ボディに与えられたわずかな変化
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
第2世代へと生まれ変わって間もない、アウディRS5。インゴルシュタットのエンジニアは、更なるアップデートを施した。
2020年仕様となるRS5クーペは、更新が続くライバルモデルとの接戦に向けて、態勢を整えたのだろう。間もなく入れ替わるBMW M4や、現行のメルセデスAMG C63クーペなどと、2023年まで競い合うことになる。
ダウンサイジングされたハイブリッド・ドライブトレインを搭載した、まったく新しい3代目RS5の準備を進めているはず。それまでの競争力は充分だと、アウディは考えている。
アウディが今回行った変更は、主に見た目の変更が中心。エンジンの冷却性を向上させる目的もあるだろう。
アウディのファンであっても、今回のフェイスリフトの内容に気付くには、注意深く見比べる必要がありそうだ。エアインテークの形状に変更を受け、フロントバンパーが新しくなっている。
フロントグリルも同様に新しくなり、ボンネットとの境目に3本のスリットが追加された。1984年のラリーマシン、アウディ・クワトロに影響を受けたことは明らかだ。
ヘッドライトには、6ブロックに別れた新デザインのデイタイム・ランニングライトを装備する。最もわかりやすい変更点かもしれない。
テールライト周りも、フロントの造形に合わせてデザインが新しくなっている。ディフューザーと一体となったリアバンパーも、変更が加えられた。
インフォテインメント・システムも最新版へ
足元を飾るホイールには、新デザインの20インチが3種類用意された。ボディカラーも、ターボブルーとタンゴレッドの2色が追加になっている。
インテリアはこれまでのRS5と大きな変更はないが、仕上がりは素晴らしい。インフォテインメント・システムには新しいオペレーション・システムが採用され、機能が強化されている。
これまでのロータリースイッチはなくなり、MMIタッチレスポンスを採用した、タッチモニターでの操作に改められている。ナビゲーションには、モニター式のデジタルメーターと合わせて、アウディ・スポーツ専用のグラフィックスが与えられる。
フェイスリフト後のアウディRS5が動力源とするのは、2.9LのV6ツインターボ・ガソリン。従来と変わりはない。最高出力は450psのままだ。
この馬力は、現行のM4が搭載している3.0L直列6気筒ターボユニットと同じ数字。だが、第2世代のメルセデスAMG C63クーペが搭載する4.0L V8ターボよりと比べると、15psほど劣っている。
このアウディとポルシェによる共同開発ユニットで特徴となるのが、潤沢なトルク。61.1kg-mを1900rpmから5000rpmの間で発生する。
このトルクのおかげで、コンフォート・モードでは、滑らかで安楽な高速巡航に浸れる。同時にスポーツ・モードを選択すれば、鋭い加速でドライバーの気持ちに応えてくれる。
発進加速は特にシャープ。幅広い回転域に渡って充分以上のたくましさを持ち、中回転域では有無をいわせぬ動力性能を発揮する。
四輪駆動のクワトロもアップデート
爆発的とまではいえないにしても、0-100km/h加速の時間は3.9秒。最高速度は280km/hに届く。しかも、かなり楽しい。これ以上のパフォーマンスが必要だと感じるドライバーは、多くはないだろう。
滑らかなパワーデリバリーが、圧倒的な洗練性を保ったまま、6800rpmまで途切れることなく続く。加えてチューニングを受けたエグゾースト・システムが放つサウンドが、エンジンの訴求力を聴覚側から高めている。
ただし、従来よりデジタル的に拡幅されたエグゾーストノートのボリュームも大きくなっている。より選びたくなったスポーツ・モードでは特に。
8速AT自体はそのままだが、電子マッピングが改められ、フェイスリフトを受けたRS5クーペのドライビング体験を乱すことはない。コンフォート・モードでは落ち着いた振る舞いで変速をこなし、スポーツ・モードではより積極的で鋭い仕事を披露する。
グリル上の3本スリットが物語るように、新しいRS5も四輪駆動のクワトロを採用。システムは最新のもので、スポーツデフを備え、必要に応じで左右のリアタイヤ間で駆動力を分配してくれる。
グリップ状況やスピード、進行方向に対して左右のヨーアングル、走行モードなど、複数の要素も加味した制御が行われる。
ハンドリングを支えるのは、素晴らしい姿勢制御に加え、巨大なグリップ力とトラクション。実際の状況によっては、ライバルより速いとは限らないかもしれない。しかし、路面状況を問わないスピードでは、RS5に分があるだろう。
カテゴリー内での最前線を維持
アウディRS5に欠けているものは、ドライバーへ伝わる感触。電動パワーステアリングは、切り始めから反応に優れ、速度域を問わず重み付けも良好。それでも、手のひらに伝わる感触や、限界領域でのコミュニケーション力は不足気味だ。
フェイスリフトを受けたRS5だが、違いは珍しいほど微妙な範囲に留まってはいる。しかし、見た目もインフォテインメント・システムの操作性も、効果的な変更が与えられたと思う。
パワフルなエンジンをさらに鍛え上げ、拡張されたダイナミクス性能を期待していた読者もいるかもしれない。アウディはそこへは手を加えなかった。
それでも2020年仕様のアウディRS5は、最前線に位置することに変わりはない。ライバルほど一体感あるドライビング体験は得られないにしても、高い安全性を備えつつ、ドライバーが欲する幅広い訴求力を高次元で叶えてくれるモデルだ。
アウディRS5クーペ(欧州仕様)のスペック
価格:6万9525ポンド(938万円)
全長:4725mm
全幅:1860mm
全高:1365mm
最高速度:249km/h(リミッター/ダイナミックパッケージ:280km/h)
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:10.9km/L
CO2排出量:208g/km
乾燥重量:1707kg
パワートレイン:V型6気筒2894ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:450ps/5700-6700rpm
最大トルク:61.1kg-m/1900-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
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買えないけど。