加入しスーパーGTに本格復帰を果たした柳田。同シリーズでは2016年以来の勝利ということで、喜びを噛み締めていた。
「素直にこの場に居られるのが嬉しいです。そもそも僕は(スーパーGTに)2年出てませんでした。久しぶりに参戦して1戦目の結果はダメでしたけど、2戦目でこうして優勝することができて嬉しいですね」
「やっとGTに乗れると思ったらコロナ禍でレースができなくなってしまって、モチベーションを保つのが難しかったんですけど、GTAだったり富士スピードウェイだったり、色んな人の協力があって、ここにいられる自分が本当に幸せです」
「今回はお客さんの前で表彰式はできなかったですけど、またいつかお客さんの前でレースをして、またこの場所に来たいなと思っています」
「このチームに声をかけていただいたことに感謝していますし、加藤さんや(チームオーナーの)高橋さん、あと(マシンを製作した)由良さんに感謝したいです」
一方、加藤にとってもこの1勝は特別なものだった。長年、チームオーナーである高橋一穂と組んで二人三脚でロータス・エヴォーラMCをドライブしてきた加藤。だが、高橋は昨年いっぱいでスーパーGTでのドライバー活動を終了し、今年は柳田を新たに迎え入れる体制となった。
加藤は記者会見で今季のチャンピオン争いに向けた意気込みを訊かれると、高橋に対する想いが込み上げてきたのか、感極まった様子でこう答えた。
「本当に久しぶりの優勝で、最高に嬉しいというのが素直に嬉しいというのが素直な感想です。本当は1戦目もすごく良かったんですけど、トラブルが出てしまって、今回は勝てて良かったと思います」
「チャンピオン争いについては……今年は乗っていないですけど、高橋さんの想いでロータスを動かし、ヨコハマタイヤさん、由良さんを動かし……チーム作り、クルマ作りも含めて高橋さんには本当に感謝しかないです」
「そういう想いがあって今シーズンを走らせてもらっているので、今から『チャンピオン獲得は無理です』とは……言えないですよね。だからベテランらしく、しつこく頑張っていきたいと思っています」
これで勝利でドライバーズランキング2番手に浮上した2号車の加藤&柳田コンビだが、同時に第3戦では60kgのウエイトハンデを積むことになる。ふたりともここからが勝負だと語り、シーズン中盤戦に向けて気を引き締め直していた。
「実はロータスにとってウエイトを積むのは初めてになるので、またこれから未知の戦いになると思います。今回はライバルとのバトルではなくて、タイヤマネジメントに全神経を集中して走っていましたけど、きっとこういう戦いがどんどん続いていくんだろうなと思います。柳田選手とチームと本当に良いコミュニケーションがとれて、クルマも良い方向に行っています。鈴鹿もめいっぱい頑張りたいです」(加藤)
「これからが勝負だと思っています。前回優勝した埼玉トヨペットさんも6位に入っているということで、非常に手強いなと思っています。やはりポイントをコツコツ獲らないとチャンピオンを獲得できないということを身にしみて分かっているつもりなので、そこは加藤さんを含めチーム、ヨコハマタイヤさんと一緒に頑張って行きたいなと思います」(柳田)
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